IMG_9015

(写真:3試合目で初のノートライだったサンウルブズ<赤>)

 19日、スーパーラグビー(SR)の第4節が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、日本のヒト・コミュニケーションズ・サンウルブズとオーストラリアのレベルズが対戦した。サンウルブズは前半4分にPGで3点を先制するも、レベルズにトライを喫し逆転を許す。前半は6-11で終了。サンウルブズは後半早々のPGで2点差に詰め寄ったが、3トライを奪われた。9-35で敗れ、開幕3連敗となった。

 

 3週間ぶりの秩父宮での一戦には、サンウルブズの初勝利を期待して1万6444人の観衆が集まった。前節、サンウルブズは南アフリカのチーターズに1点差で惜敗。WTB山田章仁の3トライ、HO堀江翔太の2試合連続トライなどで前半リードを奪ったが、後半にひっくり返され初勝利を逃した。

 

 初勝利に意欲を燃やすサンウルブズ。対戦相手のレベルズは13年に堀江、15年にPR稲垣啓太らが所属するなど日本にも馴染みのあるチームだ。試合は開始早々にサンウルブズがペナルティーを獲得すると、距離はあったもののショット(ペナルティーゴールを狙う)を選択した。蹴るのはSOトゥシ・ピシ。約43メートルのキックをサモア代表の司令塔が着実に決めて、サンウルブズが先制に成功した。

 

 しかし、レベルズの圧力に押され始める。サンウルブズはNO.8エドワード・カークらが踏ん張り、インゴール目前耐えていた。だが12分に中央から左に展開されると、FLジョーディー・リードに滑り込まれた。コンバージョンキックこそ外れたが、3-5と逆転を許した。

 

 26分にはSOジャック・デブツェニに42メートルのPGを決められる。5点差を追うサンウルブズは、その2分後にピシがPGを決めて、3点差に詰め寄り、流れを譲らない。ピシのキックの処理に手間取っている相手に山田が飛び込んでプレッシャーをかける。そこにLO大野均も加わってボールを奪う。左に展開し、陣地を稼いだ。

 

 32分、敵陣深くでスクラムを組むとスタンドから拍手の後押しがあった。それに乗せられ、ほぼ互角の押し合いを見せると、ボールを左に展開した。ピシ、カークらが徐々に前へとにじり寄る。最後は稲垣がインゴール目前まで迫ったが、ノットリリースボールでチャンスを逃した。その後、PGで加点され、6-11で試合を折り返す。

 

IMG_8934

(写真:前半は奮闘したが、後半はほぼ一方的な展開となった)

 後半3分にピシのPGで、再び3点差。だが自陣でのラインアウトでボールを奪われると、防戦一方になった。9分、FBジョナ・プラシッドに個人技でラインブレイクされると、SHベン・ミーハンにトライを決められる。17分にはラインアウトから速いパス回しで崩されると、WTBトム・イングリッシュにラインをぶち抜かれた。トライを許してリードを広げられると、30分にも追加点を奪われた。後半はほぼ一方的。9-35の完敗だった。

 

 サンウルブズは開幕から3戦でいまだ勝星なし。流れるようなパスワークからトライ目前まで迫ったシーンもあったが、トライを獲りきれなかった。ヘッドコーチ(HC)のマーク・ハメットは「アタックに関しては3試合の中で一番良かった」としながらも、「ラインブレイクでサポートの部分でハードワークが足りなかった」と振り返る。キャプテンの堀江も「(味方がボールを運んで)寝てからの1仕事、2仕事が足りなかった」と反省した。

 

 ハメットHCが「課題の部分はスキルセット。キャッチやパス」と言うように前半はミスが目立った。「最後の最後で獲りきれない。ツメが甘い」と堀江。他チームより戦力的には劣る以上、ミスを減らして少ないチャンスを着実に決めなければ初勝利は遠いだろう。次戦は26日にシンガポールで南アフリカのブルズと対戦する。

 

(文/杉浦泰介、写真/真崎貴夫)