8日(日本時間9日)、リオデジャネイロパラリンピックの競技が開幕した。視覚障がいの柔道男子60キロ級で広瀬真(愛知県立名古屋盲学校教員)が2位に入った。広瀬は銀メダルを獲得し、今大会の日本勢メダル第1号となった。同66キロ級では藤本聡(徳島県立徳島視覚支援学校職員)は3位。藤本は8年ぶり5個目のメダル獲得となった。

 

 39歳の広瀬、41歳の藤本。2人のベテランが表彰台に上がった。

 

 広瀬は12年ぶりのメダル獲得だ。2004年アテネパラリンピックで銀メダルを手にして以降、表彰台からは遠ざかっていた。08年北京パラリンピックは7位、66キロ級で出場した12年ロンドンパラリンピックは、あと一歩のところで届かなかった。

 

 勝てばメダル確定となる準決勝。ルーマニアの選手を相手に腕ひしぎ逆十字固めを決めて一本勝ちを取った。決勝は世界ランキング1位のウズベキスタン選手に一本負けを喫したものの、4度目のパラリンピックで自己最高タイの成績を収めた。

 

「ここまで来られたのは僕だけの力じゃない」。広瀬は周囲のサポートに感謝した。家族の写真をお守り代わりに携え、リオの舞台で躍動した。最後のパラリンピックで有終の美とはならなかったが、笑顔で締めた。

 

 不惑を超えた藤本は最後まで粘り強く戦った。準決勝ではアゼルバイジャンの選手に敗れたが、3位決定戦でリトアニア選手に優勢勝ちを収めた。国内外でプロ選手も台頭してきている中で、「アマ根性で何とかやっている」と奮闘。終始、攻撃の姿勢を失わなかった。対戦相手は消極的に映り、指導の数で3位に入った。

 

 藤本は初出場のアトランタパラリンピックから3連覇を達成し、北京パラリンピックでは銀メダルだった。ロンドンパラリンピックは出場できなかったものの、5回目の大舞台で銅メダルを獲得した。「40歳になってもこれだけできる。自分の中では大変満足している」。5個目のメダルは自身初の銅色だが、その表情は輝いていた。

 

(文/杉浦泰介)