DSC02983

(写真:試合後には川崎の中地区優勝を祝うセレモニーが行われた)

 男子バスケットボール「B.LEAGUE」の第27節が8日、各地で行われた。神奈川・川崎市とどろきアリーナでは中地区1位の川崎ブレイブサンダースが、同2位の三遠ネオフェニックスを72-63で下した。既に地区優勝を決めている川崎はリーグ戦6連勝。リーグ勝率トップをキープした。一方の三遠は連敗を喫し、中地区3位のサンロッカーズ渋谷に差を縮められた。

 

 ファジーカス、29得点16リバウンドのダブルダブル(とどろきアリーナ)

川崎ブレイブサンダース 72-63 三遠ネオフェニックス

【第1Q】15-15【第2Q】20-12【第3Q】18-19【第4Q】19-17

 

 開幕から半年以上が経ったB.LEAGUE。来月から始まるチャンピオンシップ(CS)へ向け、佳境を迎えている。昨年NBLを制した川崎は1日に中地区優勝を決めた。第26節終了時点で勝率はリーグNo.1である。そんな川崎が負け越しているのは、西地区1位のシーホース三河と中地区2位の三遠だけだ。

 

 0勝2敗の三河とは対戦が残っていないが、三遠とは2勝3敗。リーグ戦では最後の直接対決で星を五分にして、CSに臨みたいところだ。対する三遠はCS進出までマジック7。3位の渋谷も迫ってきており、首位の川崎を叩いて突き放したい。

 

 この日の川崎市は曇り空ではあったものの、暖かな陽気が包んでいた。とどろきアリーナがある等々力緑地には桜が花を咲かせており、花見を愉しむ者もいる。近くの公園でサッカーをする子どもも散見された。のどかな週末の風景が広がるそばでCSに向けた熱戦は行われた。

 

DSC02852

(写真:開始早々に鮮やか先制点を決めた篠山)

 先制したのは川崎。ティップオフからこぼれたボールを拾うと、PG篠山竜青がドライブでゴール下へ切り込んで、レイアップシュートを決めた。三遠もすぐさまPFオルー・アシャオル、SG田渡修人が決めて逆転する。川崎はリーグトップスコアラーのCニック・ファジーカスが第1クォーター(Q)から本領発揮。インサイド、ミドルレンジからシュートを沈める。ここから両軍、一進一退の攻防。第1Qは15-15でブザーは鳴った。

 

 1試合平均84.3点(26節終了時点)。リーグトップの攻撃力を誇る川崎は第2Qに入ると、三遠を突き放しにかかる。その中心は元NBAプレーヤーのファジーカスだ。210cmの長身だが、アウトサイドからもシュートを狙うなどシュートエリアは広い。守備ではゴール下の番人となり、リバウンドを取る。前半だけで14得点7リバウンドの活躍。35-27で川崎は8点のリードを奪って、試合を折り返した。

 

 第3QはSG辻直人のスリーポイント(3P)で幕を開けた。川崎の一方的な展開になるかと思われたが、三遠も反撃する。元NBAプレーヤーのSFジョシュ・チルドレスに個人技でゴールを立て続けに奪われる。一時は45-44と1点差まで迫られたが、PG藤井祐眞が3Pを決めるなど点差を広げる。第3Q終了直前にはSF栗原貴宏がブロックショット。ベンチプレーヤーの活躍で7点差で第4Qを迎えた。

 

DSC02930

(写真:NBAのほかにヨーロッパでのプレー経験もあるファジーカス)

 粘る三遠に3点差まで縮められたものの、川崎は慌てなかった。ファジーカスにボールを集め、スコアを重ねる。内へと意識が傾けば、篠山らが3Pを決め、的を絞らせない。最大12点差をつけ、三遠を突き放した。後は時計の針を進めつつ、試合を運ぶ。終わってみれば72-63で勝利した。

 

 ファジーカスは攻守で大暴れした。29得点4アシスト。16リバウンドのうちディフェンスリバウンドは14も稼ぎ、4つのブロックショットを記録した。オールラウンダーなビッグマンは「一番大事なのはチームの成績。とにかくチームが勝つことができれば私は満足できる」と冷静だった。

 

 川崎の北卓也ヘッドコーチ(HC)は「良いディフェンスからオフェンスにつなげられた」と試合を振り返った。ブレイク(速攻)を仕掛けた中で「ターンオーバー(TO)が少なかったことは評価できる」と語ったように、スタッツを見るとTOは三遠の12に対し、わずか5だった。ミスの少なさを印象付けた試合となった。

 

DSC02879

(写真:川崎市出身のお笑いコンビ「上々軍団」が会場を盛り上げた)

 三遠の攻撃を63点に抑えたように守備力も際立っていたが、層の厚さも川崎の武器だ。スタメンのみならずベンチメンバーの活躍も目立った。コートに立った10人中9人がスコアした総合力もある。北HCは「チームの組織力でこの成績を残せている」と分析する。

 

 これで川崎は43勝目。負け数はわずか8で、いずれもリーグトップである。8割を超える勝率からも、B.LEAGUE初代王者に一番近い存在と言えるかもしれない。既に中地区優勝を決めたが、キャプテンの篠山は「通過点です」と言い切った。北HCは「選手たちには精度の高いプレーを要求していく。CSは一発勝負。何が起こっても対応できる準備をしておかなければいけない」と、同地区のライバルに連勝しても頬を緩めることはなかった。

 

(文・写真/杉浦泰介)