11月4日、さいたまスーパーアリーナコミュニティアリーナで行われたプロボクシングWBA世界フライ級王座戦は、王者の坂田健史(協栄)が、挑戦者で同級2位のデンカオセーン・カオウィチット(タイ)と対戦した。
 坂田は1Rにダウンを奪われるなど相手の強打に苦しんだが、持ち味のスタミナで終盤には手数で圧倒。勝負は判定に持ち込まれ、112-115、114-112、113-113のドローで坂田が2度目の防衛に成功した。
 序盤は劣勢だった。立ち上がりから坂田は左ジャブで距離を詰めようとするが、パンチの連打でプレッシャーをかけてくるデンカオセーンに対し、パンチが出せない。1R終盤、相手の右ストレートを受けてダウン。「課題はスロースターターであること」との大竹トレーナーの言葉通りの苦しい立ち上がりとなった。

 坂田は相手の強打を警戒してなかなか距離を詰められず、4Rにもデンカオセーンの右アッパーをあごに受けるなど苦しい展開が続く。5Rには得意の左で反撃。7Rには右目上、8Rには左目上を偶然のバッティングによりカットするが、回を重ねるごとにペースを掴み、得意とする接近戦でポイントを稼いだ。

 デンカオセーンは左右のフック、右アッパーで坂田を苦しめたが、終盤は坂田のスタミナの前に、手数が減少。ホールディングで逃れる場面が多くなり、12Rには1点の減点を受けた。

 この減点にも救われ、苦しい展開ながらも、坂田は1−1のドローで2度目の防衛に成功した。試合後、デンカオセーンが4Rに親指を痛めていたことが明らかになった。「最後は片手で戦っているようなものだった」という。

 試合後、坂田は「(初回のダウンは)効いてはいなかったが、びっくりした。後半からエンジンがかかるようではダメ」と反省しつつも「自分の持ち味は出せた。次はもっと強くなった坂田を皆さんに見せたい」とさらなるレベルアップを誓った。

 日本のジムに所属する現役世界王者はWBAミニマム級の新井田豊(横浜光)、世界ボクシング評議会(WBC)同級のイーグル・デーン・ジュンラパン(角海老宝石)、WBCフライ級の内藤大助(宮田)、WBCバンタム級の長谷川穂積(真正)、WBCフェザー級のホルヘ・リナレス(帝拳)と合わせた6人で変わらず。