161229iyo 伊予銀行ヴェールズは、日本女子ソフトボールリーグ1部での戦いを5勝17敗で終えた。星数は昨季と同じだが、順位はひとつ下げて11位。2部2位のDream Citrineとの入れ替え戦に回った。

 

 

 11月24日に静岡・天城ドームで行われた入れ替え戦第1戦。この日は降雪のため、非常に肌寒いコンディションだった。2戦先勝方式で1部残留・昇格が決まる。不安はないわけではなかったが、秋元理紗監督は「1部でやってきた1年間がある。そう簡単には落ちないし、落ちてはいけないと思っていました」と臨んだ。

 

 先発はエースの木村久美に任せた。今季、伊予銀行が挙げた5つの白星はすべて木村についたもの。指揮官も「一番信頼できる選手」という存在だ。チームの絶対エースは、大一番でも期待に応えた。

 

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(写真:前半戦は主にリリーフ、後半戦は先発として活躍した木村)

 木村はランナーを出しながらも得点を許さない。「派手なピッチングではないんですが、丁寧に投げて要所を抑える。最後まで崩れなかった」と秋元監督も称える貫禄のピッチングを見せた。打線は2回に新人・樋口菜美のタイムリー、7回には日本リーグ0本塁打の前川綾菜がホームランを放って援護する。木村は最終回も投げ切り、2-0でシャットアウト勝ち。伊予銀行が先勝した。

 

 翌日に行われた第2戦は、開幕投手の内海花菜が先発のマウンドに上がった。3回裏に先制したものの、4回と5回に点を入れられて逆転を許した。それでも5回裏に樋口のタイムリーをきっかけに、3つの押し出しで4点を奪った。2番手の庄司奈々が6回にソロホームランを浴びたが、7回は木村が締めくくった。

 

「もう2度と行きたくはないですね」と秋元監督は入れ替え戦を振り返る。「勝っても負けてもひとつひとつがウチのチームにとって経験だし、勉強になる」という場の1部。そこに残留できたことは、今後を見据えた上でも伊予銀行にとって大きいはずだ。

 

 1部残留を決めた秋元監督は今季をこう総括した。

「前半はピッチャーを助けるような攻撃ができなかった。後半は打線が繋がる試合もあったのですが、その時は投手陣が打たれてしまった。うまくかみ合わない試合が多くあったなと思っています」

 

 課題に挙げられるのは、攻撃面だ。総得点は39。昨季よりも7点減り、1試合平均は1.77得点である。もう少し打線が機能していれば、6つあった1点差負け、8つあった完封負けももう少し減らせたであろう。指揮官も「攻める気持ちは見られたが、工夫が足りなかった」と語る。ただ「筋力を上げたから打てるわけではない。いろいろと取り組んだ結果、わかってくればいい」と、ひとつの経験として前向きにとらえている。

 

 今季のMVPを決めるとしたら木村だ。「打たれる経験もありますが、それを自分の財産に変えてきた。安定したピッチングをいつもしてくれる」と投手出身の秋元監督も全幅の信頼を寄せた。

 

 ベテランエースが活躍した一方で、若手の成長も見られた。秋元監督は来季に期待する選手の名に二宮はなと樋口のルーキーコンビ、對馬弥子と正木朝貴の内野手を挙げる。

 

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(写真:ルーキーの樋口は得意の打撃でアピールした)

 樋口は今季2本塁打に加え、入れ替え戦でも大活躍した。長打が魅力のスラッガーだ。

「だいぶいろいろなことを慣れてきた。中軸を外せないぐらいに4番に据えて不動の位置を築いて、“樋口に回せば大丈夫だ”と思われる選手になってほしい」

 

 開幕からスタメンマスクを任せた二宮に対する期待も高い。「来年の方がいい結果を出してくれるんじゃないかと思っています」。強気なリードに加え、打撃面でも上積みを望む。

 

「仲間からの信頼も厚い」という正木に対しては「守備での安定感。打つ方も打率は高くないが、地味だけどいい仕事をする選手です」と評価する。對馬は今季フル出場。チーム最多の4本塁打を放つなど、飛躍した。

 

 来季は5人の新人選手が加わり、1部復帰を果たしてから4シーズン目となる。秋には地元開催の「愛顔(えがお)つなぐ えひめ国体」も控えている。2017年は例年以上に伊予銀行への期待と注目が集まるはずだ。

 

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