日本サッカー協会(JFA)は24日、評議員会と新理事による理事会を開き、大仁邦彌新会長の就任をはじめとした役員人事を決定した。理事会終了後、大仁会長ら協会幹部が記者会見し、今後のサッカー協会について所信表明を行った。小倉純二前会長は1期2年で退任となり、名誉会長へと就任した。
 その他の役員人事では、副会長に大東和美Jリーグチェアマン、田嶋幸三氏(前専務理事兼任)が留任。田嶋氏が退任した専務理事には田中道博氏が就任した。また、元日本代表の北澤豪氏と02年、06年のW杯で主審を務めた上川徹氏らが新しく理事に就任した。
(写真:左から田中専務理事、田嶋副会長、大仁会長、大東副会長)
「小倉前会長から引き継いだ点を、日本サッカーのためにしっかりとやっていきたい。それはブラジルW杯の出場権獲得、女子サッカーの拡大と発展、東日本大震災で被災した地域への支援、公益財団法人としての基盤固めだ」
 大仁会長は会見冒頭で新執行部の目標をこう語った。今回の会長選考については推薦委員長を務めた小倉前会長が、これら4点を遂行できる人物を重視。その上で、選考委員会が選出したのが大仁氏だ。

 大仁会長は選手として神戸高、慶応大学を経て三菱重工(現浦和)でプレーし、日本代表としても国際Aマッチ44試合に出場。引退後は、日本代表コーチ、三菱重工の監督を務めた。JFAでは強化委員長、技術委員長、常務理事、女子委員長などを歴任。今回の改選までは日本フットサル連盟の会長も務めた。現場と組織での幅広い経験は、日本サッカー界の発展に大きく役立つはずだ。

 日本サッカー界は先述の4つの目標以外にも、Jリーグのシーズン移行検討などの課題を抱えている。その上で、大仁会長は自身の目標として「(シーズン)カレンダーの問題に取り組み、東京にJFA自前のトレーニングセンターを建設したい」と表明した。焦点はカレンダーの移行問題だ。日本サッカー界では、世界規準に合わせるため、現行のJリーグ春秋制を欧州で主流の秋春制に移行することが検討されている。ただ、降雪量の多い地域のクラブや関係者からは反対論が根強い。これについて会長は「秋春制に移行するということではなく、日本サッカーにとって、どのようなシーズンが一番いいのかという観点で議論したい」と語り、すぐに結論を出す考えはないことを明かした。

「私には歴代の会長のようなリーダーシップはないと思っている。会長としてのストロングポイントもあまりない。ただ、DF出身なので、苦しいことに辛抱するのは慣れている。とにかく、コミュニケーションをよくとり、みんなと話し合いながら進めていきたい」
 大仁会長はこう会見を締めくくった。辛抱強い新リーダーのもと、日本サッカー界は新たな道を歩み始める。

※新しい日本サッカー協会の役員は以下のとおり。任期は2014年3月までの2年間となる。

【日本サッカー協会 新役員人事】

会長
大仁邦彌

副会長
大東和美、田嶋幸三

専務理事
田中道博

常務理事
小川勇二、藤縄信夫、松崎康弘、中野幸夫、植田昌利

理事
佐々木一樹、瀧井敏郎、植田栄治、林義規、大河正明、日比野克彦、
原博実、上川徹、北澤豪、三好豊、大岩真由美、田畑博章、岸慎一、
坂庭泉、中和昌成、尾関孝昭、新宮博、逢坂利夫

監事
岩城健、原秋彦

特任理事
福林徹、池田正利、綾部美知枝、手嶋秀人、大倉健史、西村昭宏、
中西哲生、野田朱美