明治安田生命J1リーグ開幕戦が25日、各地で行われ、昨年リーグ王者の鹿島アントラーズはホームでFC東京と戦った。試合は0-1で鹿島が敗れた。試合は後半37分にFC東京が鹿島のオウンゴールで先制した。このままFC東京が虎の子1点を守り切った。

 

 そのほかの試合は年間勝ち点1位の浦和レッズは横浜F・マリノスに2-3で逆転負け。昇格組はセレッソ大阪がジュビロ磐田に引き分けた以外は黒星スタートとなった。26日はJ1残り1試合(ガンバ大阪vs.ヴァンフォーレ甲府)が行われ、J2が開幕する。

 

 中島、オウンゴール誘う(カシマ)

鹿島アントラーズ 0-1 FC東京

【得点】

[東] オウンゴール(82分)

 

 開幕を待ち浴びていたサポーターたちの熱気に後押しされ、選手たちはピッチで激しくぶつかり合った。

 

 両軍ともに失点をしないために激しく中盤で潰し合う。鹿島のMFレオ・シルバとFC東京のMF橋本拳人が中盤の底で相手の攻撃の芽を摘んでいた。スコアレスで試合を折り返した。

 

 14分、FC東京に新加入のFW大久保嘉人に決定機が訪れる。DF太田宏介が蹴った右コーナーキックが、ゴールの目の前にポジションを取る大久保の前にこぼれた。大久保は右足インサイドで合わせたがボールはバーの上へ。FC東京は喉から手が出るほど欲しかった先制点を逃した。

 

 後半18分、FC東京の篠田善之監督はMF河野広貴に代えてMF中島翔哉を投入する。リオデジャネイロ五輪で10番を背負った中島。キレのあるドリブルと思い切りのいいシュートが魅力のアタッカーだ。後々、この采配が効いてくる。

 

 28分には鹿島が決定機を作った。左サイドを崩したDF三竿雄斗がゴール前のFWペドロ・ジュニオールへクロス。ペドロ・ジュニオールはトラップしてシュートを打つだけだったが、トラップが足元に入りすぎてしまう。シュートを打ち損じ、チャンスをモノにできなかった。

 

 膠着状態を破ったのはFC東京の中島だった。37分、ペナルティーエリア外の左サイドでボールを持った中島はカットインして右足でミドルを放った。シュートはGKクォン・スンテが弾く。こぼれ球にバランスを崩しながら鹿島の三竿が対応した。だが、三竿の中途半端なクリアはそのままゴールに吸い込まれた。

 

 待望の先制点を奪ったFC東京は、GK林彰洋を中心にタイムアップまでこの1点を守り切った。大久保、太田、林など国内外から選手を補強したFC東京が開幕戦を勝利で飾った。

 

 篠田監督は試合をこう振り返った。

「何より勝ち点3を取れたことが非常に良かった。開幕戦で硬い部分が見られたが鹿島と戦うときはこういうゲームになる。セカンドボールをどう自分たちのボールにしていくか。フィニッシュまでこじ開けるのはなかなか難しいが、とにかく一歩前進できた」

 

 オウンゴールのきっかけを作った中島について、指揮官は「翔哉は自分でボールを運べるし、攻撃のスイッチを入れられる。結果的にあのシュートがあって得点が入ったわけですから。仕掛けることは引き続き彼にはやってもらいたい」と高く評価する。

 

 切り札としての仕事を果たした中島は「普段から練習していて自信があったけど、あまり良いシュートではなかった(苦笑)。次の試合ではちゃんと自分でゴールを決められるように頑張る」と語った。

 

 昨季の王者を破ったFC東京が大きな勝ち点3を手にした。今日のようにスコアレスの時間帯が長くても焦れずに我慢ができるかが今後優勝争いに加わっていくためのカギとなるだろう。

 

 3年ぶりに1ステージ制となったJ1が幕を開けた。12月まで行われる長いリーグ戦はまだ始まったばかりだ。

 

(文/大木雄貴)