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(写真:2017開幕戦、試合前のウォーミングアップ)

 日本各地で桜の開花が伝えられる中、今年も女の熾烈な戦いが始まる!

 

 3月26日(日)、2017プレナスなでしこリーグ2部の開幕戦、「愛媛FCレディース対ASハリマアルビオン」の一戦が、愛媛のホームである宇和島市丸山公園陸上競技場(宇和島市和霊町)で行われた。

 

 前日まで降り続いていた雨も止み、好天に恵まれた。スタジアムには、開幕を待ちわびたサポーターやファンたちが大勢詰め掛けた。

 

 試合開始2時間前に会場に着いた私たちサポーターは休む間もなく、スタジアム内周をオレンジ色の応援横断幕で飾り付けていく。

 

 トップチームに続き、レディースチームの活動も、地元の方々から徐々に認知され、ご支援頂いている。有り難いことに選手個人の応援幕も以前に比べて随分と数が増えた。その甲斐もあり、今節はホームゲームらしくスタンド約半周をオレンジ色の幕で埋めることができた。

 

 選手たちを迎える準備も整い、開始40分前くらいから、応援チャントで熱く盛り上がる愛媛サポーター。新加入選手用の新作チャントも練習を兼ねて繰り返し唄い続けた。

 

 正午を過ぎ、両チームの選手たちが入場する。愛媛の選手たちは、闘志が溢れており、気合が入った表情だった。

 

 高らかな笛の音と共に、愛媛のキックオフで試合がスタートした。愛媛は立ち上がりから、積極的な攻撃姿勢で敵陣へとボールを進めた。サイドのスペースを巧みに利用し、ビルドアップを図る。

 

 前半7分、センターサークル付近のMF山城見友希選手からのパスを右サイドで受けたMF阿久根真奈選手が敵陣でキープし、ペナルティーエリア内へとボールを供給。直後、敵ゴール前での混戦からボールがこぼれた。素早くこぼれ球に反応したDF鎌田蘭選手が左足でシュートを放った。これが見事、ゴールネットを揺らし、愛媛が幸先良く先制点を奪った。スタンドは大歓声に包まれた。

 

「スウィーギン スウィンギン愛媛 フォーエヴァー!」

 サポーターも歓喜の大合唱。

 

 大事なシーズン開幕戦ということで、相手のハリマアルビオンも黙ってはいなかった。愛媛に対し体格差で勝る相手攻撃陣はコンタクトプレーを駆使し、反撃を試みる。受け身にまわった愛媛は、再三に渡り、ゴール前までボールを運ばれた。失点を覚悟するピンチを幾度か迎えた。それでもGK三田一紗代選手を中心に愛媛の守備陣が踏ん張った。

 

 後半立ち上がりにも、相手のハードなプレッシャーから肝を冷やす場面もみられたが、何とか凌ぎ切る。その後、愛媛は落ち着きを取り戻し、徐々にボールの支配率を上げていった。

 

 後半15分、自陣中央のDF渡井汐莉選手からのフィードを、右サイドのMF西川早弓選手が足元に収める。その西川選手からのパスを受けたFW上野真実選手が、右足を振り抜く。ボールはゴールに突き刺さり、スタンドは再び歓声に包まれた。

 

 更に後半26分には、山城選手が敵陣左サイドでルーズボールを拾い、後方から走り込んで来た阿久根選手へとラストパスを供給。このボールを阿久根選手が、左足でゴールへと押し込んだ。勝負を決める3点目だった。

 

「鮮やかにゲットゴール! あーくねまーな! ゲットゴール! あーくねまーな!」阿久根選手を称えるチャントが鳴りやまない。

 その後、一進一退の攻防が続くも、スコアは動かずタイムアップ。最終スコア「3-0」で愛媛が2017シーズンの開幕戦を制した。

 

 気持ちの良い快勝劇だった。終了のホイッスルと同時に、スタジアム全体が歓喜に包まれていくのを実感できた。試合後は、もちろん選手たちと一緒に勝利のラインダンスを踊り、喜びを分かち合い、足取り軽く横断幕の片付けを行った。

 

 開幕戦の白星スタートは、今後の弾みになり、自信を持って次節を迎えることができる。3ゴールという結果も嬉しい。それ以上に、昨シーズンは序盤に失点が多かったので、開幕戦での完封勝利は、チームにとって大きなプラス材料だ。

 

 今季、愛媛は、大きな目標が2つある。1つはなでしこリーグ1部への昇格。2つ目は、愛媛国体での単独優勝である。簡単ではない目標だと分かっている。だが、今季開幕戦での選手たちの戦いぶりは“2つの目標が手の届く所にまで来ている”と感じさせてくれた。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja

Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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