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(写真:「ストロークの展開力は日本でもトップクラス」と指揮官が高く評価するエースの片山)

 昨年12月より開幕した第31回テニス日本リーグ。昨シーズン5位の伊予銀行テニス部は、ブルーブロックで6勝1敗の2位に入った。これにより3大会連続決勝トーナメント進出を決めた。2月10日のトーナメント初戦はレッドブロック3位と対戦する。その相手はエキスパートパワーシズオカ。なんと昨年日本リーグを制したタレント集団といきなりぶつかることとなったのだ。

 

 

 まずはリーグ戦を振り返ろう。

 開幕前、伊予銀行勢が出場した第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」成年男子の部において6位に終わった。前年度の「紀の国わかやま国体」よりも順位をひとつ下げたかたちだ。それでも伊予銀行の秀島達哉監督によれば、チームにネガティブな空気はなかったという。

 

 兵庫のブルボンビーンズドームで行われたファーストステージは4連勝。無傷のまま年を越し、セカンドステージの行われる横浜国際プールに乗り込んだ。初戦の三菱電機は2シーズン前の王者だ。ブルーブロック1位通過のキーポイントと言ってもいい。だが、思わぬアクシデントが伊予銀行を襲った。

 

 チームのエースである片山翔が急性胃腸炎にかかり、欠場を余儀なくされたのだ。チームは緊急ミーティングを行い、オーダー変更を話し合った。代役に指名されたのは新人の弓立祐生だった。シングルスの出場順(シングルスNo.2が先に試合を行う)は日本ランキングに基づいて決まるため、シングルスNo.2の佐野紘一が繰り上がりNo.1を、弓立がシングルNo.2を任された。

 

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(写真:入社3年目の中島はスピードとテクニックに長けたサウスポー)

 弓立は日本ランキング11位の仁木拓人に、佐野は同3位でナショナルチームにも入っている杉田祐一にストレート負け。飯野翔太&中島啓組のダブルスは取ったものの、今シーズンの日本リーグ初黒星を喫した。急遽、出番が回ってきた弓立も格上のプロ選手相手に第1セットまでは善戦を見せたという。秀島監督も「思い切ったプレーをしてくれた。この敗戦が糧になるのではないかと思っています」と今後への期待を寄せた。

 

 敗戦後のチームの雰囲気も悪くなかった。指揮官には「負けましたが、やることをやったのですっきりしている感じ」と映った。続くイカイ戦は1位通過のためには負けられない相手である。だが、イカイも昨シーズンの準優勝チーム。日本リーグも2度制している強豪だ。

 

 まずシングルスNo.2に登場してきた小ノ澤新は全日本選手権4強のサウスポーだ。対戦する佐野にとっては、ダブルスを組んだこともある勝手知る相手である。第1セットは点の取り合い、タイブレークの末に先取された。すると第2セットは1-6で落としてしまった。小ノ澤は日本25位のプロ選手。一方の佐野は41位とランキングでみれば格下とも言える。第1セット目の粘りがもたらしたチームへの影響は少なくない。「負けはしましたが、流れを佐野が作ってくれた」と秀島監督も、佐野を称えた。

 

 ここからは1試合も落とせない。2試合目のシングルスNo.1は復帰したエースの片山が登場。イム・ヨンギュ(韓国)と対戦した。決してコンディションは万全じゃないはずだが、そんな素振りはまるで見せない。持ち前のパワフルなストロークを武器に押していく。第1セットは6-4で先取した。第2ゲームは競った展開から5-7で落とした。ファイナルセットに突入したが、イムのプレーが突然乱れたこともあって6-0。セットカウント2-1で勝敗を五分に戻した。

 

「体調を崩していた影響を感じさせましたが、最後は勝ってくれて良かったです。片山は“このチームのために”という気持ちでやってくれている。ストロークの展開力は非常に高い。あの体調の中では十二分に発揮してくれました」

 指揮官も称賛する。これぞまさにエースの仕事ぶりだった。続くダブルスの飯野&中島組も、試合中に相手がケガをするアクシデントが起こった。棄権で勝利し、これで5勝1敗。ブルーブロックトップ通過の可能性を残した。

 

 1位通過の懸かったセカンドステージ最終戦は、明治安田生命と対戦。1位・三菱電機を追いかける伊予銀行でしては、まず勝つしかない。シングルスNo.1片山、No.2佐野がいずれも危なげなくストレート勝ちを収め、ブルーブロック6勝目を確定させた。しかし、最終戦で三菱電機がイカイを破ったため、トップ通過はならなかった。

 

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(写真:チームをまとめる日下部コーチ<左>と秀島監督)

 伊予銀行の指揮を執る秀島監督はリーグ戦をこう総括した。

「1位通過を目指していましたので残念ではありますが、三菱電機さんはやはり強かった。ただ2位通過はよくやった方だと思います。三菱電機さんとイカイさんの方が戦力的には上。ウチはアクシデントもありましたが、目指していたテニスは出せたかなと思います。それにチームがひとつになって、どの試合でもチーム力で戦うのが目標。片山のアクシデントをいい意味で乗り越えて、一枚岩で戦えたのは良かった」

 

 レッドブロック、ブルーブロックのセカンドステージが終了。決勝トーナメントにはレッドブロックのノア・インドアステージ、レック興発、エキスパートシズオカ、リコーとブルーブロックの三菱電機、伊予銀行、イカイ、トップランの8チームが進んだ。ブロック1位が異なるブロックの4位と、ブロック2位は異なるブロックの3位と対戦するため、伊予銀行はエキスパートシズオカとの対戦が決定した。

 

「全くの予想外でした」。決勝トーナメントの組み合わせに秀島監督は戸惑いを隠せない。「間違いなく力はリーグで1番か2番だと思います。エキスパートが1位、ノア・インドアステージが2位と想定していたので、驚いています。まさか去年の優勝チームが3位とは……」

 

 2年前の3位決定戦では勝っているチームとはいえ、その時とメンバーは違う。エース格のルー・イェンスン(台湾)は男子プロテニス協会(ATP)ランキング60位。グランドスラム本戦の出場経験も豊富なアジアを代表するトッププロだ。2番手格もジェーソン・ジュング(台湾)も実力者である。外国人選手は1人しかエントリーできないため、どちら1人の出場にはなるが、恐らくはルーがNo.1シングルスとなるだろう。

 

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(写真:配球や戦術面でも進化が見られる佐野)

 日本人選手も長尾克己、鈴木昂、奥大賢、近藤大生、西尾隆信とプロ選手が5人もいる。日本ダブルスランキングの6位の奥、7位の長尾は昨年の全日本選手権を制したペアだ。どの選手を起用してきても怖い存在には違いない。オーダーについては「現時点では白紙」と秀島監督は口にするが、リーグ戦で6戦全勝の片山が軸になることは濃厚と見られる。飯野&中島組も6戦全勝と好調を持続しているのも心強い。

 

 伊予銀行は2月上旬から宮崎で合宿を張って、決勝トーナメントに備える。「上位進出のためには上をどう食っていくか。戦略、戦術も考えないといけないでしょうね」と指揮官は語る。真冬の季節に行われる日本リーグだが、伊予銀行の熱い戦いはこれからだ。

 

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