3日、明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ(CS)決勝第2戦、浦和レッズ(年間勝ち点1位、2ndステージ覇者)対鹿島アントラーズ(年間勝ち点3位、1stステージ覇者)の試合が埼玉スタジアムで行われた。2-1で鹿島が勝ち、2戦合計2-2ながらアウェイゴールの差で7年ぶり、リーグ最多の8度目のJリーグ年間王者に輝いた。今タイトルで計18冠。鹿島は前半7分にFW興梠慎三に得点を決められるが、40分にFW金崎夢生のヘッドで追いつく。後半34分にはMF鈴木優磨が獲得したPKを金崎が決めて逆転し、逃げ切った。鹿島は開催国王者として8日開幕のFIFAクラブワールドカップジャパン2016に出場する。

 

 鈴木、PK奪取の活躍(埼玉)

浦和レッズ 1-2鹿島アントラーズ

【得点】

[浦] 興梠慎三(7分)

[鹿] 金崎夢生(40分、79分)

 

 カシマスタジアムで行われた第1戦を0-1で落とした鹿島。年間順位では浦和に劣るため、最低でも2ゴールを決めて勝利しないとリーグ王者の称号は手に入らない。そんな条件の中、鹿島の選手は憎いほど冷静だった。90分を通し鹿島らしさが存分に出た試合だった。

 

 前半7分、鹿島は左サイドを崩され、MF高木俊幸にクロスを上げられた。ファーにポジションを取った興梠に右足ボレーでゴール左に決められても金崎は「2点取らないとダメだった。(失点したことで)戦い方がはっきりした」と慌てることはなかった。

 

「浦和は前には強いが裏への対応はあまり上手くない」とMF柴崎岳。鹿島は相手の弱点を突いた。40分、右サイドの裏を狙って動き出したMF遠藤康にロングボールが渡る。遠藤が中へ上げるとファーサイドに走り込んだ金崎がダイビングヘッドで合わせた。このシュートがゴールに突き刺さり、同点に追いついた。前半はそのまま終了し、試合を折り返す。

 

 ハーフタイムに鹿島の指揮官・石井忠正は「自分たちのやることは変わらない。落ち着いて守備から入り、そこから攻撃を積み上げていこう」と選手たちの背中を押す。1-1のまま時計の針が進むと、13分に鹿島ベンチが動く。遠藤に代えて鈴木を右サイドに投入。同点弾をアシストした遠藤を引っ込めてまで鈴木をピッチに送り出した。そして、この交代が的中することとなる。

 

 32分、DF山本脩斗のスルーパスに右サイドから中央に絞った鈴木が抜け出した。浦和DF陣の裏を取ると、ペナルティーエリアに侵入する。するとDF槙野智章が後ろから鈴木を倒してしまい、これがPKの判定となった。このPKを金崎がゴール左に豪快に蹴り込んだ。

 

 2-1と逆転した鹿島は、このまま終われば第1戦とのトータルスコアは2-2。決勝のレギュレーションでは勝利数が同じ場合は、アウェイゴールの多い鹿島が王者となる。その後、浦和は槙野を最前線に上げてパワープレーを試みるが、GK曽ケ端準、DF昌子源を中心に鹿島守備陣が体を張って最後までリードを死守した。鹿島は年間勝ち点3位からの下剋上で、18個目のタイトルを手に入れた。一方、年間勝ち点1位の浦和はアウェイゴールの差で涙をのむ結果となった。

 

 大会通算3得点の活躍でMVPを獲得した金崎は「(今日は)2点取ることしか考えてなかった。1点目はヤス(遠藤)のクロスが良かったから合わせるだけだった。2点目はPKでしたがしっかりと決められた」と振り返った。敵地に駆け付けたサポーターには「アウェイですが、(サポーターの存在が)大きく感じた」と感謝の言葉を述べた。

 

 リーグの頂点に立った鹿島は、開催国枠で8日から始まるクラブワールドカップに出場する。対戦相手はオセアニア王者のオークランドシティ。エースとして活躍が期待される金崎は「しっかりと準備をしたい」と意気込む。ここ一番での勝負強さが持ち味の鹿島。初出場となるクラブワールドカップで世界を相手にする戦いが始まる。

 

(文/大木雄貴)