160929ch二宮: 先ほど、パラバドミントンの障がいクラスは全部で6つとあるとうかがいました。鈴木選手のクラスは上肢に障がいがあるSU5とおっしゃっていましたね。

鈴木: 私は右腕に生まれつき麻痺があります。プレー中、左手でラケットを持っているのですが、右手は肩より上には挙がらないんです。

 

二宮: 一見しただけではわかりませんね。握力はどのくらいありますか?

鈴木: 障がいのある右手が12キロで、左手は30キロあります。

 

二宮: バドミントンにおいて、握力はそれほど重要ではないのでしょうか?

鈴木: ええ。大事なのはシャトルを打つタイミングとラケットに当てる場所ですね。そこを間違えれば強く打ってもシャトルは勢いよく飛びませんし、当たり所によっては下にポトッと落ちてしまうこともあります。打つ場所とタイミングさえ合えば、握力が強くなくても十分に勝負できます。

 

伊藤: 小さい頃、スポーツは得意だったんですか?

鈴木: どうなんですかね。やはり右手が挙がらないので体育の授業ではバレーボールでトスが上げられなかったり、バスケットボールも上手くできませんでした。でも跳び箱を片手で5段跳べたことは自分でもすごいなと思いましたね(笑)。

 

伊藤: バドミントンを始められた理由は何かあるのでしょうか?

鈴木: 私の家は父、母、姉、家族みんながバドミントンをやっていました。いわゆるバドミントン一家だったんです。幼稚園の頃から年子の姉や両親がバドミントンをしている体育館に連れて行ってもらいました。小学校3年生から入れるジュニアのチームにも、先に入った姉に続いて私も自然に入りました。バドミントンは、始めるべくして始めたという感じですね。

 

二宮: 障がい者の大会ではなく、健常者の大会でご活躍されたとお聞きしました。

鈴木: はい。中学では関東大会で女子ダブルス優勝しました。高校では団体戦でインターハイに出場して、ベスト16に入りました。個人戦では高校3年時に、全日本ジュニア選手権大会という高校生と中学生の全国上位の人たちが出られる全国大会に出場し、女子ダブルスで2位になりました。

 

伊藤: バドミントンを始められた理由は何かあるのでしょうか?

鈴木: 私の家は父、母、姉、家族みんながバドミントンをやっていました。いわゆるバドミントン一家だったんです。幼稚園の頃から年子の姉や両親がバドミントンをしている体育館に連れて行ってもらいました。小学校3年生から入れるジュニアのチームにも、先に入った姉に続いて私も自然に入りました。バドミントンは、始めるべくして始めたという感じですね。

 

二宮: 障がい者の大会ではなく、健常者の大会でご活躍されたとお聞きしました。

鈴木: はい。中学では関東大会で女子ダブルス優勝しました。高校では団体戦でインターハイに出場して、ベスト16に入りました。個人戦では高校3年時に、全日本ジュニア選手権大会という高校生と中学生の全国上位の人たちが出られる全国大会に出場し、女子ダブルスで2位になりました。

 

 競技転向のきっかけ

 

二宮: すごい成績ですね! 皆さんもびっくりされたでしょう。右手に障がいがありながら、それだけの好成績を収めていたら……。

鈴木: おそらく周りの人は私の障がいに気付いていなかったと思います。一般的なシャトルの打ち方は、ラケットの持ち手ではない方の手を頭の上まで高く挙げて打ちますが、私は右手を可能な範囲で、肩くらいの高さまで挙げて打っていました。周りには“独特な打ち方をする人なんだな”と思われていただけだと思います。

 

二宮: なるほど。やはり高く手を挙げた方が打ちやすいのでしょうか?

鈴木: 手を挙げるのは距離感とバランスを取るためですね。高く挙げた方が良いとは思いますが、私はやったことがないのでわかりません(笑)。

 

二宮: 鈴木選手は独特の距離感でプレーをされているということですね。

鈴木: バドミントンを始めた時からこの状態だったので、自分なりの感覚でやっています。それが当たり前になっています。

 

伊藤: パラバドミントンに転向したのは、どういうきっかけがあったんですか?

鈴木: 大学では体育会のバドミントン部に入っていたのですが、3年生の時に初めて障がい者の大会に出場しました。その大会を教えてくれたのは、父親なんです。当時養護学校に勤めていたこともあり、「こういう大会があるみたいだよ」と私に教えてくれました。それで「そんな大会があるんだ。じゃあ、出てみる」という感じで出場したんです。

 

二宮: なるほど。それが初めてのパラバドミントンの大会になったと。それまではずっと健常者の選手の中でプレーしていて、転向することに抵抗はありませんでしたか?

鈴木: いえ、なかったですね。“こういう世界もあるんだ”と感じました。実は、前からパラバドミントンのことは知っていたのですが、高校生の時は部活でのスケジュールが忙し過ぎてチャレンジする余裕もなかったんです。しかし大学に入って、全国であまり勝てなくなり、行き詰まっていました。その時に父親からパラバドミントンを紹介されて“チャレンジしてみようかな”と思ったんです。

 

(第3回につづく)

 

1610ch鈴木亜弥子(すずき・あやこ)プロフィール>

 1987年3月14日、埼玉県生まれ。七十七銀行所属。生まれつき右腕が肩より上がらない障害がある。小学3年でバドミントンを始め、中・高・大学までバドミントン部に所属。インターハイに出場するなど健常者の大会で結果を残してきた。大学3年で初めて障がい者の大会に出場し、2009年の世界選手権と2010年のアジアパラ競技大会で金メダルを獲得した。その後、一度は現役を引退したが、東京パラリンピックを目指して今年復帰すると、2月の日本選手権で優勝。アイルランド、インドネシアと国際大会でも連続優勝を果たした。8月22日現在世界ランキング4位。


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