現地時間9日、FISフリースタイル&スノーボード世界選手権がスペイン・シエラネバダで行われ、男子デュアルモーグルで堀島行真(中京大)が初優勝を果たした。堀島は8日のモーグルに続いて、今大会2冠を達成。日本人男子では初の快挙を成し遂げた。その他の日本勢は遠藤尚(忍建設)と西伸幸(マンマーノフーズ)が2回戦敗退に終わった。原大智(ジョックス)は体調不良で欠場。女子はペリーヌ・ラフォン(フランス)が制した。

 

 雪上へ舞い降りた新星が、スペインで躍動した。スノージャパン(全日本スキーチームの愛称)の若き侍が快挙を成し遂げた。19歳の堀島は前日に行われたモーグルでは日本男子初優勝。この日のデュアルモーグルを制しての2冠達成だ。日本人としては2009年稲苗代大会の上村愛子以来、男子ではもちろん初の記録だ。

 

 1対1の対戦形式となるデュアルモーグル。スピード、ターン、エアーの3点を採点するのは通常のモーグルと同じ。デュアルモーグルはジャッジが持ち点を振り分けて、点数の多い方が勝者となる。ノリに乗っている堀島は3回戦では大本命のミカエル・キングズベリー(カナダ)を撃破した。今シーズンW杯9勝と抜群の強さを誇るトップ選手から金星をもぎ取ると、快進撃は止まらない。準決勝、決勝と勝ち進んだ。決勝の相手はブラッドリー・ウィルソン(アメリカ)。モーグルでソチ五輪に出場し、W杯でも通算2勝を挙げている。W杯未勝利、世界選手権初出場の堀島にとっては格上の存在だ。

 

 迎えた決勝で、堀島は第1エアでコーク1080(斜め3回転)の大技を披露。しかし、その後にバランスを崩して転倒してしまう。大幅なタイムロスを強いられた。スピードは得点を占める割合は2割に過ぎないが、それでも窮地には変わりはない。堀島は気持ちを切らさず、第2エアーへ向かおうとした。

 

 スペインの太陽に煌々と照らされたコースは滑りやすくなっていたのかもしれない。直後、ウィルソンも転倒した。堀島にとってラッキーだったのは、その場所が第2エアーの直前の位置だったこと。助走スピードが完全に死んでしまったウィルソンは第2エアーでトリックを見せることができなかった。

 

 フィニッシュは堀島の方が1秒02遅れたが、第2エアーを着実に決めた点は大きかったに違いない。採点は割れたが、トータルでは20-15で堀島が上回った。W杯は未勝利。世界選手権は初出場の男が、連日の大番狂わせだ。これで一気に平昌五輪への道は拓かれた。五輪プレシーズンに飛び出してきた無印の新星が、メダル候補へと赤丸急上昇となった。

 

(文/杉浦泰介)