テレビ愛媛という地元のテレビ局の仕事で、カープからドラフト5位指名を受けたアドゥワ誠(松山聖陵)に会った。

 

 まず感心したことがある。昼前だったので対談が始まる前に私は弁当を注文した。ところが、18歳の高校生は、「寮に戻ってから食べます」とはっきり断ったのだ。

 

 この一言からも、食事に対する意識の高さが窺えた。栄養に気を配っているのだろう。

 

 身長196センチはレンジャーズで活躍するダルビッシュ有と同じである。プロ入りした時、ダルビッシュは85キロしかなかった。それが今では100キロの偉丈夫である。計画的に体を大きくしてきた。

 

 このダルビッシュにアドゥワは憧れを抱いている。

 

「僕はまだ87キロしかない。プロに入ったら最低でも90キロ台に乗せたい」と語った。どうやらダルビッシュの肉体改造を参考にしているようだ。

 

 大事なのは上半身よりも下半身である。下半身が安定すれば、目下、最速145キロのストレートは常時、150キロ台を記録するようになるだろう。長身からの角度も、アドゥワにとっては大きな武器だ。

 

 以前にも書いたが、今夏の甲子園でピンチになるとズバズバと内角に真っすぐを投げ込む姿を見て、「これはプロ向きだ」と思った。文字どおり“未完の大器”である。

 

 その点を質すと、「常にマウンドに上がると“打てるなら打ってみろ”という気持ちで投げています」と語った。日南キャンプでの再会を楽しみにしている。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


◎バックナンバーはこちらから