(写真:新エンブレムに採用され、笑顔を見せる野老氏)

(写真:新エンブレムに採用され、笑顔を見せる野老氏)

 25日、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は都内で会見を開き、新しい大会エンブレムを発表した。佐野研二郎氏がデザインしたエンブレムの使用を中止してから約7カ月。ようやくの決着である。4作品あった最終候補の中から選ばれたのは、野老朝雄(ところあさお)氏が考案したデザインとなった。

 

 新エンブレムは藍色と白色を基調とした市松模様をモチーフとしており、作品タイトルは「組市松紋」だ。オリンピック、パラリンピックの2つのエンブレムは全く同じパーツ、同じパーツ数で構成されている。オリンピックのエンブレムのパーツを組み替えるとパラリンピックのエンブレムの形になるという。製作者の野老氏は「同じピースを組み立てる、繋げていく。それはずっと考えていた」と語った。

 

 武藤敏郎事務総長は選考についてこう述べた。

「本日、東京2020のエンブレムが決定し、皆さんに発表することができました。4月8日に最終候補作品の4作品を公表し、国民の皆さんから意見を聴取した。約10日間で4万人を超える方々から約11万件のご意見をいただきました。最終候補作品への意見という形で今回のエンブレムの選考に参画いただいた方に感謝し、引き続き東京2020のサポーターとして応援いただければありがたく思います。今回のエンブレム(選考)の大きなテーマは“参画”でした」と民意も反映して決定に至った点をアピールした。

 

 東京2020エンブレム委員会の宮田亮平委員長は新エンブレムについて「探して、探して大切な物をようやく見つけた」と喜びの言葉を口にした。組市松紋のデザインの委員会の評価は「シンプルでよい」「日本の伝統、粋を感じる」「クールな印象」という声があがったという。

 

 新エンブレムの製作者の野老氏は「今までにないコンペティションだった。この場にいることを誇りに思います」と胸を張った。藍色と白。モノトーンにした理由は2つある。「潔さ」を表現するためと「夏に行なわれるので、涼しげな色がよかった」と夏季開催のことも視野に入れてのデザインだった。

 

 決定、模倣、取り下げ、再募集のドタバタ劇を経てようやく新エンブレムが決定した。今後はリスタートを強いられた遅れを取り戻すべく、東京2020エンブレムの浸透を急ぐ。

 

(文・写真/大木雄貴)