nomitai二宮: 今回のゲストは、プロフィギュアスケーターの太田由希奈さんです。そば焼酎『雲海』のソーダ割り「そばソーダ」を飲みながら、フィギュアスケートについていろいろとお聞きしたいと思います。

太田: とてもスッキリしていますね。普段は焼酎をあまり飲まれない方でも、これだったらおいしくいただけるんじゃないでしょうか。揚げ物が好きなので一緒に食べても合いそうですね。

 

 

二宮: 太田さんが、そうですか?

太田: はい(笑)。普段はあまり焼酎を飲む方ではないのですが、これなら喜んで。

 

 世界に誇れる和食

 

二宮: 京都のご出身ということで、やはり和食がお好きですか?

太田: 昔は洋食が好きでしたが、最近は和食も好んで食べるようになりました。天ぷらは太るからと思って食べなかったけど、今はスケート教室などでスケートリンクに長くいると身体も冷えますから、程よい油も必要だなと。栄養士さんと相談したら、オリーブオイルやごま油を摂るようになりました。

 

二宮: あまり冷えると免疫力も低下しますから、ある程度は体温を保つために食べておかないといけないですよね。

太田: 油ものは腹持ちもいいので、スケーターにお肉が好きな人が多いんです。それは理に適っているのかなと思います。

 

二宮: フィギュアスケートは美しさも表現しないといけないから、あまり身体が細過ぎてもいけませんもんね。

太田: そうなんですよ。重くならない程度には必要ですよね。軽い方がジャンプを跳べたりもしますから、そこは難しい判断になるんです。やはり程よく脂肪があった方が風邪も引きにくいですから。

 

二宮: 食生活はかなり現役時代から気を付けていらっしゃったんですか?

太田: 母が管理栄養士なんです。でもアスリートの栄養士というわけではなかったので、専門分野ではなかったんですが、基本的なことは教えてもらいました。

 

二宮: 合宿に行く時、栄養士さんは帯同されるのでしょうか。

太田: 場所にもよりますが、国内の長野県の野辺山合宿では体に良さそうなモノが並んでいるビュッフェスタイルで取るんです。アスリートの食事の摂り方が分かる表が置いてあって、それを見て食べるという感じです。食べ過ぎても練習に差し支えるので、だいたいの人は、練習でちゃんと動けるぐらいの腹八分目を心掛けて食べていましたね。

 

nomitai7二宮: 練習もハードだから途中でお腹が空くこともあるでしょう。

太田: そうなんですよ(笑)。練習中はお腹が空くので、小さめのおにぎりやチョコレート、フルーツなどを補給している人もいましたね。

 

二宮: それで空腹をしのぐと。最近ではゼリーで栄養補給をしている選手もいますもんね。

太田: ええ。空きっ腹が理想ではないですが、あまり胃にものが入っていない状態の方が動きやすい。あとはスピンがあるので、水分を身体に入れたいけどあまり飲み過ぎると回転してウッとなることもあります。練習前は汁物を避けて、軽く食べることが多かったですね。

 

二宮: 海外への転戦も珍しくありません。食生活面で外国に行って苦労されたことは?

太田: 3食同じようなものが出てくるので、飽きてしまう人も少なくないですね。その場合、アルファ米(乾燥加工米)やカップ麺などの即席のものを持って行く人が多かったですね。

 

二宮: 日本の食べ物は美味しいでしょう?

太田: そうですね。アイスショーなどで来日する海外のスケーターから「日本で試合をすると太る」と言われますね(笑)。ビーガン(純粋菜食主義者)やベジタリアンの人もいますが、それに対応できるぐらいの品数はある。それもあって日本での試合やショーを「楽しみにしている」と言うスケーターは多いですね。

 

 天才・フェルナンデス、技術のチャン、ジャンプのボーヤン

 

二宮: さて、4月3日まで米ボストンで世界選手権が行われていました。男子シングルはハビエル・フェルナンデス(スペイン)選手が連覇を果たしました。

太田: フェルナンデス選手は身体能力がすごく高いスケーターです。なかなか練習しないタイプだったらしいのですが、“勝ちたい”と思って努力したんでしょうね。天才が努力して、結果を出すようになった。そんなイメージを持っています。

 

二宮: ソチ五輪終了後の休養から帰ってきたパトリック・チャン(カナダ)選手は5位でした。彼は世界選手権3連覇を果たしたこともあるトップスケーターです。チャン選手のスケーティング技術は?

太田: 小塚崇彦さんとパトリック選手のスケーティングスキルは非常に高いです。そこに関しては、2人は他の人が及ばない域にいますね。

 

二宮: プロの目から見て、どこかがすごいのでしょうか?

