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(写真:女子はキャプテンの中村<前列左から2番目>、山口<前列左から3番目>らほぼ順当なメンバーが入った)

 29日、日本ラグビー協会はリオデジャネイロ五輪7人制ラグビー男女日本代表最終候補を発表した。男子はキャプテンの桑水流裕策(コカ・コーラレッドスパークス)、15人制日本代表の山田章仁(パナソニックワイルドナイツ)ら14名、女子はキャプテンの中村知春(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、女子唯一のプロ選手・山口真理恵(Rugirl-7)ら13名が選ばれた。今後、男女代表は国内合宿などを経て、リオ五輪に出場する。

 

 決戦の時、迫る。リオデジャネイロ五輪より正式種目として採用される7人制ラグビー(セブンズ)は女子が開会式直後の8月6日、男子が9日からスタートする。ラグビー界の新たな歴史を刻む一員に日本も加わった。

 

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(写真:「我々のセブンズを世界に発信していきたい」と意気込む瀬川HC)

 男女ともに掲げる目標はメダルである。いずれもリオの舞台で“ジャパン・ウェイ”を世界に披露する。男子の瀬川智広ヘッドコーチ(HC)が標榜するのは「ボールを動かし続けるラグビー」だ。「人とボールが止まることなく俊敏に、スペースに動かし続ける」とアジリティを生かした戦いで世界をかき回す。一方、女子の浅見敬子HCは「走り勝つラグビーを最後まで貫き通してリオに旅立ちたい」と抱負を語る。貫き通すのは目標も一緒。狙う表彰台のど真ん中だ。「最後までブレず、目標を下げずに貫き通したい」と力強く宣言した。

 

 そのタスクを達成するために男子は14名、女子は13名の最終候補を発表した。本戦では12名の登録となる。男子の瀬川HCは「厳しい練習を共にしてきた。苦しい思いがありました。1人1人の想いを考えると簡単には答えを出せなかった」と胸の内を明かした。「ラグビーの理解力、セットプレーなど各選手の強みを鑑みて選考した。現時点でベストの14人」と瀬川HC。女子の浅見HCは「心身ともにタフで戦える選手」を選んだ。

 

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(写真:関係者への感謝の気持ちや選ばれなかった選手への想いを口にした両キャプテン)

 ピッチの指揮官とも言えるキャプテンも、背負う想いは大きい。男子の桑水流が「選ばれなかった選手の分、応援していただけるファンのためにもメダルを獲って帰ってきたい」と語れば、女子の中村は「日本ラグビーを育ててくださったすべての方々への感謝の気持ちを持ちつつ、オリンピックという夢を追いかけた仲間の想いを一緒にリオの舞台で台風の目になる」と誓った。

 

 両トライゲッターは気合十分。男子の山田は15人制ラグビーで今も現役バリバリの代表選手である。世界最高峰リーグのスーパーラグビーにも参戦しており、ヒト・コミニケーションズ・サンウルブズの一員としてトライを量産中だ。「セブンズを始めたのは10年前。いいことも悪いことも経験してきた。そのすべてをかけて、メダルの色はもちろん金」と高い目標を掲げる。女子の山口はこう述べた。「今まで私たちがやってきたことをしっかり出して日本の歴史、女子ラグビーの歴史を変えられるような結果を出す。ひとつひとつ、一瞬一瞬に魂を込めてプレーしたい」

 

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(写真:「シンプルにトライはチームを勢いづける。トライをとることにこだわりたい」と語る山田)

 28日にはリオ五輪でのプール分けも決まった。男子はニュージーランド、イギリス、ケニアと同じプールC。同じくプールCの女子はカナダ、イギリス、ブラジルと同組となった。1次リーグは12カ国が3組に分かれ、各プール上位2チームは自動的に決勝トーナメント進出。加えて各プール3位のうちの上位2カ国までが準々決勝に進む。男女の指揮官はいずれも「いいプールに入った」と口を揃える。

 

 瀬川HCは「ニュージーランドは世界1位、2位を争うようなチームですが、オーソドックスなので対策は立てやすい。イギリスは連合チームゆえに日本の組織プレーは生きてくるんじゃないかと思います。ケニアはワールドシリーズのラスベガス大会で勝っており、ムラがあるチーム」と分析。「見せたことがないような攻撃で揺さぶって、メダルを獲る」と意気込んだ。女子の浅見HCは「カナダとイギリスに勝つことはできていないが惜敗。手応えを感じています。ブラジルは急速な強化を図っているという点では日本と似ている。冷静さを欠かないことがポイント」と語る。

 

 昨年の秋に行われたW杯では、ジャパンが世界にビッグインパクトを残した。2019年には日本でW杯が、その翌年には東京でオリンピックが開催される。日本ラグビー界がこの機運に乗って、飛躍を遂げるためにはセブンズが重要な足掛かりとなる。

 

リオデジャネイロ五輪日本代表最終候補

 

・男子

副島亀里ララボウ・ラティアナラ(玄海タンガロアラグビー)

山田章仁(パナソニックワイルドナイツ)

桑水流裕策(コカ・コーラレッドスパークス)

トゥキリ・ロテ(北海道バーバリアンズ)

坂井克行(豊田自動織機シャトルズ)

レメキ・ロマノ・ラヴァ(ホンダヒート)

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(写真:山田<後列左から2番目>、藤田<後列左から3番目>など15人制ラグビーでW杯に出場した選手も選出)

彦坂匡克(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)

羽野一志(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)

後藤輝也(NECグリーンロケッツ)

徳永祥尭(東芝ブレイブルーパス)

福岡堅樹(パナソニックワイルドナイツ)

合谷和弘(クボタスピアーズ)

藤田慶和(パナソニックワイルドナイツ)

松井千士(同志社大学)

 

※大島佐利(サントリーサンゴリアス)

※豊島翔平(東芝ブレイブルーパス)

※小澤大(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)

※安井龍太(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)

※鶴ケ崎好昭(パナソニックワイルドナイツ)

※ジェイミー・ヘンリー(PSIスーパーソニックス)

 

・女子

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(写真:女子の新ジャージには桜の花弁を7つあしらっている)

兼松由香(名古屋レディース)

竹内亜弥(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

中村知春(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

加藤慶子(世田谷レディース)

桑井亜乃(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

山口真里恵(Rugirl-7)

冨田真紀子(世田谷レディース)

横尾千里(東京フェニックスRC)

谷口令子(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

中丸彩衣(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

大黒田裕芽(立正大/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

山中美緒(立正大/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

小出深冬(東京学芸大)

 

※鈴木彩香(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

※三樹加奈(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)

 

※バックアップメンバー

 

(文・写真/杉浦泰介)