11日(日本時間12日)、卓球男子シングルス3位決定戦が行われ、水谷隼(becom.LAB)がウラジーミル・サムソノフ(ベラルーシ)を4-1で下した。水谷は日本男子初、シングルスとしては日本勢初のメダル獲得となった。女子シングルスに続き中国勢の対決となった決勝は、馬龍がロンドン五輪金メダリストの張継科をストレートで破った。

 

 得点をするたび、そしてゲームを獲るごとに水谷の声とガッツポーズは大きくなっていった。銅メダルを決めた第5ゲーム、それは最高潮に達した。サムソノフのレシーブがネットに当たると、水谷はガッツポーズをしたままフロアに倒れ込んだ。立ち上がった後もその喜びは収まらなかった。

 

 3位決定戦で水谷は第1ゲーム、第2ゲームと連取した。第2ゲームは7-9の劣勢を跳ね返しての逆転だった。第3ゲームをサムソノフに取られたあと、勝負の山場は第4ゲームに訪れた。9-5とリードしていたが、サムソノフがポイントを連取してジュースにもつれ込む。「相手もあきらめない気持ちが伝わってきたから、自分も絶対にあきらめなかった」と強い意志を見せた水谷は、最後は14-12でゲームを奪い、第5ゲームも11-8で連取し銅メダルを決定した。

 

 今大会、水谷は組み合わせにも恵まれていた。馬龍、張継科の中国の2強とは準決勝まで当たらない。その運を活かしたのも実力のうちである。

 1月の全日本卓球選手権、8度目のシングルスを制した際、水谷は前陣で勝負する攻撃的なスタイルへモデルチェンジを図った。世界の潮流に合わせた水谷の決断は、オリンピックの大舞台で実を結んだ。

 

「今度は団体のメダルを狙います」
 日本卓球に新しい栄冠をもたらした水谷の目はさらに先を見ている。