皆さん、こんにちは! 今回から白球徒然 ~HAKUJUベースボールスペース~が始まります。毎月・第2月曜日は、私、田口竜二の野球コラムをお届けします。よろしくお願いします。


 いよいよプロ野球もキャンプ、オープン戦と進んでいて、開幕も近づいてきました。プロ野球選手だった昔の記憶を引っ張り出すと、当時のトレーニングは今のように科学的に根拠があるものではなく、根性論が全盛でした。キャンプ中は「とにかく走れ~!」の毎日で、「これだけ走っても野球は上手くならないよ~」と弱音を吐きながら、とにかく走っていたのを思い出します(笑)。


 私はプロ野球選手を引退して、いわゆる「セカンドキャリア」として現職(白寿生科学研究所 営業本部 人材開拓グループ グループ長)を務めています。このコラムではプロ野球選手のセカンドキャリアの問題に触れていくつもりですが、まずはその核心の前に、皆さんに質問させてください。「プロ野球選手のセカンドキャリア」と聞かれて、何をイメージされますか?


 たぶん「大変そう」「うまくいってない」など、ネガティブなイメージが頭に浮かんできたのではないでしょうか。実際に元プロ野球選手が犯罪を犯したニュースもあるし、テレビでは引退した選手を追いかけ、大変さをアピールする、お涙頂戴番組も放映されています。それを目にされた方も多くいるので、それは仕方がないことではあります。


 それではなぜ引退した選手のセカンドキャリアが上手くいかないのでしょうか? 世の中には元プロ野球選手を含めてアスリートが欲しいと言っている会社がたくさんあります。でもどうして上手くいかないのか。私がセカンドキャリア支援を手伝うようになり、多くの引退選手と接する中で感じることは、ほとんどの人達が「野球」から離れられないということです。


「もう選手として通用しません」と宣告されたにも関わらず、「自分の人生は野球しかない」と考えてしまう。それぞれの人生ですから、そう考えてしまうことも仕方ない面はありますが、「野球しかない」という考え方はポジティブなのでしょうか、それともネガティブでしょうか? 皆さんはどう思いますか? 私はネガティブでしかないと考えています。


 実際、元プロの彼らの多くは未来に目を向けず、今しか見ようとしない。セカンドキャリアのために一歩踏み出す必要があるのに、現実逃避してしまう。その結果、「パソコンもできない」「人前で話せない」「世の中のことがよくわからない」「営業なんてとてもじゃないが無理だ」など、マイナスなことばかりを考えてしまう。そう、すべての思考がネガティブになって、やがて負のスパイラルに陥って、「やっぱり俺には野球しかない」と最終的には結論付けてしまうのです。


 簡単に野球を忘れられない気持ちは理解できますが、そんなマイナス思考が自身の未来を大きく左右すると考えると、冷静に、そして客観的に自分を見つめる時間を作って欲しいですね。


 次回は「野球しかない」をどうすれば解決できるのか。それを一緒に考えていきたいと思います。

 

1600314taguchi田口竜二(たぐち・りゅうじ)
1967年1月8日、広島県廿日市市出身。
1984年に都城高校(宮崎)のエースとして春夏甲子園出場。春はベスト4、夏はベスト16。ドラフト会議で南海ホークスから1位指名され、1985年に入団し、2005年退団。現在、株式会社白寿生科学研究所人材開拓グループ長としてセカンドキャリア支援を行なっている。

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