31日にさいたまスーパーアリーナで行われた。無差別級トーナメントはミルコ・クロコップが制し、初代王者に輝いた。那須川天心は中1日の強行日程にもかかわらず、総合格闘技(MMA)2連勝。クロン・グレイシーは川尻達也に一本勝ち。山本美憂、アーセンの山本母子はいずれも腕を極められ、敗れた。RENAはKO勝ちし、RIZIN参戦全勝で2016年を締めた。

 

 PRIDEの次は、10年の歳月を経てRIZINの無差別級トーナメントを制した。“ターミネーター”の異名でK-1、PRIDEと日本の格闘技界を牽引してきたファイターのミルコ。強烈なキックを武器に数々の強敵をなぎ倒してきた。

 

 2回戦の相手は当初、ヴァンダレイ・シウバだったが、調整が間に合わず欠場となった。代替出場はRIZINヘビー級王者のキング・モー。ブランクのあるシウバよりも、現役バリバリのモーは難敵と言えた。強打を誇るミルコを警戒してタックルを中心のモーに手こずった場面もあったが、2ラウンドで左アッパーを当ててからのラッシュでTKO勝ちを収めた。

 

 準決勝は髙阪剛に判定勝ちしたバルト。ミルコは大相撲で大関までになった大男を一撃で退治した。バルトは立ち上がりから体重170kgの巨体を生かし、圧力をかけてくる。コーナーに追い込まれたが、腹部へのヒザ蹴りを突き刺した。腹を抑えて後ずさりするバルトを殴り続けると、レフェリーが割って入った。元大関を秒殺で仕留めた。決勝に向けてほぼノーダメージで勝ち上がったのも好材料だ。

 

 王座を決める戦いとなった決勝は、アミール・アリアックバリと対戦した。レスリングの重量級元世界王者で今大会のダークホース的存在だ。ミルコは序盤こそ慎重に相手の攻撃を見ていたが、1分50秒が過ぎたところで、カウンターの左フックを当ててアリアックバリに尻もちをつかせる。すぐに立ち上がったが、そこからラッシュを仕掛けてノックアウトした。

 

 目に涙を浮かべたミルコ。RIZIN無差別級王者のベルトとトロフィーを手に入れた。PRIDE、K-1と日本の格闘技でチャンピオンになった男が帰還した。今後は42歳の新王者の首を狙う者が現れてくるはずだ。欠場が続出した無差別級トーナメントは、ミルコの復活劇で幕を閉じた。RIZINのマッチメークも含め、これからに期待したい。

 

 キックボクシング界の神童と呼ばれる那須川が、MMAで大暴れだ。

 

 29日のMMAデビュー戦は腕を極められながらも、なんとか回避した。上から振り下ろすパウンドで相手を追い込むと、レフェリーが試合を止めた。1ラウンド2分47秒TKO勝ち。直後のマイクパフォーマンスで2日後のマッチメークを直訴した。

 

 那須川のまさかの志願が実って急遽、スペシャルワンマッチが組まれた。中1日の対戦にも那須川はリングで躍動する。得意の打撃を惜しげもなく披露。2ラウンドに入ると、今度は寝技で試合を決める。相手を打撃でグラウンドに持ち込むと、フロントネックロックで締め上げる。相手がタップしてMMA連勝を果たした。

 

 那須川は「キックボクシング、MMAの格闘技を背負って頑張っていきたいと思います」と堂々のマイクパフォーマンス。二刀流をスタートさせた18歳が、格闘技界に新風を吹かせた。

 

(文/杉浦泰介)