太田: 一歩一歩のストローク、エッジの伸びが全然違いますね。スケートは足の力で氷を押すエネルギーと、エッジに乗って伸びあがるエネルギーの2つの力で滑り上がるんです。押して押してスピードを出そうとする選手が多い中、彼らはエッジの力をうまく利用して滑っていける。あまり押している雰囲気がなくてもスピードが途切れない。

 

二宮: 力強さだけではなく滑らかで美しいスケーティングということなんですね。フィギュアスケートは今後2つの方向に分かれていくとも言われていますね。4回転ジャンプをどんどん跳ぶアスリート系と、スケーティング技術を入れながら演技をする芸術系。チャン選手は後者になると?

太田: そうですね。でもパトリック選手本人も勝っていくためにはジャンプも必要だと考えているとは思うんです。今後、ISU(国際スケート連盟)が採点基準をどこに重きを置いていくのかにも変わってくると思います。曖昧な部分を残しつつ、芸術性を評価するというのは難しいんですけど、そこを大事にしていきたいなという考えはスケート界にもあると思うんですけどね。

 

nomitai6二宮: それがフィギュアスケートの良さでもありますよね。

太田: ただ中国の4回転を跳ぶボーヤン・ジン選手はすごいんですよ。私も四大陸選手権で目の前で見て、すご過ぎても“降参”という感じでしたね(笑)。ただ果たして、ボーヤン選手がチャンピオンになってしまうシステムだと、何か大事な部分がなくなってしまう気もするんです。

 

二宮: 跳べさえすれば金メダルだろうと……。

太田: ええ。難しいジャンプをただ“跳べばいい”というふうになってしまうのは、何だか寂しいですね。

 

 崩れた軸を戻せるセンス

 

二宮: 羽生結弦選手は今回、惜しくも銀メダルでした。羽生選手はどちらのタイプになりますか。

太田: 羽生選手はスポーティーな部分の方が大きいですかね。やはりジャンプが上手いです。文句のつけようがないくらい流れ、幅、高さと全ての要素が兼ね備わっている。特にジャンプの幅はなかなか出すのが難しいんです。

 

二宮: 具体的には?

太田: 幅は単純に言えば、飛距離ですね。高さについては、スケートのエッジに正しく乗れていないと、高さも出せないんです。

 

二宮: ジャンプの技術だったら世界のトップということでしょうね。

太田: そうですね。あとは空中で軸をつくれる。軸が移動する中で、そこに持って行くのが羽生選手は抜群にうまいんです。

 

二宮: 空中で軸をつくるとはどういうことですか?

太田: ジャンプを跳びながら、軸を修正していくのは難しいんです。羽生選手の強みは、パーフェクトじゃない入りをしても軸を戻すことができるんですよ。

 

二宮: もっと具体的に言うと?

太田: 例えば今回のショートプログラムで、ボーヤン選手は4回転-3回転のコンビネーションジャンプの時に4回転で軸がブレたんですよ。次の3回転をこのままだと転んでしまう恐れがあった。オーバーターンといって、一度氷上でクルッとターンをしてから3回転をつけたんですね。一方、羽生選手は軸が歪んでランディングしたとしても、そのまま3回転を跳んで空中で元に戻して着地ができたんです。普段からそういう練習ができているのかもしれませんし、そういうことをできる選手は数少ない。常に100%で踏み切れるわけではないので、それは羽生選手のすごいところですね。

 

二宮: 空間認識能力にバランスを多少崩してもカバーできる身体能力、そこに天性のセンスとかいろいろなものがあるんでしょうね。

太田: まずはセンスでしょうね。あとはほとんどの人が“ダメだ”と諦めてしまうところを羽生選手は貪欲です。“どうしても4回転-3回転を跳び切る”という強い気持ちがあるんだと思います。

 

二宮: 決意が体を動かしている、ということでしょうか。さて後編は女子選手のことや指導者としてのお話もフリーに語っていただきたいと思います。

太田: 分かりました。口が滑り過ぎないよう気をつけます(笑)。

 

(後編につづく)

 

nomitai3太田由希奈(おおた・ゆきな)プロフィール>

1986年11月26日、京都府生まれ。5歳からフィギュアスケートを始め、同志社女子高1年時には、ISUジュニアグランプリを制する。同年、世界ジュニア選手権で優勝し、日本人として10年ぶり3人目の快挙を達成した。シニアデビューを果たした03-04シーズンには、四大陸選手権を制覇した。豊かな表現力と美しい所作から“氷上のバレリーナ”と呼ばれていた。2008年に現役を引退以降、プロスケーターとしてアイスショーに出演する傍ら、振付師や指導者としても活躍している。

 

 今回、太田さんと楽しんだお酒は本格そば焼酎「雲海」。厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。


提供/雲海酒造株式会社

 

<対談協力>
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土曜日16:00~23:00((L.O.22:00)

定休日 日曜日

 

nomitai2☆プレゼント☆

太田さんの直筆サイン色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はこちらより、本文の最初に「太田由希奈さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。締切は5月12日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。

 

◎クイズ◎

 今回、太田さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。

 お酒は楽しく適量を。

 飲酒運転は絶対にやめましょう。

 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成・写真/杉浦泰介)


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