21日、第98回全国高等学校野球選手権大会の決勝戦が行われ、作新学院(栃木)が7-1で北海(南北海道)を下し、54年ぶり2回目の優勝に輝いた。作新は、1点を追いかける4回表に一挙5得点を奪って逆転に成功した。5回表にも鈴木萌斗(2年)の好走塁で1点を追加し、7回にも1点を加える。投げてはエースの今井達也(3年)が7安打1失点完投で試合を締めた。

 

◇決勝

 エース・今井、9安打1失点9奪三振

作新学院(栃木)    7 = 000|510|100

北海(南北海道)    1 = 010|000|000

 

 作新の小針崇宏監督は、試合前に「毎試合5、6点を奪っているので、今日も5、6点を目指したい」と話していた。決勝戦は、まさに監督が思い描いた通りの試合運びになった。

 

 試合を最初に動かしたのは、北海だった。2回裏2死一、二塁でラストバッターの鈴木大和(2年)がレフト線ギリギリに打球を飛ばし、1点を先制した。なおも続いた2死一、二塁の場面で、1番の小野雄哉(3年)の三遊間に放った打球を、ショートの山本挙輝(3年)に飛びついてキャッチされる。山本はすぐさま一塁に送球し、間一髪アウト。北海は、作新の好守備に追加点を阻まれたかたちとなった。

 

 作新打線は、3回まで北海の先発・大西建斗(3年)にわずか2安打に抑えられていたが、4回表にようやく覚醒する。2つのフォアボールと藤野佑介(3年)の二塁打で、無死満塁のチャンスを作る。ここで、7番・篠崎高志(3年)が放った一塁線への打球をファースト川村友斗(2年)が後逸する間に1点をあげる。続く、鮎ケ瀬一也(3年)がセンターへタイムリーを打った。

 

 なおも無死満塁のチャンスが続き、打席には先発の今井。昨日の試合で二塁打を2本放っていた今井は、フルカウントから直球を振り抜きライトへ飛ばした。ランナーひとりが生還。リードを広げ、決勝までの4試合をひとりで投げ抜いてきた大西を、ここでマウンドから引きずり降ろした。

 

 打順は1番の山本に回り、2番手・多間隼介(2年)からライトへタイムリーヒットを放ち、さらに2点を追加した。作新は大量得点のチャンスを逃さず、打者一巡の猛攻で5得点を奪った。

 

 大量援護をもらった今井は、変化球と150キロを超えるストレートを織り交ぜたピッチングで、北海打線を見事に封じた。4回以降は三塁に走者を許さないピッチングをみせる。

 

 7回に1点を追加した作新は、6点リードで最終回を迎える。マウンドには今井。すでに120球を超える球数を投げながら、1死一塁の場面で大西を149キロのストレートで見逃し三振に仕留めた。最後は、二塁走者の井上雄喜(2年)が盗塁したところを、キャッチャーの仲尾有矢(3年)が刺してゲームセット。最後まで相手に反撃のスキを与えなかった。

 

 作新の小針監督は「先制されたが、逆に追う気持ちができたので、よかった」と試合を振り返った。「うまくなる、強くなると言い続けて、ここまできたので(選手たちを)褒めてあげたいです」とナインを称えた。エース今井の好投、それを支えたチーム失策0の堅固な守備が北海を破り、3847校の頂点に輝いた。