8日(日本時間)、フランスでEURO2016準決勝が行われ、フランス(FIFAランキング17位)がドイツ(同4位)に2-0で勝利した。開催国フランスは前半アディショナルタイムにMFアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)のPKで先制。後半27分にはグリーズマンが2ゴール目を決め、フランスが4大会ぶりに決勝へ駒を進めた。

 

 トップ下のグリーズマンが躍動(マルセイユ)

フランス 2-0 ドイツ

【得点】

[フ]アントワーヌ・グリーズマン(45+2分、72分)

 

 開催国の意地と、14年W杯王者の意地がぶつかり合う白熱した試合だった。

 

 前半7分、まずはフランスが仕掛ける。中盤でボールを持ったグリーズマンがMFブレーズ・マテュイディ(パリ・サンジェルマン)とのパス交換でペナルティーエリア内に侵入すると、DF2人をかわして右足インサイドでゴール右隅を狙う。これはドイツの守護神マヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)が左手一本で防ぐ。

 

 この攻撃でフランスが波に乗るかと思ったが、徐々にドイツがボールを支配する。センターバックを起点にして右に左にボールを動かし、フランスに的を絞らせないボールポゼッションを見せる。

 

 ドイツは13分にMFエムレ・ジャン(リバプール)の右からのクロスにFWトーマス・ミュラー(バイエルン・ミュンヘン)がスライディングでシュートを打った。14分にはDFヨナス・ヘクター(ケルン)の左クロスからジャンの左足ボレーを放つ。16分にはミュラーが右足で強烈なミドルシュート。サイドからも中央からもフランスゴールを脅かすが、いずれもネットを揺らすことはできない。

 

 以降もドイツはMFト二・クロース(レアル・マドリード)、MFメスト・エジル(アーセナル)を中心にボールを支配した。フランスにチャンスを与えなかったものの、ゴール前を固めるフランスの守備を崩せない。

 

 ボールは回させても最後の局面で粘りを見せていたフランスにビッグチャンスが訪れる。前半アディショナルタイム、フランスは右CKを獲得した。グリーズマンがライナー性のクロスを上げると、DFパトリス・エブラ(ユベントス)と競り合ったMFバスティアン・シュバインシュタイガー(マンチェスター・ユナイテッド)が手でボールに触れてしまう。フランスがPKを獲得する。これをグリーズマンがゴール左上に決めた。相手の猛攻に耐えたフランスが先制点を奪取した。攻勢を仕掛けていたドイツにとって精神的ダメージの大きいゴールだった。

 

 後半に入っても、ボールを保持するドイツ、守るフランスの形勢は変わらない。しかし、前半とは違いドイツに決定的な場面をフランスはつくらせなかった。堅固な守備で徐々にペースを掴むと、エースが大きな仕事をやってのける。27分、MFポール・ポグバ(ユベントス)が左サイドからクロスを入れる。飛び出してきたノイアーにクリアされるが、こぼれ球をグリーズマンが左足のつま先で合わせた。ボールはノイアーの股下を通過。貴重な2点目が入った。守備陣の奮闘にまたしてもエースが応えた。

 

 ドイツは得点をもぎ取るため前線に人数を割くが、フランスが身体を張った守備を最後まで貫きシャットアウト。ホスト国のフランスが2-0で、2000年大会以来の決勝進出を決めた。

 

 この日の2得点でグリーズマンは今大会6ゴールとし、得点ランキング2位のポルトガル代表のエースFWクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)らとの差を3点に広げた。11日3時(日本時間)にサンドニで行われるポルトガルとの決勝戦はトップスコアラー対決にも目が離せない。フランスが勝利すれば、1984年フランス大会以来のホスト国の優勝だ。32年前の再現なるか。それともポルトガルが悲願の初制覇を果たすのか。

 

(文/大木雄貴)