22日から始まる広島対北海道日本ハムの日本シリーズは“初モノ”尽くしである。日本シリーズがスタートしたのは、プロ野球が2リーグ制となった1950年からだが、その頃、日本ハムは東急と名乗っていた。それから東映、日拓を経て、今の日本ハムに親会社が変わったが、広島との“頂上決戦”は1度もない。

 

 初モノといえば首都圏、中京圏、近畿圏の、いわゆる三大都市圏以外の球団同士が雌雄を決するのも初めてである。

 

 さらにいえば、両チームが本拠地とする広島と札幌の距離は約1231キロ。これは日本シリーズ史上、最長距離となる。広島は移動にチャーター機を用意するらしい。

 

 ファイナルステージで残念だったのは、広島対横浜DeNA、日本ハム対福岡ソフトバンク戦が地上波の全国放送では全く中継されなかったことだ。これも珍しいといえば珍しい。

 

 広島が25年ぶりのリーグ優勝を決めた9月10日の巨人戦は、広島地区で視聴率60%(ビデオリサーチ調べ)を超えた。瞬間最高視聴率は同地区で71%に達した。ローカルとはいえ、この視聴率は驚異的だ。

 

 日本シリーズは全試合が全国中継される。視聴率でプロ野球人気が測れるわけではない。しかし、人気を示すバロメーターのひとつにはなる。

 

 ちなみに日本シリーズの最高視聴率は78年のヤクルト対阪急第7戦の45.6%(関東地区)。ヤクルト大杉勝男のホームランを巡ってモメにモメた一戦だ。阪急・上田利治監督の抗議は1時間19分にも及んだ。

 

 広島は6度日本シリーズを戦い、3度日本一になっている。例の“江夏の21球”をはじめ、日本一になった3回はいずれも4勝3敗だ。日本ハム有利が伝えらえるシリーズだが、広島としてはもつれた展開に持ち込みたい。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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