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(写真:リオ五輪のリレーメンバーほか各賞の受賞者が顔を揃えた)

 19日、日本陸上競技連盟(JAAF)は「JAAFアスレティック・アワード2016」を都内のホテルで開催した。年間最優秀選手賞にあたる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」にはリオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得した山縣亮太(セイコーホールディングス)、飯塚翔太(ミズノ)、桐生祥秀(東洋大学)、ケンブリッジ飛鳥の男子400メートルリレーメンバーが選ばれた。リレーで第1走を務めた山縣亮太(セイコーホールディングス)はインターネット投票で決まる「Most Impressive Athlete 2016」も合わせて受賞した。アンカーのケンブリッジ飛鳥は東京運動記者クラブが選出する新人賞にも選ばれた。

 

 そのほか新人賞には女子長距離の上原美幸(第一生命)、男子棒高跳びの江島雅紀(荏田高校)が選出された。優秀選手賞にはリオ五輪で活躍した選手が入り、男子50キロ競歩で銅メダルの荒井広宙(自衛隊体育学校)、男子20キロ競歩7位入賞の松永大介(東洋大学)、男子棒高跳び7位入賞の澤野大地(富士通)が受賞。特別賞にはリオパラリンピック男子走り幅跳び(F42/44)銀メダリストの山本篤(スズキ浜松AC)と、今年3月に引退したアテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずきが選ばれた。

 

「この1年の努力を労って称える場。主役は活躍した選手の皆さんです」

 JAAFの横川浩会長がそう語るのが、今年で10回目を迎える「アスレティック・アワード」だ。

 

 陸上界のMVPを決める式典。今年は誰も文句はないだろう。リオ五輪で銀メダルを獲得した男子400メートルリレーのメンバーが「アスリート・オブ・ザ・イヤー 」に選ばれた。チームでの受賞は2008年北京五輪の男子400メートルリレーメンバー以来だ。

 

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(写真:リオ五輪と北京五輪の400メートルリレーメダリストが集った)

 記念楯を授与するプレゼンターは、その北京のメンバーが再び揃った。塚原直貴が山縣、末續慎吾が飯塚、高平慎士が桐生、朝原宣治がケンブリッジとバトンを渡すように、それぞれガッチリと握手を交わした。

 

 山縣が「自分が陸上を始めた頃から新しい歴史を作りたいと思っていました。2008年の先輩たちから盾をもらってうれしい。4年後、新しい歴史を作れるように頑張りたいです」と口火を切ると、飯塚は「陸上界に貢献できたことを誇りに思う。前回(北京五輪)のメダルで僕たちにも“できるんじゃないか”と感じられた」と続いた。

 

 桐生は北京五輪がTVで見た初めてのオリンピックだという。「その時の先輩からもらえてうれしい」と喜んだ。「北京五輪を見て、オリンピックの舞台を目指しました」と、アンカーのケンブリッジ。それぞれが北京五輪に影響を受け、銀メダル獲得に繋げた。ケンブリッジは最後に「4年後は金メダルを目指したい」と締めた。

 

 リレーではチームとして一体となったが、種目が変わればライバルである。山縣、桐生、ケンブリッジは主に100メートルを主戦とし、日本人初の9秒台を目指す。それぞれが“最初に壁をぶち破る”のは自分だという思いは強い。一方、飯塚は200メートルが本職の選手。末續の持つ日本記録(20秒03)の更新を狙う。

 

 北京から繋いだバトンはリオで加速した。南米初のオリンピックで、4人のスプリンターたちがトラックで眩く輝いた。銅から銀へ――。彼らの走りが多くの陸上選手に勇気を与えた。“次は自分たちが”。そう名乗りをあげる者もいるだろう。日本が誇る韋駄天が切磋琢磨し、高め合えれば4年後の東京を明るく照らす。

 

(文・写真/杉浦泰介)