2017年のシーズンからサッカーJ1は1ステージ制に戻る。これにより前後期からなる2ステージ制と年間王者を決めるチャンピオンシップは今季限りで廃止となる。

 

 

 もともと2ステージ制については反対論者の方が多かった。それゆえ1ステージ制に戻ることに関して批判の声は大きくないが、もう少しJリーグ側から丁寧な説明があってもいいのではないか。

 

 そもそも2015年にJリーグが2ステージ制を導入した理由は何だったか。こう言ってしまえば身もふたもないが、要はおカネである。

 

 草創期の熱気がウソのようにJリーグへの関心は減り、2012年から14年にかけてテレビの全国放送は、それぞれ7本にまで落ち込んだ。14年度には13億円の収入減が見込まれるとあっては、何か手を打たなければならない。そこで飛びついたのが、「2シーズン制チャンピオンシップ」だった。

 

 それが、なぜ2年限りでやめるのか。海外の有力スポンサーが見つかったからである。

 

 2017年からJリーグは英国のインターネット事業会社パフォームグループと10年総額2100億円という目のくらむような大型契約を結んだ。1年200億円以上である。

 

 これをJリーグは戦績や観客動員数に応じて傾斜配分するとしている。

 

 具体的に言えば、これまで約1.9対1だったJ1とJ2の配分比率は2.5対1に拡大する見通し。賞金に対しても、今まで以上に差をつける、としている。世界に通用するビッグクラブをつくろう、というわけだ。

 

 それは分かるが、潤沢な軍資金を有効に使うには、腕のいいクラブ経営者やチームづくりに長けたGMが要る。果たして、そんなクラブ経営者やGMが、日本にどれだけいるだろうか。

 

 契約上は10年だが、Jリーグのコンテンツ・バリューが思ったほど高まらなかった場合、シビアな経営で知られるパフォームグループが黙っているとも思えない。

 

 つまり10年という時間は、長いようで短い。世界で有数なリーグに成長するか、それとも極東の地味な国内リーグで終わるかは、巨額資金を得たこの10年で決まると言っても過言ではない。

 

 前回のワールドカップを制したドイツを見ればわかるように、国内リーグの発展なくして、代表の強化はありえない。

 

 かじ取り役を任される村井満チェアマンは「ダイナミックな改革に着手したい」と語っている。その手腕に注目が集まる。

 

<この原稿は『漫画ゴラク』2016年11月11日号に掲載されたものです>

 


◎バックナンバーはこちらから