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(写真:フォトセッションに応じるbjリーグの河内コミッショナー<左から3番目>とファイナルズに進出した4チームのHC<両脇>)

 ラストシーズンを迎えたbjリーグ。14、15日に行われる「ターキッシュ エアラインズ bjリーグ ファイナルズ2016」で、最後のチャンピオンが決まる。イースタン・カンファレンスはレギュラーシーズン1位の富山グラウジーズと同3位の秋田ノーザンハピネッツがぶつかり、ウエスタン・カンファレンスはレギュラーシーズン1位の京都ハンナリーズと同2位の琉球ゴールデンキングス(沖縄)と対戦する。bjリーグは13日、東京・有明コロシアムで前日記者会見を開き、4チームのヘッドコーチ(HC)が意気込みを語った。

 

 残すところ、あと4試合となったbjリーグ。今秋よりNBL(ナショナルバスケットボールリーグ)との統合するため、11年目のシーズンで見納めとなる。

「11年の集大成のファイナルズ。いろいろなドラマが生まれてきた有明でどんな結末が待っているのでしょう」。bjリーグの河内敏光コミッショナーは期待を寄せる。

 

 

 4チーム中、唯一優勝経験を持つのが沖縄だ。それでもアドバンテージにはならないと伊佐勉HCは言う。「逆に初優勝を狙っている3チームの方が勢いというかハングリーさがあると思います。僕らもそこに負けないような気持を持って戦いたい」

 

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(写真:伊佐HC<左>は「ファイナルのことは何ひとつ考えていない。明日がすべて」と京都戦に集中している)

 沖縄は3年前にアシスタントコーチから昇格した伊佐HCの元、人もボールも動くバスケットスタイルを確立させつつある。レギュラーシーズンの平均得点86.2点はリーグトップである。フォワード(F)アンソニー・マクヘンリーら外国人たちに加え、キャプテンでガード(G)岸本隆一がチームを牽引する。岸本は2年前のファイナルで34得点を挙げ、MVPに輝いている。伊佐HCからも「中心的な存在」と信頼は厚い。

 

 ウェスタン・カンファレンスファイナルで戦う京都とはレギュラーシーズンで1勝3敗と負け越している。2年連続でレギュラーシーズン最高勝率の京都。伊佐HCは「安定感抜群。そこを崩してどれだけキングスのペースに持ち込めるか」と警戒を緩めない。指揮官は「ウチがチャレンジャー。京都さんに思いきりぶつかっていければと思います」と意気込んだ。謙虚な姿勢でキングスは王座返り咲きを狙う。

 

 一方の京都は昨シーズン、bjリーグ史上最多の44勝を挙げ、最高勝率をマークしながら有明までたどり着けなかった。リベンジに燃える浜口炎HCは今シーズンも41勝11敗で最高勝率だ。「ケガなどでチームを立て直す機会が何度もあったタフなシーズンだった。選手が最後の1秒まであきらめないチームになってきた」とチームの完成度に自信を覗かせる。

 

 浜口HC就任4年目の京都はこれまで3度、有明の地でファイナルズを戦っているが、いまだファイナルへは進めていない。2年前にわずか56得点に抑えられた沖縄を相手に雪辱を晴らしたいところだ。「(警戒すべきところは)たくさんあるがファーストブレイク(速攻)に注意したい。人もボールもよく動き、どこからでも点がとれる。何とかチームとしてストップしなければいけない」と浜口HC。キーポイントにディフェンスを挙げ、「リバウンドとルーズボールが重要になってくる」と語った。悲願の初優勝に向けて、まずは鬼門を突破しなければならない。

 

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(写真:bjj初年度に選手として有明の開幕戦のコートに立った長谷川HC<左>)

 イースタン・カンファレンスは3年連続の秋田と2年ぶりの富山がファイナルズに進出。2年ぶりに有明で“再会”する両者、今シーズの対戦成績は富山の3勝1敗である。

 

 2年連続準優勝と、あと一歩チャンピオンリングに届かない秋田は“3度目の正直”を狙う。就任2年目の長谷川誠HCも「3年連続でこの場(有明)に来られたことをうれしく思う。1戦1戦大事に戦っていきたいと思います」と抱負を述べた。

 

「常にエナジーを出しながらやってきた」と熱狂的なブースターの後押しを背に35勝17敗でレギュラーシーズンは3位。プレイオフでも得点王のセンターフォワード(CF)ルブライアン・ナッシュ擁する福島ファイヤーボンズ、シーズンMVPのCFウェンデル・ホワイトがいる仙台89ERSを破って勝ち上がってきた。

 

 攻守のバランスがいい富山相手に長谷川HCは「富山はディフェンスもオフェンスも攻撃的なチーム。我慢しながらディフェンスし、しっかりそこからリバウンドをとること」がカギを握ると見る。センター(C)スコット・モリソン、パワーフォワード(PF)レイ・ターナーらインサイドのプレーヤーが制空権を制すことで、悲願の初優勝へ近づく。

 

 2年前のリベンジに燃える富山は、最優秀HCに輝いたボビー・ナッシュHCが率いる。ナッシュHCは「ここまで来るのにハードに戦ってきた。チーム関係者の期待にそえるよう戦いたい。賢くスマートに協力し合い、ハードにプレーする」とコメントした。

 

 レギュラーシーズンの平均得点84.8点、平均失点73.7点はいずれもリーグ2位である。攻撃はシューティングガード(SG)城宝匡史、Fデューク・クルーズ、CFサム・ウィラードを中心に得点を重ねる。ナッシュHCはまず守備に重点を置く。「これまで通りハードにチームディフェンスして、互いに助け合ってディフェンスに取り組みたい」。日本代表の秋田のSG田口成浩らシューター陣をいかに抑えるかもポイントとなりそうだ。

 

“聖地”有明まで勝ち進んできたのは京都、沖縄、富山、秋田。奇しくも2年前のファイナルズと同じ組み合わせとなった。13-14シーズンは沖縄が京都を、秋田が富山を下しファイナルに進出。沖縄が初制覇を狙う秋田を退け、最多タイとなる3度目のチャンピオンリングを手にした。

 

 果たして、今年は沖縄が4度目の戴冠で歴代1位となるのか。それとも初優勝を京都、富山、秋田が成し遂げるのか。

 

【ファイナルズ】 ※場所はすべて東京・有明コロシアム

 

5月14日(土)

<ウエスタン・カンファレンス ファイナル>(13:10~)

 京都ハンナリーズvs.琉球ゴールデンキングス

<イースタン・カンファレンス ファイナル>(17:10~)

 富山グラウジーズvs.秋田ノーザンハピネッツ

 

5月15日(日)

<3位決定戦>(12:40~)

<ファイナル>(17:10~)

 

(文・写真/杉浦泰介)