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(写真:新たに強化委員長を務める伊東氏)

 2日、日本陸上競技連盟は都内で会見を開き、強化委員会の新組織体制を発表した。これまでのブロックごとに分けていた種目別に細分化。各種目を「ゴールドターゲット」「メダルターゲット」「TOP8ターゲット」「ワールドチャレンジ」と東京五輪での目標に応じた階層に設定した。

 

「かじ取りをする陸連としては時間との勝負」

 そう語るのは新しく強化委員長に就いた伊東浩司氏だ。トラック&フィールド/競歩のディレクターも兼任している。「現状日本の置かれている立場は非常に厳しい状況にある」と説明した。

 

 これまで部長制度を敷いていた強化委員会は強化コーチを置くこととなり、「選択と集中」型にシフトする。日本陸連の尾縣貢専務理事は「重点の種目を決めてそこを徹底的に強化していく」と語った。

 

「あくまでも目標は2020年」と尾縣専務理事。金メダルが狙える種目は「ゴールドターゲット」、メダルを目標とするのが「メダルターゲット」、入賞以上が「TOP8ターゲット」となり、その下が「ワールドチャレンジ」と4つの階層を作った。

 

 リオデジャネイロ五輪の結果と若手の成長を踏まえて、各種目が振り分けられた。最高位となる「ゴールドターゲット」には、リオ五輪で銀メダルを獲得した男子400メートルリレーを中心とした100メートル&200メートルのスプリント種目と、同五輪で銅メダルを手にするなど近年進境著しい競歩が選ばれた。

 

「ゴールドターゲット」入りした2つのナショナルチームを任されるのは、リオまで強化部長として携わってきた苅部俊二氏、今村文男氏の両名だ。今後はオリンピック強化コーチとして引き続きリーダーシップを発揮する。伊東委員長からも「強化については一任してやっていただく」と信頼は厚い。

 

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(写真:「一丸となって東京に向かう」と語る尾縣専務理事)

「メダルターゲット」には男子400メートルハードル、男子棒高跳び、男女やり投げのほか男女マラソン、女子長距離が入った。中でもリオ五輪では男女ともに入賞ゼロに終わったマラソンに関しては「十分にポテンシャルがあり、国民の期待は非常に大きい。東京五輪ではマラソン復活を目指す」(尾縣専務理事)という力の入れようだ。

 

 長距離・マラソン強化戦略プロジェクトのリーダーは瀬古利彦氏が務める。「大きな方針・目標などを発信していってもらいたい」と尾縣専務理事は期待する。実業団とのマネジメントなど実務的なことは河野匡ディレクターが担う。この2トップが機能することで、オリンピック強化コーチを担当する男子マラソンの坂口泰氏、女子マラソンの山下佐知子氏をサポートするのが日本陸連の狙いである。

 

 尾縣専務理事は「待ったはございません。この会見をもって2020年に向けての強化活動を開始したい」と意気込んだ。日本陸上界は新たな強化体制を敷き、走り出す。

 

(文・写真/杉浦泰介)