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(写真:決勝では4課題中2つを完登した藤井)

 スポーツクライミング「第12回ボルダリングジャパンカップ」最終日が29日、東京・代々木第二体育館で行われた。男子は昨年優勝の藤井快が制した。男子の複数回優勝は史上初。昨年の世界選手権金メダリストの楢崎智亜は準決勝で敗退した。女子は中学生クライマーの伊藤ふたばが初優勝。野口啓代は2位、野中生萌は3位だった。

 

「意地と気合いと根性で登りました」

 前回覇者の藤井は決勝の最終課題を完登すると、拳を握り締めて雄叫びをあげた。

 

 昨年はW杯年間2位の好成績。同1位で世界選手権王者の楢崎と並ぶ優勝候補に挙げられていた。藤井は前日の予選終了後には「あまりいいクライミングができなかった」と5課題すべてをクリアしながら納得はいっていない様子だった。

 

 それでも一夜明けて迎えた準決勝も順当に通過した。決勝に向けて振るい落としにかけるため、難易度が高いと言われる準決勝。ライバルの楢崎は上位6名に残れず、決勝進出を逃した。

 

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(写真:予選では全課題を完登した藤井)

 ファイナルは4課題の完登数で争われる。完登数で並べば、それにかかったトライ数が少ない選手が上位となる。藤井は第1課題目を2回の挑戦でクリア。第2、3課題は失敗に終わった。

 

 特に第3課題はゴール地点のホールドを片手で掴みながら、両手をかけるまで維持できずに落下した。マットの上で宙を見上げるなど落胆の思いは隠せない。残り時間少ない中で最後に1度チャレンジしたが、完登する力は残っていなかった。

 

 藤井は暫定2位で迎えた4つ目の課題。優勝のかかる場面で底力を発揮した。安定したバランス感覚で登っていく。足場がないようなところでも足を壁に吸い付かせるようにしてバランスを取った。1回のトライで完登する“一撃”で2連覇を決めて見せた。

 

(文・写真/杉浦泰介)