14日、世界水泳選手権(7月、ハンガリー・ブタペスト)の日本代表選考会を兼ねた「第93回日本選手権水泳競技大会」2日目が愛知・日本ガイシアリーナで行われた。女子400m個人メドレーは大橋悠依(東洋大学)が4分31秒42で日本記録を更新。2位に入った清水咲子(ミキハウス)と共に世界選手権代表に内定した。女子200m自由形は池江璃花子(ルネサンス亀戸)が1分57秒07で優勝。池江は今大会2冠を達成した。男子100m背泳ぎは入江陵介(イトマン東進)が53秒46で4連覇。池江と入江は派遣標準記録を突破したため、世界選手権代表入りを決めた。そのほか男子200m自由形は萩野公介(ブリヂストン)が1分47秒29で5連覇。男女50m平泳ぎでは小関也朱篤(ミキハウス)が27秒23、鈴木聡美(ミキハウス)が30秒66と、いずれも日本新記録で優勝した。

 

 日本競泳界にニューヒロイン誕生だ。新生が現れたのは女子400m個人メドレー。21歳の大橋が、リオデジャネイロ五輪に出場した清水、高橋美帆(ミキハウス)を大きく引き離しての圧勝劇だった。

 

 予選は日本記録保持者の清水を差し置いて、大橋がトップで通過した。第4レーンで迎えた決勝は最初から飛ばした。第1泳法のバタフライで先頭に立ち、100mを1分1秒69で泳いだ。これは日本記録よりも0秒21遅いペースだが、大橋の得意種目は第2泳法の背泳ぎである。

 

 173cmの長身を生かしたのびやかな泳ぎで、清水を突き放す。大橋は150mのターンを前に身体ひとつ分のリードを奪った。ここからは一人旅。記録との勝負となった。200mのタイムは2分9秒99。日本記録よりも2秒07早い。会場の期待も膨らんだ。

 

 第3泳法の平泳ぎ。ここで大橋がどこまで粘れるかがカギだ。3分28秒34で、日本記録よりも1秒57早いペース。記録達成の可能性は十分ある。大橋は最後の自由形にかける。大きな泳ぎでぐんぐん進む。影を踏ませぬような圧勝だった。フィニッシュタイムは4分31秒42――。従来の日本記録を3秒24更新した。

 

 今季世界ランキング1位のタイム。昨年、一昨年に当てはめても上位にくる好記録である。大橋は北島康介、萩野らを育てた平井伯昌コーチの門下生だ。名伯楽の下から、また新たなスターの誕生か。

 

 2日目の主な結果は次の通り。

 

<男子50メートル平泳ぎ・決勝>

1位 小関也朱篤(ミキハウス) 27秒23 ※日本新

2位 新山政樹(自衛隊) 27秒59

3位 岡﨑晃一郎(海自江田島) 27秒66

 

<男子100メートル背泳ぎ・決勝>

1位 入江陵介(イトマン東進) 53秒46

2位 金子雅紀(イトマン東進) 53秒80

3位 川本武史(TOYOTA) 54秒10

 

<男子200メートル自由形・決勝>

1位 萩野公介(ブリヂストン) 1分47秒29

2位 江原騎士(自衛隊/フィッツ竜王) 1分47秒57

3位 松元克央(セントラルスポーツ/明治大) 1分47秒59

 

<女子50メートル平泳ぎ・決勝>

1位 鈴木聡美(ミキハウス) 30秒66 ※日本新

2位 渡部香生子(早稲田大/JSS立石) 31秒34

3位 寺村美穂(セントラルスポーツ) 31秒60

 

<女子200メートル自由形・決勝>

1位 池江璃花子(ルネサンス亀戸) 1分57秒07

2位 五十嵐千尋(日本体育大) 1分57秒67

3位 青木智美(ATSC.YW) 1分58秒33

 

<女子400メートル個人メドレー・決勝>

1位 大橋悠依(東洋大) 4分31秒42 ※日本新

2位 清水咲子(ミキハウス) 4分37秒52

3位 高橋美帆(ミキハウス) 4分39秒26

 

※選手名の太字は世界選手権代表内定

 

(文/杉浦泰介)