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(写真:ドラフトの会場となったグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール)

 20日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」、注目の田中正義(創価大)は千葉ロッテ、福岡ソフトバンク、巨人、北海道日本ハム、広島の5球団が競合したが、抽選の末にソフトバンクが交渉権を獲得。甲子園優勝投手の今井達也(作新学院)は埼玉西武、社会人注目投手のひとり山岡泰輔(東京ガス)はオリックスが単独指名で一本釣りした。

 

 大学ナンバー1右腕、今年のドラフト注目株だった田中の名前が呼ばれたのは、7番目の千葉ロッテが最初だった。指名が予想されていたオリックスは山岡、楽天は高校ビッグ4のひとり藤平尚真(横浜高)を1位指名。入札画面が開くたびに会場からはどよめきが起きた。結局、田中には5球団が競合し、ロッテ、ソフトバンク、巨人、日本ハム、広島の順でクジを引き、ソフトバンクの工藤公康監督がガッツポーズ。交渉権を引き当てた。

 

 当たりくじを引いた工藤監督はこう語った。
「過去に会長(王貞治)は6分の1を引き当てたと言っていたので、5分の1なら何とかなるかなと思った。うちには昨年(高橋純平)、その前(松本裕樹)といい投手が入っているので勉強できると思う。田中投手らの若手がホークスを支えるピッチャーになることを期待している。開幕投手になるくらいの気持ちでやってほしいし、それぐらいの力はあると思っている」

 

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(写真:5球団競合から田中の指名権獲得のソフトバンク・工藤監督。「開幕投手になる、くらいの気持ちで」とエール)

 ソフトバンクの指名を受けて、創価大で会見した田中は「(開幕投手を目指すのは)少しハードルが高い気もしていますが、頑張りたい。パ・リーグにはすごいバッターが多いけど、それを上回る投球がしたい。大谷選手と比較されるようなレベルじゃないと思ってるが、同じ舞台で対決できるところまで成長したい」と、同い年の大谷翔平(北海道日本ハム)を意識したコメントを残した。

 

「田中が先発だから球場にいこう、そういう魅力の多い投手になりたい」とプロ入り後の目標を設定した。なお同じ創価大の池田隆英(投手)は楽天に2位指名されている。

 

 田中と並んで注目された大学生右腕の柳裕也(明治大)は、中日と横浜DeNAが競合。抽選の末に中日が交渉権を獲得した。新指揮官の森繁和監督は「最下位のチームを立て直すために、まずはいい投手が獲得できた」と胸をなで下ろした。

 

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(写真:千葉ロッテは佐々木の交渉権を獲得。「即戦力投手として期待」と伊東監督)

 田中、柳のハズレ1位指名は広島、巨人、DeNA、日本ハム、ロッテが佐々木千隼(桜美林大)で競合。この当たりくじはロッテが引き当てた。
「(田中と佐々木)どちらがいいとかではなく、どちらも即戦力として甲乙つけがたい投手。結果、佐々木君を競合で取れたのは非常に大きい」と伊東勤監督。「平均140キロ中盤から後半のストレートと、精度のいい変化球を投げる。益田(直也)を彷彿とさせるスリークォーターで、来季から活躍してほしい」とエールを送った。

 

 高校生では楽天指名の藤平、西武指名の今井と並び即戦力の期待も高いサウスポーの寺島成輝(履正社高)は、東京ヤクルトが単独指名で交渉権を獲得した。

「ドラフト候補で一番いい投手は誰だ、ということで決めた。(指名は)3日前には決めていた。即戦力としてすぐに投げてほしい」と、ヤクルト真中満監督はその能力に期待を膨らませる。

「先輩の山田選手もいるので心強い。ヤクルトは楽しく野球をやってるイメージ。ストレートは自信があるのでプロでも見てもらいたい。1年目から活躍できるように準備したい」と母校で会見した寺島は、しっかりとした口調で受け応えた。

 

 西武の指名を受けた今井は「子供のころから夢が叶って、新しいスタートラインに立てました。高校時代に学んだことはプロでも必ず活きると思うので、しっかりと作新の看板に恥じない活躍をしたい」と語っている。

