今季からBCリーグに2つの新球団、滋賀ユナイテッドベースボールクラブと栃木ゴールデンブレーブスが加わった。既存の球団と合わせて計10球団が新シーズンを戦うことになる。今回は栃木の初代監督に就任した辻武史監督に話を聞いた。


--監督就任おめでとうございます。
「ありがとうございます。将来性のある若い選手を預かるという立場に非常にやる気と責任を感じています。監督としてなによりも思っているのは、栃木県民のみなさんに愛される球団を作りたいということです。そして子供たちにも夢を与えるプレーを心がけていきたいですね。将来的にはNPBにドラフト指名される選手を何人も生み出す球団していきたいと思っています」
--新球団を引っ張る投打の軸は誰になるか教えてください。
「まだ実際のプレーを見ていないので今の段階ではチームの軸を決めるところまではいっていません。2月の自主トレ、そして3月15日のキャンプインで選手たちのプレーを見てからになります。そのときに私が重視しようと思っているのは、プレーの質は当然ですが、野球に対する心構えをチェックしたいと考えています」
--心構えですか?
「はい。私はプロ野球のホークスで現役時代を過ごし、引退後は高知ファイティングドッグスでコーチを務めました。高知時代、若い選手のギラギラとした闘争心を見てプロ野球選手とは違うハングリー精神を感じました。うちの選手にも気持ちを出したプレーをしてほしいと思っています。キャンプではそういう気持ちの出てる選手が何人もいてくれることを期待しています」
--辻監督が目指す野球はどういうスタイルになりますか?
「個性派集団を作りたいと思っています。攻走守、すべて三拍子揃っている選手ならとっくにプロ野球に入ってますよね。でもうちの選手も"打撃なら""足なら""守備なら"という、誰にも負けない長所をそれぞれ持っています。自分は監督として選手の個性、特徴を伸ばしてあげて、昨シーズンで引退した巨人・鈴木尚広さんのような一芸に秀でたスペシャリストを育てたいですね。1~9番まで、そしてベンチにもプレーに個性のある選手がいれば、球場に見に来たお客さんにも楽しんでもらえると思っています」

 

 BCリーグは挑戦とけじめの場所

--辻監督は星稜高校・山下智茂監督、ホークス・王貞治監督と、名将の下でプレーされました。両監督から受けた教えを栃木でどう活かしますか?
「山下監督には野球だけでなく人間形成の大切さを教えていただきました。BCリーグはプロ野球への挑戦の場所であると同時に、野球にけじめをつける場だと思っています。野球を卒業して社会人として巣立つことになれば、やはり人間形成も大切になってくる。その辺りは山下監督の教えを活かして選手たちを育てたいと思っています。
 王さんからは準備の大切さを教わりました。たとえばピッチャーが投げた一球、それが自分のところに転がってきたらとってアウトにする。そこまでを考えていかに準備をするか。打者も一打を打つためにどう準備するか。そういうプロセスのことも教えていけたらと考えています」
--1年目の目標を教えてください。
「いきなり優勝! とぶち上げては選手にもプレッシャーになるので、とりあえず個々が与えられた持ち場で仕事をすることが大切ですね。そこで全力を発揮できれば、自ずと結果はついてくると思っています」

 

 栃木ゴールデンブレーブスは辻監督の下、宮地克彦ヘッドコーチ、金無英投手コーチなどチーム体制もほぼ固まった。2月の自主トレ、3月のキャンプを経て4月(日程未発表)の開幕戦を迎えることになる。北関東の野球どころ栃木を本拠地にする新球団の活躍に注目したい。(取材・構成 編集部・西崎)

 

<辻武史(つじ・たけし)プロフィール>:栃木ゴールデンブレーブス監督
1979年6月12日、石川県生まれ。星稜高校では高3春に甲子園に出場。98年、ドラフト5位で福岡ダイエーホークス(当時。のちに福岡ソフトバンク)に入団した。NPB在籍13年。引退後の11年には四国アイランドリーグplus/高知ファイティングドッグスのコーチを務め、16年12月、新球団・栃木ゴールデンブレーブスの監督に就任した。


◎バックナンバーはこちらから