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(写真:出場予定のシニアトップ選手と共にポーズをとる池森会長<中央>)

 日本プロゴルフ協会(PGA)のシニアツアー「ファンケルクラシック2016」は8月19日から3日間、静岡県の裾野カンツリー倶楽部で開催される。4日に東京都内のホテルで、初優勝を目指す中嶋常幸ら出場予定のプロが集まり、記者発表会が行われた。大会会長を務めるファンケルの池森賢二代表取締役会長 グループCEOは「家族のみなさんで楽しんでいただける大会ということで、裾野の有名な行事のひとつになりました」と挨拶した。

 

「シニアの元気が日本の元気!!」をスローガンに、シニアツアーで存在感を発揮してきたのがファンケルクラシックだ。2001年からスタートし、今年で16回目を迎える夏のゴルフ一大イベント。昨年は3日間で2万1915人のギャラリーを集めた。これで6年連続来場者数が2万人を超えている。予選カットなしのため、ケガや棄権などがなければ出場全選手のプレーを3日間堪能できることも魅力のひとつだろう。

 

 今年は連覇を狙う室田淳、PGA会長の倉本昌弘、地元・静岡県出身の芹澤信雄、中嶋らプロアマ計75名が出場予定だ。シニアツアーの中でも高額な賞金で知られるファンケルクラシック。過去15回中10回の覇者が、そのまま賞金王の座に輝いている。今年はさらに賞金増額が発表され、昨年の総額6300万円から7200万円にアップした。優勝の副賞にはトヨタ自動車のクラウンハイブリッドが贈呈されることが決まり、選手たちの鼻息も荒い。

 

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(写真:シニアだけでなくレギュラーツアーでもプレーする中嶋)

 中でも中嶋は「残念なことにまだ一度も勝ったことがありません。念願よりも悲願になりつつありそう」と口にするほど、喉から手が出るほど欲しいタイトルのひとつだ。「特別な試合。これに勝てばプロゴルファーとして思い残すことは何もないというぐらい。最後に18番(ホール)が終わって“オレを誰だと思っているんだ”とみんなに向かって叫んでみたいですね。勝ったら泣いちゃうかもしれない。今年は秘めた闘志で頑張ります」と、冗談交じりに大会に懸ける特別な思いを語った。

 

 日本ツアー48勝、シニアツアーでも5勝を挙げるなど数々のタイトルを手にしてきた中嶋。これまで獲れなかったことに対しては「たまたま。タイミングの問題だと思う」と話す。「波を掴めば、いいスコアが出る」と裾野のコースに関しても苦手意識はない。

 

 一方で、その中嶋に“先制口撃”をしたのが、今年がシニアデビューとなる鈴木亨だ。「TVで観ていた大会。すごく憧れを持っていて、ようやくこの場所に立てるということでうれしい気持ちでいっぱいですし、ワクワクしています」と出場を喜ぶと、「あれだけ多くの優勝回数を重ねておられますけど、中嶋さんの勝ってないトーナメントが僕の優勝しているトーナメント。まだファンケルで勝たれていないということで僕にもチャンスがあるんじゃないかと思った次第です」と発言。中嶋も「亨には絶対負けない!」と応戦した。

 

「2万人を超すギャラリーが集まって、レギュラーツアーでもなかなか集まる大会は最近ない」と鈴木が語るように、ファンケルクラシックは国内でも屈指の人気誇る。倉本は「選手とギャラリーと関係者が一体となって盛り上げる稀有な大会」と称した。初めてのシニア大会がファンケルクラシックだった湯原信光は「各ホールで笑い声。選手とギャラリーが一緒になって楽しそうにプレーするのがシニアの試合」とシニアならではの魅力を伝えた。

 

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(写真:藤田寛之を育てるなど名コーチとしての顔も持つ芹澤)

 第1回大会から解説者、プレーヤーとして関わっている芹澤は、静岡県を拠点に活動しており裾野のコースを熟知する1人だ。「10年かけてグリーンは競技志向になってきた。状態も素晴らしい。富士山が見られる素晴らしいコース」。芹澤はまだファンケルクラシックでの優勝経験はないが、「今年はかなり期待していただきたい」と意気込んだ。

 

 大会来場者にはファンケル商品のプレゼントや体験コーナーの設置など、その他イベントも満載だ。選手たちのプレーを堪能する以外にもいろいろと楽しめるようになっている。なお、大会収益金やオークションの売り上げなどは「ファンケルクラシック基金」として、地元の裾野市や社会福祉法人に寄付している。昨年は総額590万4212円が集まり、全額を寄付した。今大会でも例年通りにファンケルの池森会長、第1回から3連覇を達成した高橋勝成、当サイト編集長の二宮清純の3人の運営委員が協議の上、寄付先を選定し、社会貢献活動に充てられる。

 

(文・写真/杉浦泰介)