 

 他の1位指名はDeNAは濱口遥大(神奈川大)、日本ハムは堀瑞輝(広島新庄高)、広島は加藤拓也(慶応大)と揃って投手を指名。その中で巨人は中京学院大の吉川尚輝(内野手)を、阪神は大山悠輔(白鴎大・内野手)と野手を1位指名した。特に桜美林・佐々木と予想されていた阪神の大山指名は、今年のドラフトの一番のサプライズだろう。

 

 阪神・金本知憲監督は「ドラフトの基本は投手からなのはわかっていますが、チームの現状を見て決めました。投手、野手の若手の数を検討した結果、弱点は野手だ、と。(大山の)指名を決めたのは今日の昼です。バッティングがしなやかで強くて、ヤクルトの山田選手にタイプが似ているかな、と思っている。1年目からは厳しいかもしれないけど、右の大砲候補としてできるだけ早く活躍してほしい」と、大山指名の裏側を明かした。

 

 大山は大学日本代表で4番を打った経験もある。強打の内野手(三塁手)が足りない阪神にはぴたりとはまるワンピースだ。

 

(取材・写真:安部晴奈 構成・文:西崎のぶゆき)

 

 

<2016年ドラフト会議 指名選手>

広島
×田中正義(創価大/投手)
×佐々木千隼(桜美林大/投手)
1位 加藤拓也(慶應大/投手)
2位 高橋昂也(花咲徳栄高/投手)
3位 床田寛樹(中部学院大/投手)
4位 坂倉将吾(日大三高/捕手)
5位 アドゥワ誠(松山聖陵高/投手)
6位 長井良太(つくば秀英高/投手)

巨人
×田中正義(創価大/投手)
×佐々木千隼(桜美林大/投手)
1位 吉川尚輝(中京学院大/内野手)
2位 畠世周(近大/投手)
3位 谷岡竜平(東芝/投手)
4位 池田駿(ヤマハ/投手)
5位 高田萌生(創志学園高/投手)
6位 大江竜聖(二松学舎大付高/投手)
7位 廖任磊 リャオ・レンレイ (岡山共生高卒・米独立/投手)

育成1位 高井 俊(新潟アルビレックス/投手)
育成2位 加藤脩平(磐田東高/投手)
育成3位 山川和大(兵庫ブルーサンダース/投手)
育成4位 坂本工宜(関学大準硬式野球部/投手)
育成5位 松原聖弥(明星大/外野手)
育成6位 高山竜太朗(九州産業大/捕手)
育成7位 堀岡隼人(青森山田高/投手)
育成8位 松澤裕介(香川オリーブガイナーズ/外野手)

横浜DeNA
×柳裕也(明治大/投手)
×佐々木千隼(桜美林大/投手)
1位 濱口遥大(神奈川大/投手)
2位 水野滉也(東海大北海道/投手)
3位 松尾大河(秀岳館高/内野手)
4位 京山将弥(近江高/投手)
5位 細川成也(明秀日立高/投手)
6位 尾仲祐哉(広島経済大/投手)
7位 狩野行寿(平成国際大/内野手)
8位 進藤拓也(JR東日本/投手)
9位 佐野恵太(明治大/投手)
育成1位 笠井崇正(信濃グランセローズ/投手)

阪神
1位 大山悠輔(白鴎大/内野手)
2位 小野泰己(富士大/投手)
3位 才木浩人(須磨翔風高/投手)
4位 濱地真澄(福岡大大濠高/投手)
5位 糸原健斗(JX-ENEOS/内野手)
6位 福永春吾(徳島インディゴソックス/投手)
7位 長坂拳弥(東北福祉大/捕手)
8位 藤谷洸介(パナソニック/投手)

東京ヤクルト
1位 寺島成輝(履正社高/投手)
2位 星 知弥(明治大/投手)
3位 梅野雄吾(九産大九産高/投手)
4位 中尾 輝(名古屋経済大/投手)
5位 古賀優大(明徳義塾高/捕手)
6位 菊沢竜佑(相双リテック/投手)
育成1位 大村 孟(石川ミリオンスターズ/捕手)

