ロシアW杯アジア最終予選のB組第7節が28日に行われ、同組2位の日本代表(FIFAランキング51位)は6位のタイ代表(同127位)と埼玉スタジアムで対戦し、4-0で勝利した。試合は前半8分にMF香川真司が先制点を決める。19分にはFW岡崎慎司がA代表通算50点目となるゴールをダイビングヘッドで叩き込んだ。後半にも日本はFW久保裕也、DF吉田麻也のゴールでリードを広げた。暫定でB組首位に浮上した日本は6月7日にホームでシリア代表(同95位)と親善試合を行った後、13日(日本時間)にアウェーでイラク代表(同122位)と対戦する。

 

 川島、PK止める活躍(埼玉スタジアム)

日本代表 4-0 タイ代表

【得点】

[日] 香川真司(8分)、岡崎慎司(19分)、久保裕也(57分)、吉田麻也(83分)

 

 前節のUAE戦で左足小指を骨折したMF今野泰幸に代わり、DF酒井高徳がスタメン出場した。フォーメーションも4-1-2-3から4-2-3-1に変更。酒井はダブルボランチの一角で起用された。

 

 8分、MF香川真司が早速、10番として仕事を果たす。右サイドに開いたFW久保裕也はドリブルで縦に突破し、ゴール前へグラウンダーのクロスを供給した。ニアへ飛び込んだ岡崎の足に当たり軌道が変わったボールは香川に渡る。香川はピタリとボールを止めるとキックフェイントで相手DFのスライディングブロックをかわし、右足でゴール左隅へ流し込んだ。

 

 良い流れのまま迎えた19分、日本に追加点が生まれた。またしても右サイドの久保が低く速いクロスをゴール前に送る。このボールにニアに走り込んだ岡崎がダイビングヘッド。シュートはゴール右に突き刺さった。FW大迫勇也の負傷離脱で訪れたスタメン出場のチャンスで結果を残した。

 

 序盤で順調に得点を重ねた日本だが、徐々に流れが悪くなる。ビルドアップの際に、不用意なパスミスが増えた。センターバックの位置でボールを失いかけ、ヒヤリとする場面もあった。後半の立ち上がりも嫌なムードを払しょくできずにCKからピンチを招いた。ここはタイのシュート精度の低さに助けられた。

 

 勝負を決定づけたのは、ベルギーリーグで活躍する久保だった。12分、スローインを右サイドで受けた久保はドリブルでカットイン。DFのスライディングをかわした久保はペナルティーエリア手前で左足を一閃。シュートはゴール右隅を射抜いた。さらに、日本は38分にコーナーキックから吉田がヘッドで決めてリードを4点に広げた。

 

 得失点差も大きく影響するアジア最終予選。このまま無失点で試合を終えたいと願っていた矢先だった。40分にDF長友佑都がFWティーラーシン・デーンダーをペナルティーエリア内で倒し、タイにPKを献上した。だが、GK川島永嗣が日本のピンチを自身の見せ場に変えた。左隅を狙ったティーラーシンのシュートを読み切った川島が横っ飛びでセーブし、難を逃れた。このままのスコアでゲームを締めた。

 

 試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「不満を抱く点があった」と課題を口にした。

「素晴らしいスタートを切り、スコアを2-0としたが、その後にプレーが止まった。少し気を抜いてしまったのか、ハードワークが低下した。フラストレーションを感じるようなパスのクオリティーだった」

 

 A代表50得点目を決めた岡崎は「(出場機会が少なく得点の)感覚がなかったが、ゴール集のVTRを見返してイメージしていた。自分にとってもチームにとっても大きなゴール。FWとしての感覚をよみがえらせる良いゴールだった」と振り返った。

 

 4-0とスコア的には大差がついたが、岡崎のメモリアルゴール以外は課題が散見された試合だった。その課題を6月に行われるアウェーでのイラク戦に向けて修正できるかが、W杯出場への別れ道となりそうだ。

 

(文/大木雄貴)