7日、キリンカップサッカー2016決勝が大阪・吹田スタジアムで行われ、日本代表(FIFAランキング53位)はボスニア・ヘルツェゴビナ代表(同20位)に1-2で惜敗した。準決勝のブルガリア代表戦のスタメンから4人を入れ替えた日本は、前半28分にMF清武弘嗣のゴールで先制する。だが、直後にボスニア・ヘルツェゴビナのFWミラン・ジュリッチに得点を許して同点で試合を折り返した。後半に入ると21分に再びジュリッチにゴールを割られ、逆転負け。日本は準優勝で、5年ぶりに開催されたキリンカップを制することはできなかった。

 

 小林祐希、A代表初キャップを記録(吹田スタジアム)

日本代表 1-2 ボスニア・ヘルツェゴビナ代表

【得点】

[日] 清武弘嗣(28分)

[ボ] ミラン・ジュリッチ(29分、66分)

 

 FW本田圭佑、MF香川真司を負傷で欠く中、日本はスタメンにFW宇佐美貴史、FW浅野拓磨を両サイドに起用して格上との試合に臨んだ。

 

 前半2分、190センチを超えるジュリッチにヘッドでゴールを脅かされるが、GK西川周作が見事なセーブで防いだ。デンマーク代表との準決勝で2ゴールをマークした大型FWにいきなりゴールへ迫られた。

 

 その後、日本は相手にペースを握らせず、サイドからのフリーランニングとワンタッチパスをうまく使い徐々に敵陣へと迫る。この形が実ったのが28分だった。宇佐美が左サイドでボールを持って相手DFと対峙する。その外を左サイドバックの長友佑都が労を惜しまないランニングで追い越した。長友につられたDFの動きを見逃さなかった宇佐美は、そのままドリブルでペナルティーエリアに切り込み、左足でグラウンダーのクロスを入れた。このクロスにニアで清武が左足で合わせると、ボールはクロスバーに当たりゴールに吸い込まれた。数人が連動して奪った理想的なゴールだった。

 

 日本はこのまま試合を優位に進めたかったが、ボスニア・ヘルツェゴビナが牙をむく。29分、中盤からのロングボールにFWアルミン・ホジッチが頭で合わせる。このシュートは西川が防いだが、こぼれ球に反応したジュリッチに押し込まれて日本は同点に追いつかれる。得点した直後だっただけに、もったいない時間帯での失点だった。

 

 同点で試合を折り返し、後半に入ると日本は積極的に両ウィングがボールのないところで裏を取る動きを見せる。これに合わせて、ボランチ、センターバックから長いボールが出る。ここからチャンスが生まれそうな雰囲気もあった。しかし前半は細かいパス、ランニング、スルーパスで相手のサイドをえぐってチャンスを作っていた日本の歯車が少しずつ狂っていく。

 

 自分たちでリズムを崩した日本は21分、一瞬の隙を突かれる。FKからのボールを交代で入ってきたばかりのMFミロスラフ・ステバノビッチが、日本の左サイドでパスを受ける。ワントラップで長友を振り切って、ペナルティーエリア内へスルーパスを供給した。これに反応したジュリッチに右足でゴールへ流し込まれて逆転を許す。日本は相手チームの交代直後、集中を欠いていたように映った。あまりにも稚拙な守備だった。

 

 その後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はMF小林祐希、FW金崎夢生、FW小林悠と攻撃的なカードを次々と切るが奏功せず、試合は終了した。日本は悔やまれる失点で涙を飲む結果となった。

 

 試合後、主将のMF長谷部誠は「自分たちのホームで負けてしまったので悔しい。体格的に相手が有利だったが、セットプレー、得点シーンもそうですがフィジカル的なところで簡単にやられてしまっていた。チームとして連動した守備をもっとやっていかないといけない」と課題を口にした。一方、トップ下で攻撃陣を牽引した清武は「残念です。このままだとダメだと思うので、しっかりレベルアップしたい」と危機感を募らせた。

 

 次なる戦いはロシアW杯アジア最終予選だ。まずは9月1日にUAEをホームに迎える。残り約3カ月と時間は決して多くないが、気持ちを切り替えて大事な初戦に臨んでほしい。

 

(文/大木雄貴)