来年9月30日のえひめ国体開幕に向け、県内各自治体で競技別リハーサル大会の開催が始まっている。


 競技別リハーサル大会とは、国体に向けて競技会運営能力の向上を目的としたもの。参加者の誘導、競技進行、安全管理、観客の案内、各種ホスピタリティ、そして周辺での選手たちの民泊対応など、1年後の国体に向けて、すべてが本番を想定して行われる。


 このシミュレーションで課題を洗い出すことで、えひめ国体がよりよい大会となることはいうまでもない。
 また競技開催地では予行演習という位置づけとともに、「わが市、わが町でえひめ国体が行われる!」という国体開催の気運醸成を図ることも目的のひとつだ。

 

なぎなた全国01◆全国規模の大会で予行演習
 5月28~29日、なぎなたのリハーサル大会「第57回都道府県対抗なぎなた大会」が行われた。会場は松山市総合コミュニティセンター体育館、もちろん国体本番でもなぎなたの開催会場となる。全国規模で参加選手数も多いこの大会は、リハーサル大会にはうってつけの舞台だ。ちなみにリハーサル大会の規模は競技によって様々で、中小規模の大会をリハーサル大会としている競技もある。


 競技を開催する松山市では、国体を見据えてJR松山駅前に案内所を設置した。国体で案内所の運営担当は愛媛県となるが、市当局は人員派遣という形で協力する。それを想定しての案内所設置である。

 

 愛媛県代表を含めて全国47都道府県の選手が集まったこの大会、リハーサル大会としてどう機能したのか。松山市国体競技課なぎなた担当・赤松佳奈氏に話をうかがった。
「今回は前日に諸会議を実施して、翌日から競技開催という本番同様のスケジュールで開催しました。天候はあいにくの雨でしたが、雨天を想定した対策を考えるのにいい教材となりました。国体開催期間の9月末から10月初旬は台風シーズンでもあるので、雨天対策は万全を期したいと思っています。
 また国体では各選手はバスで会場入りすることになります。駐車場対策も課題のひとつとして浮上しました」

 

 --参加した選手、監督からリクエストや要望などは?
「準々決勝、準決勝と勝ち上がるに従って休憩時間が短くなります。こうなると控え室に戻ることが難しくなる。適切な水分補給のために試合会場の近くに給水所のようなものが欲しい、という声をいただきました。その際には面をつけたままでも飲めるようにストロー付きが望ましい、など選手ならではの意見もいただきました。
 また会場を移動する際に土足厳禁の場所と大丈夫な場所、その掲示を分かりやすくして欲しいという声もありました。その他では練習場所への案内誘導の改善も課題として残りました。
 このリハーサル大会で得られたデータを元にして、国体に向けより良い競技環境を構築していきたいと思っています」

 

 なお松山市では今回、売店やふるまいコーナーを設けて、来場者へのおもてなしを実施した。ふるまいコーナーでは松山名物の坊っちゃん団子が配られ、売店はその坊っちゃん団子の亀井製菓や絣(かすり)製品で知られる白方興業、刺繍のイトダネームが出店した。
 出店内容や規模は未定だが、えひめ国体でも「おもてなし」のための売店ブースが設けられる予定だ。

 

なぎなた全国02◆お家芸「なぎなた」に自信
 さて国体本番に向けてリハーサル大会で貴重な経験をしたのは、競技運営サイドの松山市だけではない。都道府県対抗なぎなた大会で見事に総合優勝を飾った愛媛県代表も、来年のえひめ国体に向けて上々の滑り出しを見せた。
 前出の赤松氏も「県代表が勝ったことで運営側のモチベーションもさらに上がっています」と語った。

 

 愛媛県のお家芸のひとつ、なぎなたの現状について、県なぎなた連盟・木野昭美理事長はこう語っている。
「国体前哨戦の都道府県対抗大会で良い成績を残し、そしていわて国体へつなげる。それが今年の愛媛県代表の目標だったので、ひとまず最初の一歩を最高の形でクリアできたのでホッとしています。
 この後は8月の予選会を経て10月のいわて国体が目標となります。
 都道府県対抗大会の代表は社会人だけで構成されますが、国体・成年の部には大学生選手も出場できます。今回、勝った社会人選手を脅かすような学生選手が出てきたら、それも愛媛県代表の強みとなるでしょう。
 国体はやってみないと分からない部分もありますが、まずは勝つために日々のお稽古を頑張るしかないと思っています。特に社会人選手について、練習時間が確保できるように様々な配慮をいただいている企業様には大変感謝しております。
 来年のえひめ国体優勝に向けて、開催が決まったときから選手強化などを進めてきました。今年の都道府県対抗戦で優勝したことは、予定よりもペースが早くて驚いています。これも選手達の日々の努力の結果かと思っています」

 

 えひめ大会まで1年と2カ月。県内の開催機運も徐々に高まってきている。なぎなたを筆頭として日々奮闘しレベルアップを図る愛媛県代表の、いわて、そしてえひめ国体での戦いを楽しみに待ちたい。


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