DSC09101指導

(写真:なでしこジャパンの選手に指導する朝原氏<左>)

 23日、サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)は都内で候補合宿第4日目を行った。今合宿は「体づくり」がテーマとなっている。この日は北京五輪男子400メートルリレーで銅メダルを獲得した朝原宜治氏を臨時コーチとして招き、正しく体を動かすためのトレーニング、走力をあげるためのトレーニングを1時間45分ほど行った。

 

 2019年フランスW杯、そして東京五輪に向けて、課題克服のために陸上界から朝原氏をコーチとして招聘した。合宿メンバーはハードルや昇降台を使い、「効率よく体を動かすトレーニング」「速く走るためのトレーニング」を消化した。両手両足を地面につけて、四つ足歩行から徐々に体を起こしてダッシュ、高速スキップ、ストライドを狭くしたダッシュなどユニークな動きを取り入れたトレーニングで汗を流したなでしこたち。終始笑顔だったが、時折、きつそうな表情も見せた。DF有吉佐織は「全体的に結構きつかった。両手両足で這いつくばるメニューはうまくできなかった」と振り返った。

 

 指導中、朝原氏は「骨盤を安定させること」「ブレない」「前のめりにならない」と選手たちに声をかけた。練習内容について、朝原氏はこう説明した。

「基礎的な体の重心の動かすメニューをやりました。体幹や股関節といった大きな部分から体を動かす。体の末端に力が入るというのは基本的にあまり良くない。“手首、首、肩、足首に力が入らないように”と伝えました」

 

DSC09057手本

(写真:軽やかな動きでデモンストレーションを行なった朝原氏)

 なでしこジャパンの高倉麻子監督と朝原氏は昔から親交があったため、今回の特訓が実現した。高倉監督は「スピードやパワー、体の使い方、メンタルには今まで手を付けていなかった。選手自身が見つめ直して、気づいたり、発見したりして変化があったらいいなと思った。(朝原氏は陸上界の)一流ですから、私が何か言ったり、いつものトレーナーが何かを言うのとは、全く違うと思う」とトレーニングに満足した様子だった。指導を終えた朝原氏は「ポテンシャルは高い。複雑な動きは陸上選手よりすごく上手」となでしこたちを評価した。

 

 20日からスタートしている今回の代表候補合宿。初日にはソウル五輪シンクロナイズドスイミングのメダリストで、現在はメンタルトレーナーとして活躍する田中ウルヴェ京氏を招くなど、競技の枠を超えた交流を図っている。なでしこジャパンは昨年のリオ五輪最終予選で敗れ、本大会出場は果たせなかった。世界の大舞台で再びなでしこの花を咲かせるために、新しいものを吸収し続ける。

 

(文・写真/大木雄貴)