16iyo

(写真:本来は走れない車道を走り、海峡を見渡せる最高のロケーションが魅力)

 愛媛・今治から広島・尾道までを橋で繋ぐ“しまなみ海道”を舞台に自転車で駆け抜ける国際大会「サイクリングしまなみ2016」が10月30日に行われた。2年前の前回は「瀬戸内しまのわ」の催しのひとつとして位置付けられていたが、今回は単独での開催だ。当日は天気にも恵まれ、参加3539人のうち9割を超える3446人が完走した。

 

 

「サイクリングしまなみ」の特徴は高速道路を規制して行う日本唯一のサイクリング大会である。普段は走れない道路で開放感溢れるサイクリングを堪能できるのが魅力のひとつ。大会当日は“しまなみ海道”内の高速道路を朝6時から5時間にわたって交通規制を行った。コースはAからEまでの全5コース。参加者がそれぞれのレベルに応じて最長150キロ、最短40キロのコースを走行する。

 

 アメリカメディアのCNNから「世界で最も素晴らしい自転車道」の1つとして紹介された“しまなみ海道”。日本ではまさしくオンリーワンのコースだ。瀬戸内の絶景を眺めながらサイクリングを楽しめ、各地で四国のおもてなし文化も満喫できるとなれば人気が出るのも頷ける。今大会は国内の全47都道府県から3270人のサイクリストがエントリー。台湾、香港、韓国、アメリカ、シンガポール、オーストラリア、中国、イギリス、タイの9カ国・地域からも多数の参加申し込みがあった。中でもサイクリング熱の高い台湾からは最多の121人が参加となった。

 

 今回も「サイクリングしまなみ」を伊予銀行は地元企業として支えた。大会にはプライベートで約20人の行員がエントリー。100人を超える行員がボランティアスタッフとして、大会運営をサポートした。伊予銀行では2013年3月に行内を中心とした自転車愛好者によるサイクリングクラブを結成したが、初心者向けのクラブもできて、2つのクラブが存在する。両クラブ合わせて70人近いメンバーがいるが、大会当日は会員の約10人が移動観察員(バイシクルスタッフ)を担当した。ボランティアスタッフは、ゴール付近や沿道で参加者に声援を送り、全員で大会を盛り上げた。

 

16iyo2

(写真:沿道で声援を送る行員。運営だけでなく“心”のサポートも担う)

「参加された方々が非常に喜ばれていた。走ることにすごく楽しみを持たれている実感はありましたね。“来年も来るよ”という声もいただきましたし、しまなみ海道を走ることのニーズはすごくあるなと。このイベントを軸として、年中来ていただけるような地域ぐるみの取り組みが重要だと考えます。それが産業の育成や雇用に繋がっていくと思いますので、銀行としても関わる意義は大いにあるはずです」

 協賛企業として大会の成功に寄与した伊予銀行から見ても、今後への手応えを掴んだ。

 

 2014年9月発足の「サイクリング・パラダイスえひめ推進会議」に加盟している伊予銀行は、県のサイクリング熱向上に尽力する。昨年から「マイカーローン」の対象が広がり、「自転車および自転車関連用品の購入、修理の資金」にも充てられるようになった。

 

 2年前から自転車を乗り始めたというある行員も、今で魅了されて「その素晴らしさを伝えられるかが生きがい」とまで言う。ブームの高まり具合は年々、感じられているという。松山市内で自転車を見掛ける数は明らかに増えた。サイクリングの聖地と呼ばれる“しまなみ海道”の存在と国際大会である「サイクリングしまなみ」が、ブームの火付け役として果たした役割は大きい。

 

 大会のテーマとしては「地域の活性化」「自転車新文化の普及・定着」「世界への情報発信」の3つである。“しまなみ海道”のポテンシャルを生かし、住民が誇れる国際イベントを開催することで、サイクリングを通じて世界的な観光地を目指すとともに、地域活性化につなげることが大会の目的だという。

 

「“しまなみ海道”自体には魅力があって、自然と人が来ます。さらにのびしろもあると思うんです。あとはいかに松山市の宿泊に安定的に来るようなルートを作れるか。そこからさらに古き良き街並みも知ってもらいたい。ムービーはそういう位置付けなので、是非皆さんに観ていただきたいと思います」

 プロモーションのひとつとして、伊予銀行は動画を制作し、公開している。監修は伊予銀行とアドバイザリー契約を結んでいるプロライダーの門田基志選手。現在はYouTubeの伊予銀行公式チャンネル内に“しまなみ海道”を含め4作品をアップ中だ。既に東予地区の1作品は撮り終えており、今後もラインアップを増やして愛媛県の魅力を存分にアピールしていくつもりだ。

 

 サイクリングを通じたスポーツツーリズム。伊予銀行はペダルを漕ぎ、その勢いを加速させる。

iyobanner3


◎バックナンバーはこちらから