浦和レッズがACL(アジアチャンピオンズリーグ)で好発進している。

 

 グループステージ開幕戦(2月21日)をアウェイでウェスタン・シドニーに4-0と圧勝すれば、第2戦のホームFCソウル戦(2月28日)も5-2とこれまた圧勝した。

 

 浦和にとってFCソウルは昨季、決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に敗れた因縁の相手だ。ACL準優勝経験のあるKリーグ王者に“リベンジ”したのだから、浦和の強さは本物だと見ていい。

 

 一方でJリーグの開幕戦(2月25日)は横浜F・マリノスに2-3と敗れている。相手陣営に完全に押し込もうとする「超攻撃」は、守備に回ると脆い一面をのぞかせる。自陣にスペースがある分、カウンターにさらされやすく、1対1の局面で負ければ一気にゴール前まで運ばれてしまうリスクもある。だが、うまくサイドを使えずに機能しなかった攻撃を、後半に入って修正してあっさりと2点を奪った。

 

 ミハイロ・ペトロヴィッチ体制6年目。継続してきたポゼッションサッカーを停滞させないためにも、もう一つ上のレベルを目指そうとしていることは分かる。昨季は前線からの守備が機能してリーグ最少の28失点にとどめているだけに、守備の立て直しにそこまで時間が掛かるとも思えない。

 

 筆者はサッカー専門誌のJリーグ順位予想で、浦和を1位に推した。

 

 その理由は「継続は力なり」だ。

 

 昨季は最少失点かつ、得点数は川崎フロンターレに次ぐ61得点で2位。そしてACLと掛け持ちをしながら、年間トップの勝ち点74を積み上げた。ACLは決勝トーナメント1回戦で、Jリーグではチャンピオンシップ決勝で敗れたとはいえ、どのクラブも苦しんできたACLとJリーグを両立する難儀なミッションを成立させている。そのうえYBCルヴァンカップを制して、ペトロヴィッチ体制で初のタイトルを獲得した。積み上げてきたことがようやく成果に表れたのが2016年シーズンであった。

 

 リーグ王者となった鹿島アントラーズも石井正忠監督に代わった前年にヤマザキナビスコカップを優勝して成功体験を得ている。そのことがチームの自信につながり、伝統の「勝負強い鹿島」を取り戻すきっかけになった。浦和にとっても1つのタイトルが突破口となる可能性は十分にあるだろう。

 

 補強も鹿島、FC東京、ヴィッセル神戸などに比べると派手さはないが、手堅いという印象を受ける。サイドに菊池大介、ボランチにレンタルバックの長澤和輝と矢島慎也、GKに榎本哲也と各ポジションの層を厚くしている。そしてスピードとテクニックのあるストライカー、ラファエル・シルバはチームの攻撃力を格段にアップさせるポテンシャルを秘めている。

 

 現有戦力がベースにあることに変わりはない。ただ、誰が出てもチーム力が落ちないようになってきている。主力の阿部勇樹、柏木陽介をメンバー外にしながらFCソウルを圧倒できたという意味は大きい。チーム全体が底上げされているという何よりの証拠であると思う。

 

 大型補強をした鹿島、FC東京は面白い。そしてACLのない試合巧者のサンフレッチェ広島あたりも上位に食い込んでくるかもしれない。優勝争いが混沌とすることも十分に考えられる。

 

 浦和の沖縄キャンプを訪れた際、キャプテンの阿部はこう語っていた。

「チームのためにみんなが走り、戦い、同じ方向を見ながら結果を出していく。去年よりもそういったことを徹底してやらないと、目指すものはどんどん逃げていってしまう。得点数、失点数を去年よりもさらに良くしていきたい」

 

 Jリーグ、ACLのダブル制覇を目指して――。ミシャレッズの真価が問われるシーズンとなる。


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