15日、世界水泳選手権(7月、ハンガリー・ブタペスト)の日本代表選考会を兼ねた「第93回日本選手権水泳競技大会」3日目が愛知・日本ガイシアリーナで開催された。男子200m個人メドレーは萩野公介(ブリヂストン)が1分56秒01で6連覇。この日、行われた男子400m自由形も制した萩野は今大会3冠を達成した。200m個人メドレーの2位には瀬戸大也(ANA/JSS毛呂山)が1分57秒58で入った。瀬戸は男子200mバタフライでも1分53秒71で優勝した坂井聖人(早稲田大)に次ぐ2位。いずれも派遣標準記録を突破し、2種目での世界選手権代表入りを決めた。

 

 女子100m自由形は池江璃花子(ルネサンス亀戸)が53秒83で優勝。女子初の5冠達成へ、あと2種目とした。そのほか女子200m個人メドレーは大橋悠依(東洋大)が2分9秒96で制し、個人メドレー2冠を成し遂げた。第一人者の星奈津美が引退した女子200mバタフライは長谷川涼香(東京ドーム)が2分6秒29で初制覇。池江、大橋、長谷川に加え、派遣標準記録をクリアした200m個人メドレー2位の今井月(豊川高)、女子200mバタフライ2位の牧野紘子(東京ドーム)も世界選手権代表に内定した。

 

「大也と泳ぐレースはいつでも特別」。瀬戸との直接対決第2ラウンドを制した萩野は語った。ジュニア時代からのライバルに2日前の400m個人メドレーは100分の1秒差で敗れ、連覇を5で止められた。リベンジに燃える思いもあったはずだ。

 

 萩野にとって200m個人メドレーは5連覇中の種目だった。昨夏のリオデジャネイロ五輪では銀メダルを獲得している。この日、400m自由形を優勝したものの、3分47秒30。世界選手権の派遣標準記録(3分47秒19)に届かなかった。昨年9月に右ヒジを手術し、今年3月に復帰戦に出場したばかり。コンディションは決して万全とは言えない。

 

 予選は2位で通過した萩野は決勝で、同1位の瀬戸の隣で泳いだ。400mでは先行された萩野だが、今回はバタフライからリードを奪った。続く背泳ぎでその差を広げると、平泳ぎでも追いつかれなかった。自由形は昨年マークした日本記録と同じペースで泳いでみせた。1分56秒01で2位の瀬戸に1秒半以上の差をつけて快勝した。

 

 プロスイマーとなってからの国内初戦。ここまで4種目に出場し、3種目を獲った。最終日は200m背泳ぎで締めくくる。

「なかなか思うようにいかない部分もたくさんありますが、今日は2つ勝てた。最終日も気持ちを切らさず頑張りたい」

 

 一方、敗れた瀬戸は200mバタフライ決勝後から間もない状態でレースに臨んだ。萩野よりも試合の間隔が短かったため、体力的にも厳しかった模様。世界選手権の切符獲りにシフトした向きもある。萩野との今シーズン最初の直接対決は1勝1敗。2人のライバル関係はこれからも続くだろう。

 

 主な3日目の結果は次の通り。

 

<男子200メートルバタフライ・決勝>

1位 坂井聖人(早稲田大) 1分53秒71

2位 瀬戸大也(ANA/JSS毛呂山) 1分54秒28

3位 幌村尚(早稲田大/ナイスSP) 1分55秒37

 

<男子200メートル個人メドレー・決勝>

1位 萩野公介(ブリヂストン) 1分56秒01

2位 瀬戸大也(ANA/JSS毛呂山) 1分57秒58

3位 藤森丈晴(ミキハウス) 1分58秒45

 

<男子400メートル自由形・決勝>

1位 萩野公介(ブリヂストン) 3分47秒30

2位 江原騎士(自衛隊/フィッツ竜王) 3分47秒74

3位 天井翼(ミキハウス) 3分48秒99

 

<女子100メートル自由形・決勝>

1位 池江璃花子(ルネサンス亀戸) 53秒83

2位 青木智美(ATSC.YW) 54秒83

3位 五十嵐千尋(日本体育大) 54秒98

 

<女子200メートルバタフライ・決勝>

1位 長谷川涼香(東京ドーム) 2分6秒29

2位 牧野紘子(東京ドーム) 2分7秒15

3位 持田早智(ルネサンス幕張) 2分9秒67

 

<女子200メートル個人メドレー・決勝>

1位 大橋悠依(東洋大) 2分9秒96

2位 今井月(豊川高) 2分11秒51

3位 寺村美穂(セントラルスポーツ) 2分11秒58

 

(文/杉浦泰介)