プロ野球の日本シリーズが22日、広島・マツダスタジアムで開幕した。32年ぶりの日本一を狙う広島が5-1で北海道日本ハムを下した。広島は2回にホームスチールで1点を先制すると、4回に松山竜平、ブラッド・エルドレッドがソロ本塁打を放ち追加点をあげた。7回にブランドン・レアードに一発を浴びたものの、終盤に2点を加え、5-1で逃げ切った。

 

◇第1戦

 今村&ジャクソン&中崎、無失点リリーフ(広島1勝、マツダスタジアム)

北海道日本ハム    1 = 000|000|100

広島         5 = 010|200|20×

勝利投手 ジョンソン(1勝0敗)

敗戦投手 大谷(0勝1敗)

本塁打  (日)レアード1号ソロ

     (広)松山1号ソロ、エルドレッド1号ソロ

 

 大粒の雨が降り続ける中、日本シリーズは幕を開けた。25年ぶりに出場した広島が、日本ハム投手陣を見事に攻略し、5-1で初戦をモノにした。

 

 ゲームが動いたのは、2回裏。広島ナインは足を生かした戦術で、日本ハム先発の大谷翔平から1点をもぎ取った。

 

 1死一、三塁の場面で打席に立つ石原慶幸が空振り三振に倒れると同時に、一塁走者の安部友裕がスタートを切った。キャッチャー大野奨太は、すぐさまセカンドへ送球。完璧アウトのタイミングだったが、安部は一二塁間で急ブレーキをかけた。ショートの中島卓也が飛びついて捕球したところを見ると、三塁走者の鈴木誠也が一気にホームイン。緒方孝市監督は「スタートの判断は難しかったと思うけど、よくスタートを切ってセーフになってくれました」と好走塁を称えた。鈴木が足で魅せ、先制に成功した。

 

 試合の主導権を握った広島は、4回裏に松山、エルドレッドがそれぞれ一発を放った。松山は2ボールからカウント稼ぎの直球を、右中間スタンドへ。エルドレッドは外角のストレートをバックスクリーン右に運んだ。足攻に続いて、一発攻勢で2点を追加し、日本ハムを突き放した。

 

 援護を受けた先発のクリス・ジョンソンは、初回に1死一、三塁のピンチを招くなどやや不安定な立ち上がりを見せたが、回が進むごとに本来のピッチングを取り戻した。6回表は田中賢介が放ったピッチャー返しを、顔の前でスーパーキャッチ。神がかったプレーが飛び出し、6回まで無失点に抑えた。

 

 しかし、6回を投げ終えた時点で球数は100球。7回表のマウンドに上がると、先頭のレアードに一発を浴びた。ジョンソンは2死一、二塁のピンチを招くと、初回にヒットを打たれた岡大海を迎える前に降板した。後を継いだ今村猛が岡をレフトフライに打ち取った。

 

 広島は7回裏に丸佳浩のタイムリー、エルドレッドの犠牲フライで、リードを4点に広げる。8回表は3番手のジェイ・ジャクソンがマウンドに上がった。ジャクソンは簡単に2つアウトを取った後、2死一、二塁のピンチを招く。打席には、体調不良でスタメンを外れていた近藤健介が代打で入る。近藤はカウント2-2からスライダーを振り抜くと、打球はセンター方向に飛んで行った。浅めに守っていた丸の頭上を抜けるかと思われたが、背走しながら、グラブを伸ばしてボールを掴んだ。背番号9のスーパーキャッチに、広島ファンの歓声が球場中に響き渡った。

 

 4点リードで迎えた最終回は、守護神の中崎翔太がマウンドへ登場。中崎は先頭の代打・谷口雄也にフォアボールを与えたが、西川遥輝を見逃し三振、中島を空振り三振に仕留めた。ラストバッターの岡をライトフライに打ち取ってゲームを締めた。

 

 エース同士の戦いを制した広島は、32年ぶりの日本一に向けて好発進を切った。明日は右のエース・野村祐輔が先発する。この流れに乗って、本拠地で連勝を飾りたい。

 

(文/安部晴奈)