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(写真:第38回皇后杯2回戦。試合前のピッチ内練習)

「遂に愛媛FCレディースがやってくれた!」

 10月に行われた「いわて国体(第71回国民体育大会)サッカー競技女子の部」に愛媛県代表として出場した愛媛FCレディースが、見事に優勝を成し遂げた。


 2013年の「東京国体」では3位。2014年の「長崎国体」では準優勝。“次こそは”と臨んだ昨年の「わかやま国体」ではベスト8で敗退と、悔しい結果に終わっていただけに、今回の優勝は本当に嬉しい。

 

 国体(サッカー競技)の本戦は、16チームによるトーナメント戦。

 

 1回戦では、福島県代表と対戦。前半14分にFW大矢歩選手が先制点を決めるも、後半に同点に追いつかれ、延長戦へと突入。延長後半にDF村松真冬選手が決勝ゴールをあげた。苦戦を強いられたものの、次戦へと駒を進めた。

 

 準々決勝では、三重県代表と対戦。前半22分にMF榎谷岬選手が先制ゴールを決めると、後半にも村松選手やFW上野真実選手、FW桜井由衣香選手のゴールが飛び出し、4-1で圧勝を収めた。

 

 準決勝では、北海道代表と対戦。前半3分のMF阿久根真奈選手による先制点を守り抜き、1-0で接戦を制した。

 

 決勝戦の相手は、新潟県代表。なでしこリーグ1部アルビレックス新潟レディースのメンバーを中心に構成されたチームである。

 

 決戦の舞台となる滝沢総合公園陸上競技場(岩手県滝沢市)には、新潟から大勢の応援者が駆け付け、愛媛県代表にとってはアウェーゲームの様相となった。

 

 そんな中、強敵を相手に奮闘を見せる愛媛。ボールをキープされ、主導権を握られるものの、セットプレーから反撃を試みる。それでも相手の高い壁を崩すことはできず、一進一退の攻防が続く。

 

 0-0のまま、前後半では決着が付かず、延長戦へと突入。

 

 延長後半終了間際に好機をつくった。中央で上野選手がボールをキープ。敵陣右サイドを駆け上がる村松選手へとパスが通る。ドリブルで敵陣の深くまでボールを運んだ村松選手はゴール前へとグラウンダーのクロスを供給。このボールを捉えたのは大矢選手だった。足元にボールを収め、身体を反転させながら左足でシュートを放った。しかし、相手DFに勢いを殺され、ゴールには至らなかった。

 

 結局、延長戦でも得点ボードに動きはなく、決勝戦は、0-0で引き分けに終わった。この結果、大会の規定により、両チーム優勝という記録が歴史に刻まれたのである。

 

 2チームで優勝を分け合うことにはなったが、国体サッカー競技女子の部での愛媛県代表チームの優勝は史上初。快挙と言える成績である。

 

「愛媛FCレディースの選手&スタッフの皆さん、いわて国体での優勝おめでとう!!」

 毎年のことだが、国体サッカー競技の日程はとても厳しい。今年の場合は10月2日~10月5日の4日間、決勝戦まで毎日試合を戦わなければならない。通常のサッカー競技では考えられない程、過酷なものだ。

 

 愛媛FCレディースは、遠方の岩手というアウェーの環境の中、この地獄の様な連戦を乗り切り、頂点を勝ち取った。本当に素晴らしい。

 

 来年に開催される「えひめ国体」に向けて、良い話題を提供し、県内の女子アスリートにも勇気を与えることができたのではないだろうか。

 

 昨年の愛媛サッカーアウォーズでの表彰式の際、愛媛FCレディースの西川早弓選手が司会者のインタビューに対し、「3位、そして準優勝ときているので、愛媛国体の時には、優勝できるように頑張りたいと思います!」と力強く答えていた。

 

 もちろん今回、「えひめ国体」が行われる前に早々と優勝を手にしたわけだが、来年こそは、決勝戦で勝利し、大勢のサポーターに単独で表彰台に上がる姿を見せてくれるに違いない。

 

 リーグ戦やカップ戦を通じ、着実にチームとしての成長が感じられる愛媛FCレディース。10月末からは、「第38回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会」のトーナメントに参戦することになる。培ってきた経験を活かしつつ、その実力を発揮し、新しい歴史を切り拓いて欲しい。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja

Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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