FUJI XEROX SUPER CUP 2017が18日、日産スタジアムで行われ、鹿島アントラーズ(昨季J1王者・天皇杯王者)が浦和レッズ(昨季J1年間2位)に3-2で勝利した。試合は前半39分にMF遠藤康がFKを直接決めて鹿島が先制する。43分にも遠藤康が追加点を奪った。後半に入ると浦和が29分にFW興梠慎三、30分にFW武藤雄樹が得点し、同点に追いついた。だが、鹿島は38分に途中出場のFW鈴木優磨がゴールを決めて勝ち越し。鹿島が2010年以来6度目のFUJI XEROX SUPER CUP優勝を果たした。

 

 途中出場の鈴木が勝ち越し点(日産)

鹿島アントラーズ 3-2 浦和レッズ

【得点】

[鹿] 遠藤康(39分、43分)、鈴木優磨(83分)

[浦] 興梠慎三(74分、75分)

 

 Jリーグの春の訪れを告げるFUJI XEROX SUPER CUP。リーグ戦の前哨戦と位置づけられる戦いとあって鹿島はGKクォン・スンテ、DF三竿雄斗、MFレオ・シルバ、FWペドロ・ジュニオールの4人のニューフェイスがスタメン出場を果たした。

 

 試合は前半39分、鹿島が先制した。ゴール中央やや右、約22メートルの位置から遠藤康がFKを左足で直接ゴール右に決めた。その4分後にはFW金崎夢生が左サイドから右足で巻くようにファーサイドを狙った。シュートはポストを叩くが、こぼれ球に詰めていた遠藤康が右足インサイドで押し込み2点目を奪う。

 

 優勢のまま試合を折り返した鹿島だが、後半に入ると浦和にペースを握られた。29分には途中からピッチに入った興梠をペナルティーエリア内でMF小笠原満男が倒してしまいPKを与える。キッカーの興梠にゴール右サイドに決められた。その1分後にはMF関根貴大が右サイドからクロスを入れ、FWズラタンがヘッドで合わせる。このシュートはポストに助けられたが、武藤にこぼれ球を押し込まれた。

 

 同点となり勢いづく浦和を止めたのが、途中出場を果たした鹿島の鈴木だった。38分、鈴木がロングフィードに抜け出す。一度は浦和のDF遠藤航に体を入れられてボールを奪われた。しかし、鈴木は遠藤航の一瞬の隙を突く。遠藤航がボールの処理にもたついたところを背後から回り込んでそのまま左足インサイドでゴール右隅に転がした。これが決勝点となった。

 

 7年ぶりにFUJI XEROX SUPER CUPを制した鹿島が優勝賞金3000万円を手にした。2ゴールを決めた遠藤康は「FKは自信があった。練習通り蹴れた」と語ったが、「情けない試合をした」と試合を総括した。

 

 決勝ゴールを決めた鈴木も「自分が出て2点やられている。体も張れなかった。点を取っただけって感じです」と冴えない表情だった。鈴木は遠藤航からボールを奪った得点の場面を「ピッチに水を撒いていなかったので、ボールが止まりやすいことは把握していた。そこを狙っていたらうまくいった」と冷静に振り返った。

 

 監督の石井正忠は新加入選手の出来について、手ごたえを口にする。

「(レオ・シルバら新戦力がフィットするまで)もう少し時間がかかると思ったが、試合を通して戦術理解を深めていってくれた。非常に早くチーム戦術を理解してくれた。今日のパフォーマンスも非常によかった。新しく入った選手たちの能力を今までのチームとうまく融合させながら高いレベルのサッカーをしていきたい。今日は1つ、成果が出たことは良いことだと思う」

 

 勝っても浮かれることのない鹿島に王者らしい風格を見た。リーグ開幕まで残り1週間。リーグ連覇を目指す鹿島はホームでFC東京と、浦和はアウェイで横浜Fマリノスと対戦する。

 

(文/大木雄貴)