中日
1位 柳裕也(明治大/投手)
2位 京田陽太(日本大/内野手)
3位 石垣雅海(酒田南高/内野手)
4位 笠原祥太郎(新潟医療福祉大/投手)
5位 藤嶋健人(東邦高/投手)
6位 丸山泰資(東海大/投手)
育成1位 木下雄介(徳島インディゴソックス/投手)

 

北海道日本ハム
×田中正義(創価大/投手)
×佐々木千隼(桜美林大/投手)
1位 堀瑞輝(広島新庄高/投手)
2位 石井一成(早稲田大/内野手)
3位 高良一輝(九州産業大/投手)
4位 森山恵佑(専修大/外野手)
5位 高山優希(大阪桐蔭高/投手)
6位 山口裕次郎(履正社高/投手)
7位 郡 拓也(帝京高/捕手)
8位 玉井大翔(新日鐵住金かずさマジック/投手)
9位 今井順之助(中京高/内野手)

福岡ソフトバンク
1位 田中正義(創価大/投手)
2位 古谷優人(江陵高/投手)
3位 九鬼隆平(秀岳館高/捕手)
4位 三森大貴(青森山田高/内野手)
育成1位 大本将吾(帝京五高/外野手)
育成2位 長谷川宙輝(聖徳学園高/投手)
育成3位 田城飛翔(八戸学院光星高/外野手)
育成4位 森山孔介(藤沢翔陵高/内野手)
育成5位 清水陸哉(京都国際高/外野手)
育成6位 松本龍憲(崇徳高/内野手)

千葉ロッテ
×田中正義(創価大/投手)
1位 佐々木千隼(桜美林大/投手)
2位 酒居知史(大阪ガス/投手)
3位 島 孝明(東海大市原望洋高/投手)
4位 土肥星也(大阪ガス/投手)
5位 有吉優樹(九州三菱自動車/投手)
6位 種市篤暉(八戸工大一高/投手)
7位 宗接唯人(亜細亜大/捕手)
育成1位 安江嘉純(石川ミリオンスターズ/投手)
育成2位 菅原祥太(日本ウェルネススポーツ大/外野手)

埼玉西武
1位 今井達也(作新学院/投手)
2位 中塚駿太(白鴎大/投手)
3位 源田壮亮(トヨタ自動車/内野手)
4位 鈴木将平(静岡高/外野手)
5位 平井克典(Honda鈴鹿/投手)
6位 田村伊知郎(立教大/投手)

東北楽天
1位 藤平尚真(横浜高/投手)
2位 池田隆英(創価大/投手)
3位 田中和基(立教大/外野手)
4位 菅原 秀(大阪体育大/投手)
5位 森原康平(新日鉄住金広畑/投手)
6位 鶴田圭祐(帝京大準硬式野球部/投手)
7位 野元浩輝(佐世保工高/投手)
8位 石原 彪(京都翔英高/捕手)
9位 高梨雄平(JX-ENEOS/投手)
10位 西口直人(甲賀健康医療専門学校/投手)
育成1位 千葉耕太(花巻東高/投手)
育成2位 南 要輔(明星大/内野手)
育成3位 向谷巧巳(兵庫ブルーサンダース/内野手)
育成4位 木村敏靖(履正社医療スポーツ専門学校/投手)

オリックス
1位 山岡泰輔(東京ガス/投手)
2位 黒木優太(立正大/投手)
3位 岡崎大輔(花咲徳栄高/内野手)
4位 山本由伸(都城高/投手)
5位 小林慶祐(日本生命/投手)
6位 山崎颯一郎(敦賀気比高/投手)
7位 飯田大祐(Honda鈴鹿/捕手)
8位 澤田圭佑(立教大/投手)
9位 根本 薫(霞ヶ浦高/外野手)
育成1位 張奕(日本経済大/外野手)
育成2位 榊原 翼(浦和学院高/投手)
育成3位 神戸文也(立正大/投手)
育成4位 坂本一将(石川ミリオンスターズ/内野手)
育成5位 中道勝士(明治大/捕手)