DSC00256

(写真:無敗で2冠を達成し、歓喜に沸くサントリーのメンバー)

 29日、日本ラグビーフットボール選手権決勝が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、今季トップリーグ王者サントリーサンゴリアスが昨季2冠のパナソニック ワイルドナイツに15-10で勝利した。サントリーは今季2冠を達成。パナソニックの連覇はならなかった。前半は両チームがペナルティーゴール(PG)を1本ずつ入れて、3-3で終了した。後半にサントリーは2つのPGで突き放すが、16分にパナソニックに1トライ1ゴールを決められて逆転を許す。それでも敵陣で相手のファウルを誘い、20分と25分にPGで再びリードを奪った。パナソニックの反撃を封じ、5点のリードを守り切った。

 

 サントリーvs.パナソニック。死闘を繰り広げてきたライバル対決は、この日も熱戦を披露した。

 

 試合開始直後から激しくボールを奪い合いあった。サントリーはSH流大、SO小野晃征のハーフバックがループも加えながら、速いテンポでボールを回す。流れるような攻撃を見せれば、パナソニックはPR稲垣啓太、No.8デービッド・ピーコックらが激しいディフェンスでせき止める。息を飲むような緊張感がピッチを包み、2万人を超える観客を魅了した。

 

DSC00134

(写真:ボールを追いかける松島<左>と山沢<中央>)

 サントリーは流、小野に加え、FB松島幸太朗がキックで陣地を稼ぐ。対するパナソニックも大学生トップリーガーのSO山沢拓也が蹴り返した。両足で蹴れる山沢はキックだけでなく、自ら突破を試みるなどサントリーの防御網をかいくぐろうとする。トライこそ奪えなかったものの、脅威を与えるには十分だった。

 

 スコアが動いたのは、17分だ。流のショートパスからWTB中靍隆彰が巧みなステップで抜け出した。今季のトップリーグ最多トライゲッターは快速を活かし、約40メートルを独走。最後は相手の反則を誘った。これでPGを今季トップリーグ得点王の小野が着実に決める。サントリーが先制点を奪った。

 

 すぐさまパナソニックも反撃。敵陣深くまで攻め込むと、サントリーがオーバーザトップの反則を犯す。PGを山沢が決めて、追いついた。その後は24分に山沢が、40分には小野がそれぞれPGを外すなど得点は動かない。3-3で試合を折り返す。

 

 後半開始早々に攻め立てたのはパナソニックだった。しかし、2分に敵陣に侵入しながらパスが乱れてボールを奪われてしまう。4分にはポーコックがゲインし、田中、LOヒーナン・ダニエルと繋いで、LO谷田部洸太郎がインゴールへと飛び込んだ。ここはラインを越える前に谷田部がボールをこぼしてしまい、ノックオン。パナソニックは勝ち越しのチャンスを逃した。

 

DSC00167

(写真:再三ブレイクし、相手守備陣を切り裂いたツイ<左>)

 6分、ブレイクダウン(密集)でFLジョージ・スミスがポーコックからボールを奪う。ワラビーズ(オーストリア代表の愛称)で111キャップを誇る世界有数のボールハンターが本領を発揮。その2分後にFLツイ・ヘンドリックが抜け出す。今度はポーコックがボールを奪い返そうとするが、レフェリーはハンドの反則を取った。

 

 ここでサントリーはショットの選択。着実に得点を積み重ねていく算段だ。「グラウンドコンディションやファイナルゲームということもあって3点の重みを考えて狙えるところは狙っていこうと考えました」とキッカーの小野。ここでPGを決め、勝ち越す。小野は15分にもPGを入れて、9-3とリードを広げる。

 

 このままサントリーが流れを掴むかと思われたが、直後にミスを犯す。自陣深くでラックとなり、流がハイパントで距離を稼ごうとした。するとパナソニックのヒーナンとWTB福岡堅樹が猛チャージ。福岡の手に跳ね返されたボールをヒーナンが拾い、インゴールへ運んだ。

 

 流がキックを選ぶのは、前半から度々見られており、そこをパナソニックも狙っていたのだろう。流にとっては死角から2選手が飛び出してきた。「見えていなかった。自分のミス」と警戒が甘くなっていたことも手伝った。ヒーナンのトライで1点差に詰め寄り、コンバージョンキックを山沢が着実に決めて、パナソニックが逆転した。

 

DSC00172

(写真:今季からキッカーを任された小野。チームの得点源にもなっている)

「うまくいったと思ったことがペナルティーになることが多かった」。試合後に、パナソニックのゲームキャプテンFL布巻峻介が語ったように、流れは掴めなかった。敵陣でファウルを連発。20分と25分ほぼ正面の位置でPGを与えてしまう。どちらも40m前後の距離はあったが、コースとして難しくない。このチャンスを小野は逃さなかった。15-10と再びリードを奪ったのはサントリーだった。

 

 連覇を狙うパナソニックも青い波となったサントリーに襲い掛かる。両ウイングの福岡と山田章仁がアタックして敵陣へと攻め込んだ。布巻やポーコック、HO堀江翔太も体を張って、フェーズを重ねてゴールへと着々と近付いていった。34分、中央でボールを持った山沢が左サイドへキックパス。大外の福岡を狙う。

 

 しかし、このボールを読んでいた松島がジャンプしてインターセプトした。松島は「(福岡)堅樹が10番(山沢)に“ボールが欲しい”という感じを出していた。いいポジショニングができました」と自賛するビッグプレーだった。終盤も激しいボールの奪い合い。互いに主導権を譲らず、スコアが遠い。

 

 残り2分を切り、パナソニックは敵陣深くでラインアウトを得る。ここでもフェーズを重ねてゴールへ迫る。点差は1トライ分。コンバージョンが決まれば、逆転できる。左から右へ展開しつつ、トライを狙った。しかし、試合時間終了のホーンが鳴る直前、ボールが一瞬ルーズになったところをスミスに突かれる。

 

 ダイビングしてボールをセーブしたスミス。リードしているサントリーがボールを奪取した。ホーンが鳴るとほぼ同時にPR畠山健介がボールを外へ蹴り出して、サントリーが優勝を決めた。4年ぶり7度目の日本選手権制覇。今季を無敗のまま、2冠で締めくくった。

 

(文・写真/杉浦泰介)