WBCも終わって、いよいよ31日からプロ野球が始まります。今回は恒例のセ、パ両リーグの順位予想です。各チームの昨季からの補強状況、そしてオープン戦の戦いぶりをチェックしてこんな予想を導き出してみました。

 

【パ・リーグ】
1位 福岡ソフトバンク
2位 千葉ロッテ
3位 埼玉西武
4位 北海道日本ハム
5位 オリックス
6位 東北楽天

 

【セ・リーグ】
1位 横浜DeNA
2位 広島
3位 阪神
4位 巨人
5位 ヤクルト
6位 中日

 

 昨季も鷹と互角のロッテが主役

 パ・リーグの優勝は福岡ソフトバンクです。昨シーズンは北海道日本ハムに大逆転されてリーグ優勝を逃しました。その悔しさ、そしてリベンジにかける思いは相当でしょう。もちろん投手陣、野手陣ともに選手層の厚さはリーグ随一です。戦力の流出が最小限なので勝ち星を計算しやすいのも強みですね。

 

 逆に昨年覇者の日本ハムの連覇は厳しいと見ます。確実に勝ち星を計算できるのが有原(航平)、大谷(翔平)くらいなのが気になります。それと増井(浩俊)を先発から再び後ろ(抑え)へ回すのかどうか、ブルペン陣が不安材料ですね。それで予想順位は4位にしました。ただ栗山監督はシーズンを進めながら戦力に合わせた戦い方をするのがうまい。それがハマればAクラスどころか優勝もあり得ます。監督の手腕に注目したいところです。

 

 パ・リーグ2位、ソフトバンクの対抗には千葉ロッテをあげたいですね。ロッテは昨シーズン、ずっとAクラスで戦っていました。夏場を迎えるまではソフトバンクと互角に戦っていた、今季もその戦力は健在です。
 私が注目したのはオープン戦での伊東勤監督のコメントです。3月22日、対中日戦でドラフト1位の佐々木千隼が先発しました。佐々木は6回1/3を投げて4安打1失点。まずまずの投球内容でしたが、伊東監督は「開幕ローテーションの当確? それはどうだろうね」と、煙に巻きました。このコメントの真意は「佐々木を入れなくてもローテーションは確立できている」という自信の表れじゃないかと思っています。

 

 3位は埼玉西武です。昨年は膝の故障で不調だったおかわり(中村剛也)が復調するかがカギですが、元々打力のあるチーム。負けるときは接戦をミスで落とすことが多かったので、そこは新監督、守備の名手だった辻(発彦)さんの教えに期待しています。あと辻さんは選手に厳しく言えるタイプなので、チームも引き締まるんじゃないでしょうか。期待を込めてのAクラス予想です。

 

 5位予想のオリックスはここ数年、投打がかみ合ってない印象です。継投で勝つのがチームカラーですが、先発から抑えまでどうつなぐのかのプランが見えない。またベテランが多いので、アジアウィンターリーグやオープン戦で注目された吉田正尚など、若い選手がブレイクしてチームの若返りを図ってほしいですね。

 

 東北楽天は岸(孝之)が加入しました。ベテラン捕手の細川(亨)も加わるなどバッテリーには明るい材料が多い反面、攻撃陣は今年も外国人の出来次第なところが気になります。今江(年晶)、銀次などチャンスメークするタイプはいても、それが得点に結びつかない。2年目の(ジャフェット)アマダーが日本に慣れてきてどうかがポイントですね。

 

 充実投手陣DeNAと総合力の広島

 セ・リーグ優勝は横浜DeNAと予想します。何よりもこのチームは投手力がいい。先発は井納(翔一)を初めとして、石田(健大)、今永(昇太)の両左腕などイキのいい投手が揃っています。またブルペンも山﨑(康晃)だけでなく、今年は三上(朋也)も良さそうで安定したピッチングが期待できます。
 筒香(嘉智)、梶谷(隆幸)らがいる打撃陣も強力です。今季は桑原(将志)のブレイクが楽しみですね。あと新外国人の(アウディ)シリアコは、私が携わるBCリーグ石川の出身です。オープン戦も好調なのでDeNA躍進の原動力になって欲しいですね。

 

 対抗は広島です。投手陣の大黒柱、黒田(博樹)が引退しましたが、大瀬良(大地)の復活も期待できるし、(クリス)ジョンソン、野村(祐輔)と今季も計算できる投手が揃っています。野手陣は去年、優勝したことで自信を持ってプレーできるのが大きい。若手成長株の鈴木誠也がブレイク2年目、どんな活躍を見せられるかにも注目です。

 

 3位、4位には阪神と巨人、東西の人気球団を入れました。まず阪神がAクラスになるには、鳥谷(敬)の完全復活が絶対条件ですね。彼がサードの定位置に入り、打率2割8分を残す。こうした活躍を見せてくれれば、阪神はAクラス入りするでしょう。

 

 4位予想の巨人は投手陣に計算できる人が少ないのがその理由です。勝ち星を計算できるのが菅野(智之)くらいかな、と。その次には田口(麗斗)があげられますが、他は内海(哲也)にしても杉内(俊哉)にしても未知数の状態です。大型補強をしましたが、今季は上位は厳しいと見ていますね。ただ、補強した選手がすべて額面通りの活躍をすれば、一気にV争いに絡む可能性もありますが……。

 

 5位に予想した東京ヤクルトは、投手陣に柱となる絶対的エースがいません。石川(雅規)が牽引役ですが、それに原樹理らが続くようになれば面白い。打者では畠山(和洋)が戻ってきたのが明るい材料です。

 

 中日は森(繁和)監督になって変わってきていますが、まだまだ物足りない。高橋周平などの若手がそろそろ突き抜けてきてもいい頃なんですがねぇ。ベテランの荒木(雅博)が2000本安打を目前に控えています(通算1961本)。目の前にニンジンがぶら下がってる状態で、ベテランがもうひと花咲かせようと奮起すると面白くなりますね。
 セ、パともに今季もいいゲームを期待しています。

 

image佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商、近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日、エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)、ロサンジェルス・ドジャース、メキシコシティ(メキシカンリーグ)、エルマイラ・パイオニアーズ、オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。


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