えひめスポーツ俳句大賞 ダイキ倶楽部1703 第15回えひめスポーツ俳句大賞の受賞作が発表され、去る3月18日、愛媛県松山市内で表彰式が開催された。今回は全国46もの都道府県から4333作品の応募があり、俳句部門(一般、ジュニア)、俳句と写真を組み合わせたハイブリッド部門の計85作品が入賞した。


 この賞は、02年に愛媛県ゆかりの俳人・正岡子規の野球殿堂入りを記念して始まった。表彰式において主催者の愛媛県体育協会の大亀孝裕会長はこう述べている。


「正岡子規の生誕150年の今年、スポーツ俳句大賞も15回目と、同じ年に節目を迎えることができ感慨もひとしおであります。
 このスポーツ俳句大賞は、スポーツに接して得られる感動やときめきを俳句に詠み込むことにより、スポーツに対して、より関心を持っていただくことを狙いとしております。全国合計46都道府県から4333作品の応募をいただき、スポーツ俳句という文化が全国に浸透してきたと感じております。
 昨年から今年秋開催のえひめ国体に向けた各競技のリハーサル大会が県内各地で開催されております。みなさま方もいろいろなスポーツの現場に足を運んでいただき、臨場感あふれる作品をお寄せいただきました。ありがとうございます」

 

 今回の一般の部大賞とジュニアの部大賞作品は以下のとおり。写真と俳句を組み合わせたハイブリッド部門大賞は「該当作なし」という結果になった。

 

一般の部大賞

 

 一塁の遠し土炎ゆ空の炎ゆ 愛媛県・渡部秀美さん

審査委員長の講評(福谷俊子・愛媛県俳句協会会長)

<一般の部大賞、この句は野球を詠まれた句だと思います。炎天下で繰り広げられる熱戦に一喜一憂しながら声援を送っている作者が見えるようです。「一塁の遠し」には、なかなか打てない焦りや無念さが込められています。「土炎ゆ空の炎ゆ」のリフレインは、実景であると同時に球児の闘志を象徴しています>

 

ジュニアの部大賞


 汗ふかずピストルの音じっと待つ 愛媛県・泉谷真絢さん

審査委員長の講評(同)

<ジュニアの部大賞、この句は徒競走かリレーのスタートに立った時の一瞬の緊張感が伝わってきます。全神経を集中して「ピストルの音」を待っています。「じっと待つ」というジュニアらしい真っ直ぐな詩の言葉がいいと思います>

 

ハイブリッド部門大賞
該当作なし

 

ハイブリッド部門金賞

 

 風光るワンフォアオールの摩天楼 愛媛県・菅伸明さん

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 学舎に新作ダンス野菊晴 愛媛県・田坂淳子さん

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審査委員長の講評(同)
<ハイブリッド部門の大賞は今回該当作がなく大変残念でした。金賞の菅さんの作品は、懸命に伸ばした両手に緊張感が漲ります。1人はみんなのためにというラグビーの基本精神が「風光る」と緊密に結びつきます。同じく金賞の田坂さんの作品は、青春ただ中のややメランコリーなダンスなのでしょうか。「野菊晴」の季語がほっとするような明るさをそえています>

 

審査委員の講評(宮内幸男・愛媛県美術会会員会計監査)
<ハイブリッド部門の審査にあたり、まず俳句が俳句になっているか、からはじめ、季語の表現の大切さから選考しました。今回ハイブリッド大賞はそれに値する作品がありませんでした。金賞作品は共に写真表現は素晴らしく、俳句も秀作です>


報道関係賞

 

・NHK松山報道局賞
逆転のトライが砕く霜柱 東京都・沼田慎也さん

 

・南海放送賞
エアケイに声をからして熱帯夜 福島県・宇野邦久さん

 

・愛媛新聞社賞
土色の汗流れけり九番打者 愛媛県・片山一行さん

 

・テレビ愛媛賞
喧嘩四つ湯気立ち上る初稽古 東京都・梶浦公靖さん

 

・あいテレビ賞
オール漕ぐ汗の上腕二頭筋 愛媛県・菅亜希子さん

 

・愛媛朝日テレビ賞
正拳を初日の海に繰り返す 東京都・吉田純志さん

 

・FM愛媛賞
ふくよかに反らせる胸や弓始 愛媛県・三原青果さん

 

・愛媛CATV賞
会心の一本背負い息白し 愛媛県・花山昇さん

 

 なお、その他の入選作も愛媛県体育協会のウェブサイトで閲覧できる。


◆愛媛県体育協会
http://www.insnet.ne.jp/hp/etaikyo/


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