日本リーグ開幕まで、約2週間と迫った。秋元理紗監督体制2年目の今季も1部リーグに参戦する伊予銀行女子ソフトボール部は、目標の10勝(22試合中)に向けて準備を進めている。今年から「伊予銀行ヴェールズ」の愛称でリーグに登録した。「ヴェール」はフランス語で「緑」。気持ちも新たに新シーズンを迎える。

 

 

 伊予銀行は2月の鹿児島キャンプを経て、3月に松山で開催されたオープン戦「マドンナカップ」は2勝1敗2分けで終えた。続く岡山での「岡山オープン」は2勝2敗1分け。2大会トータルで4勝3敗3分けとほぼ五分の数字を残した。

 

 3月のオープン戦2大会は、それぞれテーマを持って戦った。8日から10日までの3日間行われたマドンナカップでは、「個々の攻撃」をテーマに臨んだ。8日に3試合を行い、初戦の日本精工(2部)は2-2、続くシオノギ製薬ポポンギャルズ(1部)戦は0-0といずれも引き分けとなった。3試合目のHonda Reverta(1部)戦は2ケタ得点の11-2と大勝し、初日を終えた。2日目は生憎の雨で、伊予銀行の試合は中止。最終日の2試合で2部の甲賀健康医療専門学校には勝利したものの、1部の太陽誘電ソルフィーユには0-5で敗れた。

 

「もう少し点を取りたかった」とマドンナカップを総括する秋元監督。太陽誘電との試合は中盤までは0-0と拮抗していた。先制して流れを掴みたかったが、相手に先手を取られ、そのまま逃げ切られた。秋元監督は「攻撃面でもう少し力をつけていかないといけない」と反省点を挙げる。

 

 一方で太陽誘電戦以外の試合を2失点以下に抑えた守備面ではある程度の手応えを感じている。園田学園女子大から入ったルーキーの二宮はなも早速、試合でマスクを被るなど、正捕手の池田千沙を脅かしつつある。指揮官は「いい刺激になっていますね。配球のパターンや考え方がピッチャーも含め、去年よりは良くなっているのかなと」と語った。

 

 秋元監督は「その時にいい選手を使う」と起用法を決めており、正捕手も固定するつもりはない。とはいえ、即戦力の二宮に寄せる期待は大きく、「キャッチャーとしてすごく攻撃的な選手。池田はどちらかと言えば保守的なので、お互いに足りないものを補い合いながらできていますね」と評価する。レギュラー争いが活性化すれば、チームの層は厚くなるはずだ。

 

「個々の能力を高めていくことを重点にキャンプでやってきました。マドンナカップは個々の打つこと、走ることの攻撃面を試したので、岡山オープンはチームとしての戦い方をやっていこうと掲げました」。16日からの岡山オープンでは、テーマを個からチームとしての戦い方にフォーカスを変えた。初日は1部のデンソーブライトペガサスに4-4の引き分け。大学生で構成された岡山選抜には12-0で大勝した。2日目は1部のトヨタ自動車レッドテリアーズに0-5で敗れたものの、東北福祉大には5-1で勝った。最終日は1部の豊田自動織機シャイニングベガに0-7を喫し、大阪大谷大に1-0で辛勝だった。

 

 岡山オープンでは大学生相手には全勝。実業団からは1勝もできなかった。だが、秋元監督は悲観していない。「だいぶチームらしくなってきました。課題が見つかっても、キャプテンの山崎(あずさ)を中心に自分たちで解決していく雰囲気が出てきたんです」と手応えを口にする。

 

 ヒザの打撲により、両大会の出場はなかったキャプテンの山崎だが、昨年12月には女子TAP-B(U-24)日本代表に選出されるなど成長を見せている。昨シーズンの打率3割1分9厘の好打率を残した大黒柱は今年もチームリーダーとして牽引する。2年目野手の對馬弥子や3年目投手の内海花菜も、積極的な姿勢でチームの中心となりつつある。

 

 新シーズンに向けて、秋元監督は「攻撃的に行きます」と言い切った。

「いろいろな意味で攻撃的。チームの真面目で一生懸命なところはすごくいいところなんですが、もう少し勝ちに貪欲になっていいのかなと思います。外国人選手や上位チームに対して、空気に飲まれてしまうことがある。まずは気持ちの部分で攻撃的にいきます」

 

 昨シーズンは5勝17敗。今シーズンは勝利数も倍増(10勝)と強気な目標設定だ。指揮官として2シーズン目を迎える秋元監督は「経験を積んで去年より監督としての仕事をしたいと思っています」と意気込んだ。リーグ戦開幕は4月16日。伊予銀行の戦いが、もうすぐスタートする。

 


◎バックナンバーはこちらから