広島にマジックナンバーが点灯したのは8月24日である。20もあったマジックナンバーは、24日間で0になり、25年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。

 

 

 広島は過去、6度のリーグ優勝を果たしているが、2位とのゲーム差は1980年の6.5ゲーム(2位・ヤクルト)が最高である。

 

 それを考えれば9月20日現在で2位・巨人に16ゲームもの大差をつけている今季の広島は球団史上最強のチームと言うことができる。

 

 プロ野球がセ・リーグとパ・リーグの2リーグに分立したのは1950年だ。セの盟主を自認する巨人は9連覇(1965~73年)を1度、5連覇(55~59年)を1度、3連覇を3度(51~53年、2007年~09年、12年~14年)、2連覇を2度(1976年~77年、89~90年)達成している。

 

 優勝回数は36回。優勝確率は実に5割4分5厘だ。

 

 では他のチームに目を移すと、どうか。巨人以外で最初に連覇を達成したチームは広島(79~80年)続いてヤクルト(92~93年)、中日(2010~11年)である。巨人以外で3連覇したチームはない。

 

 広島に話を戻そう。

 

 80年のリーグMVP・山本浩二は当時をこう振り返る。
「あの頃のチームは本当に強かったよ。負ける気がせんかったもんな。選手たちの仲は決してよくなかったけど、グラウンドに出ると勝つためにひとつになった。選手ひとりひとりが何をすればいいか、何をすれば勝てるかということがわかっていた。その意味では大人のチームやったよ」

 

 連覇時のチームに比べると、今季のチームは、発展途上である。主力の丸佳浩、菊池涼介、田中広輔は揃って26歳で開幕を迎えた。売り出し中の鈴木誠也は高校を出て4年目の22歳だ。

 

 逆に言えば、まだまだ“のびしろ”があると言うことだ。2連覇、そして3連覇へ。赤ヘル黄金期の幕開けなるか――。

 

 

<この原稿は『週刊大衆』2016年9月26日号に掲載された原稿を一部再構成したものです>


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