2月25日にJ1リーグがスタートしました。年末の過密日程緩和のために開幕が昨年から早まっています。新シーズンに向けて各クラブはオフ期間が短かったと思いますが、ファンは首を長くして待っていたのではないでしょうか。僕はやはり、古巣の鹿島アントラーズとFC東京の一戦が気になりました。

 

 GKクォン・スンテ、MFレオ・シルバ、FWペドロ・ジュニオールらを補強した鹿島は、GK林彰洋、FW大久保嘉人らを獲得し、DF太田宏介をオランダのフィテッセから復帰させたFC東京と戦いました。結果は0-1で鹿島の敗戦。しかし、内容的には落ち込む必要はありません。開幕戦らしく、両軍とも硬い立ち上がりでした。失点に関しては、精一杯プレーした結果のオウンゴールです。気持ちを次に切り換えてくれれば問題ないと思います。

 

 僕には新戦力がだいぶ馴染んできているように映りました。試合を通して、昨年同様、DF昌子源を中心に組織立って守っていました。韓国の全北現代モータースから獲得した守護神のクォン・スンテはボールに対する反応が良いです。それに加え、積極的にチームメイトとコミュニケーションを取ろうとする姿勢に好印象を受けました。

 

 レオ・シルバもペドロ・ジュニオールもこの短期間でうまくフィットしたと思います。レオ・シルバは攻守のバランスをうまく保ってくれる。昔、鹿島にいたサントスに似ている気がします。レオ・シルバも同様に攻守両面で影の立役者になってくれそうです。ペドロはゴールへ向かう姿勢に迫力が感じられ、久々に前線に楽しみな助っ人が来ました。FW金崎夢生やFW鈴木優磨との絡みが増えれば多彩な攻撃パターンを期待できそうです。

 

 サッカーの守備は高い位置でボールを奪うか、全体的に引いてしっかりとブロックを作るかの2パターンです。今季は鹿島のカウンターを警戒して、後者の引いて守る戦術を採用する対戦相手が増えるでしょう。相手はスペースを与えてくれないかもしれませんが、鹿島の攻撃陣には数少ない決定機をモノにして欲しいです。

 

新9番・鈴木優磨に期待

 

 プレシーズン、ゼロックス杯、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)初戦を合わせて7戦7発と絶好調だった鈴木は、後半31分から出場しました。ただし本職のFWではなく右サイドハーフでの起用です。リーグ開幕戦はゴールこそありませんでしたが、ゴール前に入る動きなどは評価できると思います。

 

 鈴木の長所はシュートの意識が高いことです。DFを抜き切らなくてもシュートを打つ姿勢は素晴らしい。DFとしては、コースを少しでも空けると、シュートを打たれることが一番嫌です。彼は調子に乗ると手が付けられない厄介な選手。今後は、自分の調子が良い時、悪い時を把握して、それをコントロールできるようになれば一層大きく成長すると思います。これからがとても楽しみな選手です。

 

 今季はACLと並行してリーグを戦うに臨む鹿島ですが、補強のおかげで選手層の厚さは申し分ない。石井正忠監督には、うまく選手を休ませつつ、連戦を乗り切って欲しいですね。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザ(http://kashima-hsp.com/)の総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。


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