明治安田生命J1リーグ第6節、横浜F・マリノス対ジュビロ磐田の一戦が日産スタジアムで行われ、横浜FMが2-1で勝利した。試合は前半26分、MFマルティノスのゴールで横浜FMが先制するが、34分にDF大井健太郎が決めて磐田が同点に追いついた。同点のまま前半を終えると、後半28分にDF金井貢史のゴールで横浜FMが勝ち越す。このまま横浜FMが逃げ切った。

 

 齋藤、2アシストの活躍(日産)

横浜F・マリノス 2-1 ジュビロ磐田

【得点】

[横] マルティノス(26分)、金井貢史(73分)

[磐] 大井健太郎(34分)

 

 磐田の名波浩監督が「俊輔ダービー」と呼んだこの一戦。MF中村俊輔は今季磐田に移籍してから、初めて古巣と対戦した。

 

 磐田の背番号10をつけた中村は4-2-3-1の右サイドハーフで先発した。対する横浜FMも同じ4-2-3-1。中村から10番とキャプテンを引き継いだMF齋藤学は左サイドハーフでスターティングメンバーに入った。

 

 26分、中村が齋藤に一瞬の隙を与える。自陣右サイドで中村は齋藤とマッチアップ。しかし、中村の寄せが甘く、齋藤にクロスを入れられた。齋藤のクロスをペナルティーエリア内のファーサイドに位置していたマルティノスがヘッドでゴールに叩き込んだ。10番の直接対決を制した横浜FMが先取点を奪った。

 

 だが中村も黙ってはいない。34分、磐田は中村の左CKから得点が生まれる。キッカーの中村が左足で鋭いボールを供給。マルティノスがクリアしきれず、ボールはファーサイドにこぼれた。これを大井が左足でゴール右にねじ込んで同点に追いついた。

 

 その後、磐田の中村は中央に絞ったり、低い位置まで下りるなどしてボールを引き出そうとした。対する横浜FMの齋藤は得意の左サイドに張ってボールを待ち続ける。特長の違う両者は対照的な姿勢でチームメイトにパスを要求した。

 

 迎えた後半28分、磐田は横浜FMに勝ち越しゴールを許す。CKのこぼれ球をつながれ、齋藤に中央でボールを持たれる。ノーマークだった齋藤に落ち着いて前を向かれると、浮き球のパスをペナルティーエリア内左にいた金井へ送られた。ワントラップした金井に右足でシュートを打たれると、ボールは左サイドネットに吸い込まれた。

 

 再び1点を追う展開となった磐田。中村はさらにポジションを下げてボールを引き出すことに専念し、ボールを供給する。だが、横浜FMの守備網を崩せずタイムアップ。1-2で横浜FMに敗れ、2連勝はならなかった。

 

 移籍後初の古巣との対戦で、中村はフル出場した。ボールを持つたびに横浜FMサポーターからはブーイングを浴びせられた。中村は「毎試合、アウェーから来た相手のキーマンに(ブーイングを)やることはいいことだと思う」と、淡々と語った。

 

 中村は古巣との戦いをこう振り返った。

「いやぁ、勝てた。(ボールを)回されることはしょうがないけど、今までで一番アグレッシブにできた。悔しいですね。チャンスはあった。もっと改善するところを見つけ出して、次に向かってコツコツやるのがこのチームの良さ。1年通してチームのレベルが上がればいい」

 

 

 中村は得意のセットプレーで多くのゴールに絡んではいるが、チームは6試合を終えて13位沈んでいる。日本屈指のレフティーは幾多の困難を乗り越えてきた。今節の敗因を分析し、チームを成長させるに違いない。

 

(文/大木雄貴)