アメリカのプロフットボールリーグ、NFLが佳境を迎えている。

 1月22日(日本時間23日)に行われるカンファレンスチャンピオンシップのカードはNFCがパッカーズ対ファルコンズ、AFCがスティーラーズ対ペイトリオッツに決まった。この勝者が2月5日(同6日)、テキサス州ヒューストンのNRGスタジアムで第51回スーパーボウルに臨むことになる。

 チャンピオンシップまで勝ち進んできた4チームの「軌跡」を辿ってみることにしよう。

 

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 QBの出来がカギを握るNFC

 

 まずはNFCのグリーンベイ・パッカーズだ。

 1919年に創設された名門。缶詰会社のサポートを受けていたことで缶詰工(パッカーズ)がチームの由来となっているのは、NFLファンならご存知だろう。

 

 今季はレギュラーシーズン中盤までもたつきながら、その後は6連勝でNFC北地区優勝。シード4位でプレーオフに進み、ワイルドカードではジャイアンツに38-13と圧勝した。そしてディビジョナルでは第1シードのカウボーイズと対戦。10月には16-30で敗れているが、調子を上げているとあって接戦が予想された。

 

 カギを握っていたのは第45回スーパーボウルのMVPであるクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースだ。ジャイアンツ戦では4タッチダウンを成功させるなど出色の出来を見せ、その勢いのまま、カウボーイズ戦に臨んだ。

 

 ジャイアンツ戦で肋骨を骨折したワイドレシーバー(WR)、ジョーディ・ネルソンの不在も何のその。ロジャースはパスを散らしながら攻撃を組み立て、43回中28回のパスを成功させた。

 

 ゲームはパッカーズがリードする展開ながら地力のあるカウボーイズが必死の追い上げを見せ、第4クオーターで28-28の同点に。お互いフィールドゴール(FG)を決め手31-31のまま延長戦に突入かと思われたが、終了直前にキッカーのメイソン・クロスビーが51ヤードのFGを成功させ、何とか振り切っている。カウボーイズのルーキーQBダク・ブレスコットも奮闘したが、軍配はロジャースに上がった。

 

 パッカーズをホームで迎え撃つのがアトランタ・ファルコンズである。

 1966年にエクスパンションで加盟し、第33回スーパーボウルに出場している。

 

レギュラーシーズンを11勝5敗で南地区を制したファルコンズのシード順は2位。ディビジョナルではシード3位のシーホークスに36-20と快勝した。

 

 先にタッチダウンを許しながらもベテランQBマット・ライアンが好パスを繰り出してペースを握り、次第に点差を広げていく試合巧者ぶり。第4クオーターではインターセプトを決め、敵陣46ヤードから攻撃を開始し、WRモハメド・サヌーが見事なタッチダウンを決めている。

 

 安定的に強さを発揮してきたファルコンズと、ただいま8連勝中のパッカーズ。命運を握るのはやはりベテランQBのパフォーマンスだろうか。

 

 熱戦を予感させるAFC

 

 続いてAFCのカンファレンスチャンピオンシップに話を移そう。

 ピッツバーグ・スティーラーズは2000年以降、3度スーパーボウルに出場し、第40回、43回と2度優勝している。鉄鋼の町として発展したピッツバーグのシンボルであり続けている。本拠地ハインツ・フィールドにおいて、タオルを振り回して応援する「テリブルタオル」はスティーラーズ名物だ。

 

 今季は11勝5敗で北地区を優勝し、シード順3位でプレーオフに出場。ワイルドカードでは同6位のドルフィンズを30-12と寄せつけず、同2位チーフスとのディビジョナルは18-16と接戦をモノにした。

 

 スティーラーズと言えば、QBベン・ロスリスバーガー、WRアントニオ・ブラウン、ランニングバック(RB)レイビオン・ビルの「トリプレッド」である。

 

 3人はプレーオフに入っても大暴れ。ドルフィンズ戦では第1クオーターで、ブラウンが2度タッチダウンをマークすれば、第2クオーターではベルが9回のキャリーで78ヤードを走破してタッチダウン。力強いランが光った。ロスリスバーガーもパス18回中13回を成功させている。

 

 そして続くチーフス戦でもトリプレッドは活躍。特にベルはキャリー30回、170ヤードを稼いでいる。ただタッチダウンには至らず、主役を奪ったのはキッカーのクリス・ボスウェルであった。6度あったキックをすべて成功させ、プレーオフ新記録を達成したのだった。プレーオフにおけるタッチダウンなしの勝利は10年ぶりだ。

 

 現在9連勝中のスティーラーズに対峙するのが、6年連続でチャンピオンシップ出場を決め、覇権奪回を狙うシード順1位のニューイングランド・ペイトリオッツである。

 

 昨年はスーパーボウル2連覇を狙ったが、デンバー・ブロンコスとのチャンピオンシップで18-20と僅差で敗れている。今季はレギュラーシーズン14勝2敗と他を圧倒し、ディビジョナルでもテキサンズを34-16と寄せつけなかった。

 

 テキサンズ戦で注目を一身に浴びたのがRBディオン・ルイスである。ラン、パスレシーブ、キックオフリターンと3タッチダウンを挙げた。現行システムのプレーオフで3部門すべてのタッチダウンをマークしたのはルイスが初めてだという。

 

 過去4度、スーパーボウル優勝を経験し、第49回大会のMVPである39歳QBトム・ブレイディも健在だ。10月の試合ではペイトリオッツが27-16と勝利しているが、上り調子のスティーラーズが相手だけに今回は接戦となりそうな気配が漂う。

 

 全米の視聴率が40%を超えるスーパーボウル。

 栄光のヴィンス・ロンバルディ・トロフィーを獲得するのは一体どのチームか――。

 

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【NFLプレーオフ放送予定】日テレジータスで生中継

 

<カンファレンスチャンピオンシップ>

・1月23日(月)4:45~12:45 ※最大13:15まで放送

NFC グリーンベイ・パッカーズvs.アトランタ・ファルコンズ、AFCピッツバーグ・スティーラーズvs.ニューイングランド・ペイトリオッツ

 

<第51回スーパーボウル>

・2月6日(月)8:00~13:30

 

※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。


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