18日(日本時間19日)、バドミントンの女子ダブルス決勝が行われ、世界ランキング1位の高橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)が同6位のカミラ・リターユヒル&クリスティナ・ペデルセン(デンマーク)を2-1で破った。高橋と松友の“タカマツ”ペアは日本勢初の金メダルを獲得した。女子シングルス準決勝は世界ランキング6位の奥原希望(日本ユニシス)が同10位のシンドゥ・プサルラ(インド)にストレート負け。3位決定戦でロンドン五輪金メダリストの李雪芮(中国)と対戦する。

 

 結成10年目の集大成は黄金色に輝く勲章を手にした。世界ランキング1位の“タカマツ”ペアが五輪という舞台でもナンバーワンを証明し、頂点に立った。

 

 決勝戦の相手リターユヒル&ペデルセンのペアとは対戦成績で7勝4敗と勝ち越しており、5連勝中だった。とはいえ、ロンドン五輪でベスト8入りし、昨年の世界選手権では準優勝を果たしている。リターユヒルは183センチのレフティーで、ペデルセンは右利きの178センチ。強打を誇る長身ペアは決して侮れない。

 

 “タカマツ”ペアは第1ゲームからデンマークペアの角度あるスマッシュに苦しめられた。序盤は4-7とリードを許した。それでも世界一のコンビネーション誇る“タカマツ”ペア。前衛・松友、後衛・高橋という得意の型で徐々にリズムを掴んでいく。だが中盤から終盤以降、松友にミスが目立った。競り合いの末、このゲームを18-21で落としてしまう。

 

 このまま第1ゲームの流れをずるずると引きずらないところも強みだろう。第2ゲームは松友が巧みな配球で相手を崩す。高橋も多彩なショットを打ち分けて、コートにシャトルへ叩き込んだ。序盤から8-2とリードするなど、第2ゲームは完全に“タカマツ”ペアのペースだった。最後は高橋のショットが決まり、21-9でゲームカウントを1-1のタイにした。

 

 勝負の行方はファイナルゲームへ。どちらが勝っても初の五輪制覇である。両ペアの意地と意地とがぶつかり合う熾烈な熱戦となった。松友は相手の裏をかくような嫌らしいショットで揺さぶれば、デンマークペアは強打で押し込んでくる。高橋が剛柔使い分けた打球を放てば、相手は長いリーチでシャトルを拾った。一進一退の接戦。12-10から4連続ポイントを奪われ、デンマークペアが抜け出す。

 

 その後は互いに得点を重ねて16-19――。“タカマツ”ペアは、あと1点を失えば、マッチポイントを許す厳しい展開となった。それでも彼女たちは最後まで退かなかった。松友がネット際から押し込んで、17-19と差を詰める。しびれる様な状況にもクレバーな松友は冷静さを失わない。連続ポイントで19-19と同点に追いついた。そしてペデルセンの返球がアウトとなり、20-19。ついに逆転でマッチポイントを手にした。最後は高橋の強打を相手が返し切れなかった。シャトルがネットに弾かれた瞬間、松友は噛み締めるようにしゃがみ、高橋は倒れ込んで喜びを爆発させた。

 

 窮地からの5連続得点での大逆転劇。「競った場面で追いついた時、“こういう時は自分たちが強い”と思ってプレーできた」と高橋。松友は「“自分たちがやってきたことを最後まで出そう”と思って、それが出せた」と語る。“タカマツ”ペアは最後まで“自分たちらしさ”を見失わなかった。

 

 高校時代から組む1学年違いの先輩後輩ペアである。4年前のロンドン五輪では日本勢4番手に位置し、選考レースで出場権を得ることができなかった。2人は日本勢が銀メダルを獲得した時から“4年後は自分たちが”との想いを強くした。目指すは金メダルただひとつ。年間ランキング上位8組までが出場できるスーパーシリーズファイナルズで優勝しても、世界ランキング1位になっても、その目標はブレなかった。

 

 一途に夢を追いかけた“タカマツ”ペア。ついに目指すべき頂に辿り着いた。

 

(文/杉浦泰介)

 

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